SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」ってどんな味?【前半/全2回】

April 10, 2019

サントリーの新商品「碧Ao」(アオ)の発売が間近に迫っている。前例のないコンセプトを具現化した福與伸二チーフブレンダーが、ブレンディングの舞台裏を明かしてくれた。

文:WMJ

 

サントリーが日本で初めてウイスキーの蒸溜を開始したのは1924年のこと。たゆみない努力を重ねたジャパニーズウイスキーの品質は世界に認められ、今では「5大ウイスキー」のひとつに数えられている。

そして2014年にビームサントリーが誕生すると、サントリーは5大ウイスキーの蒸溜所を所有する唯一の企業グループになった。「5大ウイスキーの原酒をブレンドしてみてはどうか」というアイデアが、社内外で語られるようになったのはその頃からだ。ウイスキー事業部長の鳥井憲護氏が語る。

「国内外のウイスキー関係者から期待が寄せられていました。しかし世界的なウイスキーブームで各国の蒸溜所が需給調整を迫られていた時期でもあり、実現に時間がかかってしまったのです」

世界の原酒をブレンドするという発想は面白い。だがそれを実現するのは容易ではない。指揮を執るのは、サントリー5代目チーフブレンダーの福與伸二氏。現在はビームサントリー社のウイスキー・クオリティ・アドバイザーを兼任し、ウイスキー・クオリティ・カウンシルのチェアマンとしてグローバルに品質向上を目指す立場でもある。福與氏が当時の戸惑いを振り返る。

「混ぜたらいったいどういう味になるのか、最初はまったくイメージが湧きませんでした。最終的な香味の仕上がりも予想できず、ブレンドしたときに各国の原酒がどのような振る舞いを見せるのかも未知数でした」

原酒の調達にも根気が要る。各国の在庫を把握しながら、配合する原酒を決めて交渉しなければならない。ブレンドの完成度はもちろん、そこに各国ウイスキーの個性が垣間見えるという条件を満たす必要もある。このコンセプトは、「調和」を前提とするサントリーのブレンディングに新しい挑戦を突きつけた。海外からさまざまなサンプルを送ってもらい、福與氏は新しい難問に取り組んだ。

「水彩画は、水彩絵の具だけで描くから美しい。でもそこに油絵、クレヨン、水墨画などの技法も足して絵を描くような試みです。音楽で例えるなら、ヨーロッパの室内楽にアフリカの太鼓、三味線、バグパイプなどを加えて曲に仕上げるイメージ。これをオーケストラのように統合していく方法を模索しました」

 

調和をベースにしながらも、原酒の個性を重ね合わせたブレンド

 

サントリーが従来のブレンドで重視してきたのは「調和」という考え方だ。すなわち各原酒の個性を突出させずに丸みを出し、割っても味が崩れない堅実なブレンドを追求することである。この基本方針を踏まえつつ、5カ国それぞれの原酒の個性を活かすためには「重ね合わせる」アプローチが必要であると福與氏は気付いた。

「例えば青と黄を混ぜて緑を作るのではなく、青は青、黄は黄で各国の個性が垣間見えるようなイメージ。味わいが豊かに重なり合い、水やソーダで割るとそれぞれの個性が感じられるような、これまでにはないブレンド手法に挑みました」

5大ウイスキーの魅力が同居する世界で初めてのブレンド。ハイボールの作り方によって、それぞれの原酒の表現が多彩に変化するのも魅力だ。

試行錯誤を重ね、ブレンドにおける原酒のふるまいも理解した。数ヶ月間の後熟で、味わいがうまくまとまったのは嬉しい驚きだったという。

出来上がった「碧Ao」の味わいをブレンダー同士で議論しても、相反する要素が挙げられた。華やかなのに、重厚で素朴。まろやかでありながらスパイシー。濃度、温度、飲み方を変えるたびに、表現される個性が変化する。福與氏は一見矛盾を孕んだ官能評価を「すべて正解」と受け入れ、それぞれの原酒の個性を活かしたブレンドの成果なのだと評価した。

前例のないチャレンジが、まったく新しい価値に結実したウイスキー。眼の前のウイスキーグラスには、SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」が注がれている。

「まずは実際に味わってみましょう」

香りは華やかで、バニラやパイナップルを思わせるフルーティーなトップノート。クリーム系の甘さと、濃厚さでウッディな香りが続く。口に含むと、清らかな甘み。スモーク香やシナモンを思わせるスパイスも次第に高まってくる。フィニッシュでは甘さ、スモーク香、スパイス、ウッディな要素が複雑に絡み合いながら心地よい余韻が続く。

「本当に多彩な味わいが同居しているので、実際のところテイスティングノートにすべては書ききれません。一言で語り尽くせないほど、非常に複雑なウイスキーなのです。このブレンドに、各国のウイスキーはどのように活かされているのでしょうか。これから少し変わった方法でご説明したいと思います」
(つづく)

 

SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」

 
発売日:2019年4月16日(火)

容量:700ml

希望小売価格:5,000円

アルコール度数:43%

※2019年は、第1期(4月16日~夏)、第2期(秋~冬)の2期に分けての出荷を予定。

※価格は販売店の自主的な価格設定を拘束するものではありません。

 

5大ウイスキーをブレンドした世界で初めての味わい。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」のホームページはこちらから。

 

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