ウイスキー用語集―AからZまで【P②】
ウイスキー用語集、Pの回の後半。今回はP(プルーフ)について説明する。
ヨーロッパではその測定方法はひとつであり、アメリカには別の方法がある。アルコール量を数字で表すヨーロッパ方式はアメリカのプルーフ方法のちょうど半分である。
簡単なようだが…本当に?
では100プルーフのウイスキーは57%の度数となるのは何故なのか? 上記で説明した以外にも何かあるようだ。
歴史的な説明をすると、「プルーフ」という言葉は、課税のためにアルコール度数を知る必要があったイギリスで、スピリッツをテストする際に使われた。数世紀もの間、様々なあいまいな方法が使用されてきた。その中で最も一般的だったのは火薬と液体を混ぜて点火させる方法である。
理論的には火薬が点火すれば「proved—証明された」ということになる。これが100プルーフである。
これ以上の場合には、オーバープルーフ、これ以下はアンダープルーフといわれた。もちろんこれはナンセンスであり、適当に決められ、最悪の場合は全くの誤りとなるのだ。なぜならば外気温や大気圧の条件、スピリッツの量によって結果が異なるからだ。
時を経るに従って、科学が進化してきた。そして進んだ化学的なテストも加わった。エチルアルコールは水より軽い。1818年にはピュアアルコールの測定方法は、純粋な蒸溜水と同じ重量の13分の12であると定義された。同じ圧力で、華氏51度(摂氏10.56度)という条件下で測定する。あるいは比率が「水:アルコール」は「1:0.9238」という定義である。
これはプルーフの比重であり、100プルーフとして知られている。つまり火薬が点火する理論的なアルコール度数、57.1%となる。これで説明がついた。
この方法を使うと100%のピュアアルコールはプルーフが175となる。場合によっては75オーバープルーフとされる。50%のアルコールは87.5プルーフのきっかり半分となる。
ヨーロッパの政策に基づき、1980年にイギリスにおけるプルーフシステムはABVシステムに置き換えられた。
これは単純に100%のピュアアルコールを基準に液体に含まれるアルコールを計算するものだ。昔のイギリスのシステムで70や75プルーフのスピリッツは、現在では40%または43%となる。
アメリカ人は、スポーツ以外では物事を複雑にすることを避けるので、さらに簡単なシステムを採用した。通常のボトルはアルコール分50%で、残り50%が水であるとした。50%であれば100プルーフと同じと定義したのである。
40%のウイスキーは古い英国のプルーフでは70となり、アメリカにおいては80となる。
簡単なものだ!
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