ブラックニッカ60周年【後半／全2回】
ブラックニッカ60年の歴史を凝縮したような数量限定ボトル「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」が発売される。ブラックニッカブランドをさらに強化し、ハイペースの増産計画を進めるニッカウヰスキーの狙いとは。
文：WMJ
11月1日から数量限定で発売される60周年記念商品「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」には、初代ブラックニッカの発売年である1956年に余市蒸溜所で蒸溜された60年もののモルト原酒が一部入っている。さらには1999年以前に西宮工場に設置されていたカフェ式（連続式）蒸溜機で蒸溜されたカフェグレーンを一部使用するなど、まさにニッカウヰスキーの歴史がブレンドされたウイスキーだ。
佐久間正チーフブレンダーの手引きで、この特別ボトルのテイスティングが始まる。グラスを鼻に近づけると、甘く複雑な香りがゆっくりと立ち上がってきた。
「ハチミツやチョコレートのような甘い香り。新樽由来の、ウッディーな香りも感じられます。そして長期熟成原酒ならではの円熟味とまろやかさが全体を包んでいます」
口に含むと舌触りは滑らかで、しっかりとしたモルトの味がある。
「クッキーのような、麦の香ばしい味わいが感じられると思います。そしてニッカが誇りにしているカフェグレーンの甘い味わいも感じられます。樽由来のビターな甘味もあって、最後には鼻に抜けるピートの香りがはっきりとおわかりいただけるはずです」
パッケージは、斬新なロイヤルブルーのスクエアボトルにフロスト加工を施し、ラベル中央にはもちろんおなじみの「キング・オブ・ブレンダーズ」の顔。初代マスターブレンダーの竹鶴政孝に始まる60年の集大成を感じさせるウイスキーだ。佐久間氏が語る。
「カフェグレーンの完成や、ノンピートの採用など、ブラックニッカにはさまざまな転換点がありました。そのような歴史も踏まえながら、新しいアプローチも取り入れて最高のものをつくろうという意思の結晶です。ブレンダーだけでなく、今までニッカで働いてきたすべての人々のスピリットが込められています」
新しい課題に挑むとき、ニッカのブレンダー、経営者、社員たちの頭に浮かぶのは「竹鶴政孝ならどうするだろうか」という自問自答だ。ニッカウヰスキーの岸本健利社長が、この「竹鶴精神」について説明してくれた。
「竹鶴精神という言葉を、竹鶴自身が口にしたことはありません。これは彼の後輩であるニッカの社員が自発的に、連綿と引き継いできた価値観なのです。ブラックニッカ発売から60年が経った現在の状況を、きっと竹鶴本人も喜んでくれるはずです」
海外市場を視野に入れた増産計画
ニッカウヰスキーによると、2016年の「ブラックニッカ」ブランドの年間販売数量は初めて300万箱を超える見込みである。4年連続で過去最高売上を記録するのは確実な状況で、居酒屋などで好評な「ブラックニッカ フリージングハイボール」もサーバー設置店が今年中に累計1万店に達することになるだろう。フリージングハイボールに使用するブラックニッカクリア樽詰めハイボールの出荷数も、1〜8月累計前年比196％という驚異的なスピードで伸びている。
継続的なウイスキー人気に応えるため、ニッカウヰスキー全体でも2016年は前年比130％の原酒増産に踏み出している。そして2017年には宮城峡蒸溜所などの設備も強化し、対2015年比で実に180%という大規模な増産態勢を整えていく予定だ。熟成に十年単位の時間がかかることもあるウイスキーで、このように意欲的な生産拡大へと打って出るニッカの真意はどこにあるのだろうか。岸本社長が答えた。
「大掛かりな設備投資について、トレンドを上回る増産なのではないのかと問われることもありますが、そうは考えておりません。国内市場だけではなく、日本のウイスキーに注目する海外市場までを見据えると、決して大きな数字ではないのです。竹鶴政孝のフロンティア精神を胸に、ニッカはこれからもどんどんチャレンジを続けていきます」
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ブラックニッカ ブレンダーズスピリットアルコール分 43％ 容量 瓶700ml 発売日 2016年11月1日（火） 価格 オープン価格 限定数量 12,000箱（＊1箱＝700ml×12本） |
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