「ザ・スコッチ」と呼ばれたウイスキー【後半/全2回】
「バランタイン17年」は、「ザ・スコッチ」とも異称される洗練されたスタイルが魅力のブレンデッドウイスキー。80年の歴史を持つ味わいを、さらなるこだわりで輝かせた逸品が「バランタイン17年 トリビュートリリース」だ。5代目マスターブレンダー、サンディー・ヒスロップ氏とのテイスティングセッションは続く。
文:WMJ
「ザ・スコッチ」の異名をとる「バランタイン17年」には、マスターブレンダーのサンディー・ヒスロップ氏がこだわりを持つ4つのキーモルトがブレンドされている。これらのモルトウイスキーを個別に味わうことで、バランタインのブレンディング構造が明らかになってくる。
まずはシングルモルトの「スキャパ」をテイスティングしてみる。ピート香はなく、パイナップルのようなトロピカルフルーツ風味が特徴のモルトウイスキーだ。
「バランタイン17年で、飲み始めにパッっと口にひろがる果実風味や、軽やかな花の香りはスキャパ由来の要素です。ファーストフィルのアメリカンオーク樽が主体で、クリーミーなバニラ風味や柑橘系の刺激もあります」
そして次のグラスは、ヒスロップ氏のお気に入りであるという「グレンバーギー」。伝統的なスペイサイドモルトらしい特徴を持ち、ジャム、洋ナシ、赤リンゴなどのフルーティな香りがこだまする。ハチミツを思わせる凝縮感があり、余韻は長くて甘い。
「このフルーティな甘さを育てているのも、やはりファーストフィルのアメリカンオーク樽。グレンバーギーはバランタインのすべての商品に含まれているので、蒸溜所を訪ねるときはいつも里帰りするような気分になります」
3つめのグラスは「ミルトンダフ」。グレンバーギーからわずか15kmほどしか離れていないが、まったく個性の異なる原酒を生み出す蒸溜所だ。しっかりと力強いブレンドの基礎を形づくり、花のような香りとリコリスのようなスパイスが特徴だ。
「タイプは異なりますが、ここでもファーストフィルのアメリカンオーク樽を重視しています。この他に、ベリーやナッツを思わせる繊細な後味を生み出すグレントファーズを加えた4つのキーモルトが、バランタイン17年の個性を決定づけているのです」
日本限定ボトルの驚き
発売されたばかりの「バランタイン17年 トリビュートリリース」を味わう時が来た。ヒスロップ氏いわく、1937年に初めてつくられたバランタイン17年のオリジナルレシピにヒントを得ながら、フレーバーの豊かさに重きを置いた特別なブレンドである。
色はゴールドに近い琥珀色だ。加水すると、熟した洋梨や赤リンゴを思わせるリッチな香りがグラスに満ちる。
舌触りはベルベットのように滑らか。ミルクチョコレートを思わせる芳醇な甘味があり、最後にはシナモンのようなスパイスや繊細なスモーク香も顔を出す。完璧なバランスを保った甘く長い余韻は、高級感あふれるバランタインの真骨頂である。
「スタンダードの17年よりもグレンバーギーの比率を少し高めて、フルーティさと贅沢な甘味を強調しました。ファーストフィルのアメリカンオーク樽を主体に、バランタインらしいクリーミーな甘味を増しています。熱烈な日本のファンの皆様のために、冷却ろ過をおこなわないノンチルフィルタード製法を採用し、度数も48%に引き上げました」
34年のキャリアで、17年熟成のサイクルをちょうど2周分見届けてきたことになるというヒスロップ氏。このような限定ボトルを生み出せるのも、すべてはバランタインの歴史の賜物なのだと語った。
「190年という長い伝統のなかで、マスターブレンダーがわずか5人しかいなかったことがレシピやノウハウの継承に役立ちました。多くの知識と経験を身につけ、何十年も先を見据える仕事は困難を伴いますが、決して飽きることはありません。毎日のチャレンジを楽しんでいます」
この特別ボトルは、バランタイン17年が誕生した当時のデザインをモデルにしている。ラベルに印刷された「赤い紋章」がその証だ。日本のウイスキーファンに届いた類まれなプレゼントは、名門ブランドの誇りと最高品質へのこだわりに満ちあふれている。
バランタイン17年 トリビュートリリース容量:700ml
※価格は販売店の自主的な価格設定を拘束するものではありません。 |
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