2013サントリー ザ・カクテルアワード&カクテルフェスタ レポート

October 5, 2013

今回で第20回目となるサントリーカクテルアワード。コンペティションの結果とその後に行われたカクテルフェスタをレポート。

10月2日(木)ザ・プリンス パークタワー東京にて「2013 サントリー ザ・カクテルアワード」が開催された。
今回のカクテルアワードは昨年に引き続きカクテルコンペティションとカクテルフェスタの2部制となっており、第1部のコンペティションは1994年から毎年実施され、今回で20周年を迎えるカクテルアワードの最終選考会である。
本年はウイスキー部門(課題ブランドはジムビーム ブラックラベル)、スピリッツ部門(同・ブルガル ブランコ)、リキュール部門(同・マリブ)と3つの部門に分かれている。それぞれ第1次・第2次の審査を経て、応募総数約800作品の中から各部門4作品に絞り込まれ、今回の最終審査で日本一を競い合った。

その激戦の結果、栄えある第20回目のカクテルアワードには、スピリッツ部門で最優秀賞を獲得した吉富 万洋さん(33歳・鹿児島県 Bar 万<YOROZU>)の作品「カリビアン・ドリーム」が輝いた。
詳細な結果は以下の通り。

氏名 勤務先 都道府県 作品名
ウイスキー部門
最優秀賞 長塩 隆司 ホテルメトロポリタン
バーオリエントエクスプレス
東京都 Bourbon Rouge
(ブルボンルージュ)
優秀賞 齋藤 倫生 BAR アイラ・ミスト 大阪府 Escort(エスコート)
スピリッツ部門

最優秀賞

吉富 万洋

Bar 万(YOROZU) 鹿児島県 カリビアン・ドリーム
優秀賞 佐藤 司 ホテルグランパシフィック LE DAIBA
ダイニング&バー スターロード
東京都 Tropical Sun
~南国の太陽の下で~
リキュール部門
最優秀賞 花田 美咲 ザ・プリンス パークタワー東京
スカイラウンジ ステラガーデン
東京都 coco veil(ココベール)
優秀賞 片山 将志 オーセントホテル小樽
トップラウンジ ポール・スター
北海道 Caribbean Snow
(カリビアン スノー)

サントリー酒類株式会社 代表取締役社長 相場康則氏よりトロフィーを手渡された吉富さんは
「東京オリンピックが決まった時のような衝撃を受けました。このような大舞台に立てただけでも光栄なのに、アワードをいただけるなんて本当に幸せです。まだフワフワして落ち着きません」と受賞の喜びを語った。
プレゼンターを務めたトリンドル玲奈さん
「色もデコレーションもきれいで、とても美味しいです。これからもいっぱい素晴らしいカクテルを作って、お客様を楽しませて下さい」とお祝いの言葉を送った。
受賞カクテル「カリビアン・ドリーム」のレシピは以下の通り。グアバリキュールとオランジーナの爽やかなフルーティーさがまず感じられるが、ブルガル ブランコがしっかりしたボディを作っているので、甘すぎずとてもバランスの良いカクテルだ。ぜひお試しいただきたい。

「カリビアン・ドリーム」
ブルガル ブランコ    20ml
アペロール          20ml
グアバーナ         10ml
ディサローノ アマレット 10ml
オランジーナ         適量
① オランジーナ以外をシェークして、クラッシュドアイスを入れたグラスに注ぐ。
② オランジーナで満たし、軽くステアする。
③ オレンジの皮、パイナップルの葉、シナモンスティックを飾り、ストローを添える

その後、会場はカクテルフェスタへと転換。こちらは「カクテルの世界を広げ、より多くの人に気軽にカクテルを楽しんでほしい」という願いから、昨年初めて開催されたイベントである。ブランドブースに加え、海外バーテンダーや歴代カクテルアワード受賞者によるオリジナルカクテルが提供されるカウンターがあり、来場者は様々なカクテルを楽しめる趣向となっていた。

さらに今回は過去19回のカクテルアワード受賞者の中から11名が参加する「ビーフィーター24エキシビション」がステージ上で行われた。こちらはプレミアムロンドンドライジン「ビーフィーター24」を使用してオリジナルカクテルを創作。優勝者はロンドンで11月6日・7日(現地時間)に開催される「ビーフィーター24グローバルバーテンダー コンペティション」への出場権を獲得する。

このエキシビションは、出場者がヘッドセットを付け、自ら説明をしながらカクテルをつくるスタイル。世界大会を見据え「和」テイストを様々な形で表現したカクテル・演出が見られ、非常にユニークなエキシビションとなった。

審査の結果、優勝者は「Dragon Pepper(ドラゴン ペッパー)」を創作した佐藤 章喜さん(45歳・大阪府 Beso Mary.r<ベッソ マリアール>)に決定。優勝した作品は、柚子や山椒の風味を効かせたショートカクテル。
その興味深いレシピはこちら。

「Dragon Pepper(ドラゴン ペッパー)」
ビーフィーター24          40ml
柚子ジュース100%        10ml
フレッシュライムジュース       10ml
柚子シロップ           20ml
実山椒(Japanese Pepper)   10粒
● 山椒をシェーカーに入れ、ペストルで軽く潰し、その他の材料を入れてシェーク。
茶こしで濾しながら、カクテルグラスへ注ぐ。

佐藤さんによれば、「日本人独自の世界観をカクテルに表現した」とのこと。
佐藤さんは、「カクテルアワードからはしばらく遠のいていたが、ごく最近の若いチャンピオンと戦えること自体がうれしい。ロンドンの大会では皆さんの分まで頑張りたいです」とコメント。歴代のベストバーテンダーとの競演の中で勝ち取っただけに、非常に価値ある受賞となった。ロンドンでの活躍を期待したい。

総来場者数2000名を数え、大盛況となった今回のカクテルアワード&カクテルフェスタは、バーテンダーが繰り広げる真剣勝負の緊張感と、カクテルの魅力を楽しむ来場者の笑顔に満ちたエキサイティングな空間であった。創造性に溢れるカクテルの誕生に立ち会い、また最新のフレーバーを体験できるという魅力的なイベントでもある。探求し努力し続けるバーテンダーの新たな技術と発想で、カクテルはさらに進化していくだろう。次回はどんな驚きや新しい味わいに出会えるか、今から楽しみである。

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