ハイランドパークを味わう【後半/全2回】
ピートとシェリー樽の香りが溶け合うハイランドパークは、傑出したバランスが身上のなスコッチシングルモルトウイスキー。愛され続ける定番品と、個性豊かな限定ボトルを味わってみよう。
文:WMJ
アイラともスペイサイドとも一線を画す独自の個性。それでいて、どんなウイスキーファンも魅了する風味のバランス。スコッチの定番として高い評価を維持してきたハイランドパークは、2017年にヴァイキングの精神を表現したブランディングで豊かな物語性を伝えている。
ボトルのガラスにあしらった渦巻状のデザインとボックスのエンボスは、ノルウェーのウルネスにある12世紀建造の木造教会をイメージしたもの。キリスト教と古代ヴァイキング文化が融合した画期的な建造物で、ユネスコ世界遺産に登録されている。ボックスの側面には『オークニー産 誇りとともに(Made With Pride On Orkney)』の文字。普段は目にしないボトルの底にも、オークニー諸島の地図がエンボスされている。
定番商品である「ハイランドパーク12年 ヴァイキングオナー」は、偉大なウイスキー評論家のマイケル・ジャクソンが「オールラウンドな食後酒の傑作」と評して世界最高点を与えたウイスキー。オークニー産のピーテッドモルトを、高品質なシェリー樽で熟成した味わいだ。ハチミツを思わせる甘い香りに、オークニー特有の軽やかなピート香が溶け合っている。個性の強い要素同士を組み合わせ、絶妙のバランスを引き出すのは容易なことではない。未体験の方なら、まずはこの深い味わいと余韻を楽しんでほしい。
さらに熟成年数を重ねた「ハイランドパーク18年 ヴァイキングプライド」は、評論家のポール・パッカルトが「完璧にバランスがとれた究極のウイスキー」と評した逸品。ジム・マレーの『ウイスキーバイブル』で、95.5点という超ハイスコアを獲得したこともある。ファーストフィルのシェリーカスク比率が45%で、しかも18年という長期熟成なのに樽香だけが突出している訳でもない。これは熟成がゆっくりと進むオークニーの風土によるマジックだ。繊細かつ複雑で、甘み、スパイス、ドライな印象が見事なバランスで溶け合っている。
物語性にあふれた限定品の魅力
2つの定番品の他に、ハイランドパークは魅力的な限定ボトルもリリースしている。現在日本で販売されている2つの商品を味わってみよう。
「ハイランドパーク ヴァルクヌート」は、「ヴァイキング レジェンド シリーズ」の一環として発売されている限定商品。ヴァイキング文化を強く意識したパッケージで、自身もヴァイキングを祖先にもつジム・リングビルド氏によるデザインだ。「ヴァルクヌート」とは北欧神話で命を落とした戦士。生と死、地と天を結ぶ象徴的な存在である。
「ヴァルクヌート」の原料には、オークニー諸島で栽培されるタータン種の大麦も一部使用している。主にアメリカンオークのシェリー樽熟成原酒を使用し、スモーキーなエッジが際立つウイスキーだ。炒ったバニラ、黒コショウ、オーク材、クローブ、アニスなどの香りが、アロマたっぷりのスモーク香に溶け合う。口に含むと甘味を感じ、クローブやアニスのような刺激もある。フィニッシュは力強く、ピート香と甘いスパイスが見事なバランスを見せる。
もうひとつの「ハイランドパーク フルボリューム」は、そのパッケージを見ればユニークなコンセプトがすぐに理解できるだろう。ボックスは大きなギターアンプを模したデザインで、ピートやバニラなどのフレーバーをボリュームのつまみで表現している。スピリッツや樽のポテンシャルを最大に引き出しながら、最高のバランスを追求した「フルボリューム」の音楽を思い浮かべてほしい。
「フルボリューム」は1999年に蒸溜して2017年にボトリングされているため、熟成年数は18年ということになる。シェリー樽の個性を生かした定番品とは異なり、アメリカンオークのバーボン樽熟成原酒100%だ。色はクリアで明るい淡黄色。香りにはバニラ、ココナッツ、マンゴー、パイナップル、スギなどを感じさせる。口に含むとレモンピール、バニラ、そして軽やかなスモーク。フィニッシュは柑橘、スモーク香、クリーミーなバニラなどの余韻が盛大に続く。
北の海風を浴びながら、誇り高いヴァイキングの精神で育まれたシングルモルトウイスキー。ハイランドパークの魅力を、あらためて体験してみたい。
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