アイコンズ・オブ・ウイスキー 2017【前半/全2回】
今年で第15回目を迎えた「アイコンズ・オブ・ウイスキー(以下IOW)」は、ウイスキーマガジンを発行する英国パラグラフ・パブリッシング社が毎年開催する世界的なコンテスト。「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」が製品としてのウイスキーを評価するのに対し、IOWは世界のウイスキー業界に著しい貢献を果たしたメーカー、蒸溜所、人物、小売店などを表彰する。2017年の受賞者を2回に分けてご紹介。
ディスティラー・オブ・ザ・イヤー
サントリースピリッツ株式会社(日本)
1923年に鳥井信治郎が創設した山崎蒸溜所は、ジャパニーズウイスキー誕生の地としても知られている。その50年後、蒸溜技術に磨きをかけたサントリーは、自社で採取できる南アルプスの天然水に恵まれた白州蒸溜所を建設した。卓越した専門技術と高品質の原料素材を駆使しながら、サントリーはワールドクラスのウイスキーをつくり上げてきた。シングルモルトウイスキーの「山崎」と「白州」、ブレンデッドウイスキーの「響」と「角瓶」などが豊かなポートフォリオを構成している。「響21年」はウイスキーマガジンが主催する「ワールド・ウイスキー・アワード2017」でも「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー」に輝いたばかりである。
入賞
ビームサントリー(アメリカ)
インターナショナル・ビバレッジ(スコットランド)
ペルノ・リカール・インディア(インド)
【受賞のコメント】 サントリースピリッツ株式会社 この度は「Whisky Distiller of the Year 」という素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思っております。 |
ブランドイノベーター・オブ・ザ・イヤー
タラモアデュー/ウィリアム・グラント&サンズ(アイルランド)
タラモアデューの魅力は、3という数字ですべて説明できる。すなわち3回の蒸溜、3回のブレンド、3回の樽熟成。創設者のダニエル・E・ウィリアムズと孫が、斬新な手法と決断によってウイスキーづくりに革命を起こした。3種類の天然素材、3種類の穀物、3種類の樽から生まれるタラモアデューのユニークな特色は、これまでも数々の賞に輝いている。シードル樽やラム樽を含む革新的なカスクフィニッシュも、「フェニックス」シングルバッチ限定エディションなどのリリースも、私たちを存分に楽しませてくれることだろう。
入賞
メーカーズマーク蒸溜所(アメリカ)
トマーティン蒸溜所(スコットランド)
ユナイテッドスピリッツ(インド)
ビジターアトラクション・オブ・ザ・イヤー
ハイランドパーク蒸溜所(スコットランド)
ここ1年で15,000人以上のビジターを迎え入れたハイランドパーク蒸溜所は、いまやオークニー旅行で誰もが足を運ぶ観光名所である。1時間のヘリテージツアーから、さらに詳細なコニサーツアーやマグナスユンソンツアーまで、さまざまなレベルのハイランドパーク愛好家を魅了するプログラムが用意されている。ハードコアなハイランドパークファンを自認する方なら、スペシャリストツアーがおすすめ。蒸溜所で1日働く体験を通して、スタッフに自分の実力をアピールしてみよう。島内1周観光、7品コースの食事、1日のツアーを各所で撮影したフォトブック、蒸溜所での限定ボトリングなどを網羅し、生涯忘れられない思い出ができる1人1,000英ポンドのプログラムだ。
入賞
アムルット蒸溜所(インド)
バッファロートレース蒸溜所(アメリカ)
アイリッシュウイスキー・エクスペリエンス(アイルランド)
クラフトプロデューサー・オブ・ザ・イヤー
本坊酒造(日本)
1872年、本坊松左衛門によって創設された本坊酒造は、これまで日本アルプスの麓で小規模な蒸溜所を運営する酒造メーカーとしてウイスキーファンに知られてきた。標高798メートルの宮田村に建つマルス信州蒸溜所は1985年に開業し、山岳部の寒冷な気候、適度な湿気、清らかな水から高品質な「マルスウイスキー」を生産。さらに2016年11月には鹿児島県の津貫で創業家の屋敷のとなりに第2の蒸溜所となるマルス津貫蒸溜所を建設し、すでにスピリッツの蒸溜を開始している。
入賞
グラスゴー・ディスティラリー・カンパニー(スコットランド)
モハンミーキン/ソランNo1(インド)
サンズ・オブ・リバティ・スピリッツ・カンパニー(アメリカ)
【受賞のコメント】 本坊酒造株式会社 2016年、本坊酒造マルスウイスキーは発祥の地である”津貫”に、2ヶ所目となるウイスキー蒸溜所”マルス津貫蒸溜所”を竣工し新たな挑戦がはじまりました。私どもにとって大きな節目となったこの折に、世界最高賞を受賞したことは、大変名誉なことであり、多くの皆様のお蔭と心より深く感謝申し上げます。 |
マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー
田中城太/キリンビール株式会社(日本)
キリンビールでチーフブレンダーを務める田中城太は、28年にわたって飲料業界で研鑽を重ねてきたプロフェッショナル。7年間にわたって米国ケンタッキー州のフォアローゼズ蒸溜所で品質管理責任に従事し、2009年に日本へ帰国すると2010年より富士御殿場蒸溜所のチーフブレンダーに、2017年にはマスターブレンダーに就任した。キリンビールのウイスキー事業をさまざまな面から牽引し、将来に向けた製品開発にも大きく貢献している。
入賞
アラン・ウィンチェスター/ザ・グレンリベット蒸溜所(スコットランド))
ジェフ・アーネット/ジャックダニエル蒸溜所(アメリカ))
マイケル・ドスーザ/ポールジョン蒸溜所(インド)
【受賞のコメント】 キリンビール株式会社 マスターブレンダー田中城太 この度は名誉ある賞を頂戴し大変光栄に存じます。これは創業以来40数年間のキリンウイスキーづくりに携わった人々の英知・技術、そして情熱の結晶だと思っています。原酒と原酒だけでなく、ヒトとヒト、モノとヒト、そして現在・過去・未来を繋ぐ要(かなめ)の役割にやりがいを感じると共に、その責任に身の引き締まる思いです。 |
ディスティラリーマネージャー・オブ・ザ・イヤー
ヴィクトリア・マクレー・サミュエルズ/メーカーズマーク蒸溜所(アメリカ)
ヴィクトリア・マクレー・サミュエルズは、バーボン蒸溜所の運営部門で女性として初めてヴァイスプレジデントの地位に任命された人物だ。メーカーズマーク蒸溜所では専門技能を活かし、90人のスタッフが円滑にウイスキーづくりを進められるよう製造プロセス全体を監督する責任者。蒸溜からボトリングまで、「メーカーズマーク」および「メーカーズマーク 46」の生産を管轄している。
入賞
デイヴィッド・フィット/イングリッシュ・ウイスキー・カンパニー(イングランド)
キース・クルックシャンク/ベンロマック・ディスティラリー・カンパニー(スコットランド)
アメリカンウイスキー・ブランド・アンバサダー・オブ・ザ・イヤー
マット・ジョーンズ/ビームサントリー(アメリカ)
前年もノミネートされたマット・ジョーンズに、祝福のときがやってきた。ウイスキー業界での経歴は18年に及ぶが、出発点となったのはロードハウススタイルのバー勤務。その後、ベリーズと日本で新しいミクソロジーのスタイルを学び、ウイスキーへの愛を再燃させることに。2010年にはカナダで現職のビームサントリーのバーボンスペシャリストに任命され、同社のバーボンのポートフォリオを紹介しながらケンタッキーが誇るバーボンの歴史と文化も広めている。
入賞
アダム・ハリス/ビームサントリー(アメリカ)
アイリッシュウイスキー・ブランド・アンバサダー・オブ・ザ・イヤー
ティム・ハーリヒー/タラモアデュー(アイルランド)
2015年、ティム・ハーリヒーは壮大なパブ巡りの旅に出た。アメリカ50州すべてのアイリッシュパブを30日で制覇して、セントパトリックデーを迎えようというチャレンジである。ウイスキー専門家のなかでも、ティム・ハーリヒーほどアイリッシュへの忠誠を誓っている者はいないだろう。クーリー蒸溜所でウイスキー業界のキャリアをスタートさせ、ウィリアム・グラント&サンズで現職に就任。数多の受賞歴を誇るタラモアデューの代理人として、天性の話術でその魅力や製品の特徴をアメリカ全土に伝えている。
入賞
スティーブン・ティーリング/ティーリング・ウイスキー・カンパニー(アイルランド)