大ヒットRPGとモルトウイスキーが異色のコラボ

December 21, 2015

1989年に発売されたロールプレイングゲーム(RPG)の名作「サガ」シリーズが、3本のシングルモルトウイスキーになった。ドラマチックなラベルと壮大な物語へのイマジネーションが、個性的なウイスキーの味わいに意外なほどマッチしている。

文:WMJ

スマートフォン・PlayStation®Vita版「ロマンシング サガ2」は、2016年前半に発売の見込み。オリジナル版を継承しながら背景やバトルのグラフィックを一新し、デバイス上での操作性も最適化されている。

まさに異色のコラボと呼んでいいだろう。人気ロールプレイングゲーム(RPG)の開発で有名なスクウェア・エニックスと、オリジナルモルトでウイスキーファンにはおなじみの信濃屋。完全な異業種の2社が、夢のある画期的なウイスキーを世に送り出してくれた。

「ロマンシングサガ2」といえば、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などと並び称されるRPGの名作である。累計販売本数100万本を超える人気ゲームと、シングルモルトウイスキーにどんなつながりがあるのだろう。スクウェア・エニックスで本件のプロデューサーを務めた市川雅統氏が語る。

「2014年で25周年を迎えたサガシリーズのために冒険的なコラボをやってみたいと考え、思いついたのがウイスキーでした。古くからのRPGファンはウイスキーが楽しめる年代になっています。ウイスキー好きの私にとって信濃屋の北梶さんは伝説の人でしたが、同世代の人だと知って嬉しくなりました」

ゲームのキャラクターを表現したウイスキーを商品化したい。そんな依頼は、スピリッツバイヤーの北梶剛氏(信濃屋)にとっても初めての経験だった。

「ロマンシングサガ2は、子供の頃からずっとプレイしてきたゲームだったので驚きました。キャラクターに合致したテイストをスコットランドで探すのは難問でしたが、3本とも納得のできるものに仕上がっています」

題材となる「ロマンシングサガ2」は、「七英雄の伝説」を主題としたRPG。ユーザーが自由に冒険できる「フリーシナリオシステム」や、主人公を入れ替えながら冒険が続く「皇位継承システム」で一国の歴史を描く壮大なストーリーが魅力である。その待望のアップデートともいうべきスマートフォン・PlayStation®Vita版「ロマンシング サガ2」は、2016年前半に発売される見通しだ。

 

サガ伝説を表現した3本のモルトウイスキー

画像左より「イスカンダール」「ジェラール」「ファイヤーブリンガー」。ウイスキーの特徴を想起させる、小林智美氏のイラストがドラマチックだ。

さて、3種類のウイスキーを見てみよう。ラベルは小林智美氏によるイラストレーションが迫力十分だ。裏ラベルも面白い。ゲームデザイナーの河津秋敏氏によるキャラクターの解説と、信濃屋の北梶剛による詳細なテイスティングノートが記されている。

3本のうち、熟成年数がもっとも長いのは「ジェラール」。その内容は1990年のブナハーブン(25年、48.3%)で、サガシリーズの25周年を記念している。ゲーム界の「橋本名人」こと橋本真司氏(スクウェア・エニックス)も美味しさに太鼓判を押す。

「ワインとウイスキーを愛していますが、芳醇な香りに感動しました。もったいないので、ちびちび飲んで楽しみたいですね」

次に熟成年の長い「イスカンダール」は、「アンリミテッド:サガ」に登場する英雄をイメージしたもの。豪華絢爛なイメージのキャラクターを、1996年のクライヌリッシュ(17年、51.3%)で表現した。北梶氏が説明する。

「中期熟成の特長を引き出し、柑橘系のフルーティーさも備えた華やかな仕上がりになっています。食後でも食前でも楽しめる、オールラウンダーのシングルモルトです」

残る「ファイヤーブリンガー」は、これからお目見えする開発途中のキャラクター。燃えるような荒々しいイメージを、とリクエストを受けた北梶氏は、2006年のカリラ(9年、50.4%)を選んだ。比較的若いウイスキーだが、スモーキーな潮気が力強い。市川氏が味わいながら感想を漏らす。

「度数が50.4%もあるのに、マイルドで飲みやすい。でも喉を通り過ぎるときの熱さと個性的なテイストが、キャラクターに合っています」

サガシリーズの生みの親ともいうべき河津秋敏氏(スクウェア・エニックス/サガシリーズ・エグゼクティブプロデューサー)も、ウイスキーの内容に満足気だ。

「高級感のあるコラボ商品ができました。限定エディションはワクワクしますね。半年ぶりに飲んだけれど、やっぱりうまい。モルト好きにはたまりません」

サガの創世記、中期、そして未来を象徴する3本のウイスキーは、2016年1月15日より発売。それに先立って12月23日には信濃屋店頭で予約が開始され、ネット予約は1月8日に解禁になる。ボトルは日比谷Bar各店で取り扱うほか、系列の銀座B.E.HOUSEではコラボイベントも計画されていると北梶氏が明かした。

「幅広い方々にウイスキーを知っていただくためのコラボなので、とにかく飲んで味わってください。ラベルを見ながらゲームとウイスキーの世界を楽しんでいただきたいですね」

 

SaGa25周年記念ボトリング

ブナハーブン1990 25年「ジェラール」 22,500円+税

クライヌリッシュ1996 17年「イスカンダール」 17,500円+税

カリラ2006 9年「ファイヤーブリンガー」 15,500円+税

 

発売日:2016年1月15日

信濃屋実店舗各店予約開始:2015年12月23日~販売予定数終了まで(※一部店舗を除く)

信濃屋WEBショップ予約開始:2016年1月8日正午~販売予定数終了まで

http://www.shinanoya-tokyo.jp

 

 

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