「2018 サントリー ザ・カクテルアワード」受賞作品が決定
シェーカーの音が鳴り響き、ステージには緊張感がみなぎる。日本一のカクテルを決める最終選考会を勝ち抜き、今年の「サントリー ザ・カクテルアワード」の頂点に立ったカクテルとは?
文:WMJ
カクテルを貴重な洋酒文化のひとつと位置づけ、将来にわたって育むことを目的に1994年から毎年実施されている「サントリー ザ・カクテルアワード」。プロフェッショナルのバーテンダーたちが、カクテルの創造性と技術を競い合う真剣勝負のコンペティションだ。今年の最高峰のカクテルを決める最終選考会が、9月27日にグランドハイアット東京で開催された。
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2018 サントリー ザ・カクテルアワード」の優秀賞以上に輝いた4名のバーテンダー。左から、古閑真一朗さん(ロングカクテル部門優秀賞)、中野賢二さん(ロングカクテル部門最優秀賞)、澁谷暁典さん(カクテルアワード2018およびショートカクテル部門最優秀賞)、石本匡史さん(ショートカクテル部門優秀賞)。
8月のファーストステージ(書類審査)、9月のセカンドステージ(応募者本人の創作による試作審査)を経て、ファイナル(最終選考会)へとノミネートされたのは12作品(「ショートカクテル部門」6作品・「ロングカクテル部門」6作品)。日本各地から12人のバーテンダーたちが集い、グランドハイアット東京のステージで独創性と技術を競い合った。
ステージの下で真剣な眼差しを送るのは、日本の洋酒業界を代表するバーテンダーや識者たち。実技と試飲によって「ネーミング」「味」「見栄え」「独創性」「将来性」「技術」「プレゼンテーション」の7項目が審査される。試技が終わると各部門の優秀賞、最優秀賞を1作品ずつ選出し、最優秀賞2作品のうち1作品を「カクテルアワード2018」に選出した。
カクテルの美を極めた最優秀作品
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プレゼンテーションが終わった後、12人のファイナリストがカウンターで出品作をふるまう。隣接する会場では、過去の受賞者たちも自慢のカクテルを用意した。カクテル文化の今を感じられるのが、恒例カクテルアワードの魅力である。
「紫翠とは、山の木が瑞々しく美しい様子を表す言葉。国産ボタニカルを使用した『ROKU』ジンをベースに、『ミスティア』のジューシーな甘み、『ジャポネ<抹茶>』のほどよい渋み、アクセントに『わつなぎ 生姜』の上品な辛味を加えて爽やかな味わいに仕上げました。山に芽吹く草木が朝露に濡れ、心地よい風に花びらが舞い、陽射しも和らぐ爽秋の訪れを表現しています」
澁谷さんがこのアワードに応募するのは3回目。過去2回は「サウザ ブルー」を使用したテキーラベースのカクテルでファイナルに出場したが、今回はあえてジャパニーズクラフトジン「ROKU」をベースに採用したのだという。
「バーテンダーになって初めて、ジンベースのカクテルの創作に挑戦しました。3度目の正直で夢が叶って感無量です。これまで指導してくれた皆様には感謝の気持ちしかありません」
審査員を務めた雑誌「Pen」の安藤貴之編集長も、澁谷さんの受賞作品についてコメントした。
「何よりも強く感じるのは、このお酒の美しさ。見た目の色、ネーミング、味わいのすべてが美しく、まさに美のトライアングルの最高到達点に位置するカクテルだと思います。『ROKU』のボタニカルが持つ複雑さも、本当にきれいに引き出されていると感じました」
澁谷暁典さんには「海外カクテルの旅」と賞金50万円が授与され、これから1年間「サントリー カクテル アンバサダー」としての活動も待っている。新しい役割に向けて、澁谷さんが抱負を語った。
「いろんなカクテルを、いろんなお客様に飲んでいただけるよう、さまざまな発信をしていきたいと思います」
なお澁谷暁典さんの作品はショートカクテル部門の最優秀賞も兼ね、ロングカクテル部門の最優秀賞は中野賢二さん(東京都「ホテルオークラ東京」勤務)の「和ごころ」が受賞。またショートカクテル部門の優秀賞は石本匡史さん(兵庫県「BAR SLOPPY JOE」勤務)の「華雅(ハナミヤビ)」、ロングカクテル部門の優秀賞は古閑真一朗さん(福岡県「Bar Éadrom」勤務)の「Bienvenue」がそれぞれ受賞した。
カクテルアワード2018
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「2018 サントリー ザ・カクテルアワード」の公式サイトはこちらから。
カクテル文化の育成と成長を支えるサントリーのオフィシャルウェブサイトはこちらから。
https://www.suntory.co.jp