175号 テイスティングコメント 【前半/全2回】

July 2, 2021

from Issue 175

テイスティング:フィービー・カルバー、クリストファー・コーツ


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

A・スミス・ボウマン ジョン・J・ボウマン シングルバレル    50.0%

  • 蒸溜所名: A・スミス・ボウマン蒸留所
  • 地域: バージニア
  • 価格帯: £26-70
  • 入手可能場所: コアレンジ

フィービー・カルバーSCORE8.6

香り
バニラ味のライスプディングを思わせるトースト香。野花のフローラルな印象があり、後からねっとりしたトフィープディングの香りも現れる。そこには唾液を誘うデーツやドライなハーブ香も伴っている。
ねっとりしたトフィープディングのリッチで繊細な味わい。そこにオレンジの皮や溶けたミルクチョコレートの風味が分け入ってくる。クローブとシナモンのスパイスを感じ、その後からクレームブリュレの甘味、マデイラケーキ、赤黒いベリー系フルーツのジャムなどの風味が立ち上がる。
フィニッシュ
スムーズなフィニッシュで、余韻の長さはミディアム。マデイラケーキとクローブのスパイス香を残す。
コメント
心地よい味わいのウイスキー。穏やかな複雑さがあり、飲み口はスムーズ。マンハッタンのベースにしたらとても良さそう。

クリストファー・コーツSCORE8.5

香り
焼きたてのコーンブレッド、トフィーソース、オールブラン(シリアル)、シナモンたっぷりのジンジャーケーキ。オレンジオイルとバージニアタバコの香りもあり、新しい革製品やセイロンティーのような印象も感じる。加水すると、繊細なセージやローズウォーターの香りがはっきり目立つようになる。
辛味はすぐに消えていく。口当たりはかなり軽い。オレンジの砂糖漬けとショウガの風味があり、たっぷりのシナモンも感じさせる。砂糖漬けのチェリーとフォンダンの糖衣。焼いた砂糖のようなカラメル風味がかすかにあり、繊細なバラの香りでまとめられている。
フィニッシュ
余韻の長さはミディアムからショート。風味が消えていくと、青リンゴの後味が残る。シナモンのような余韻が長い。
コメント
毎日ちびちび飲める堅実なウイスキーとして、個人的にキープしておきたい。少し水を入れると心地よく香りが開く。でも美味しいからといって飲みすぎないように注意。



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