181号 テイスティングコメント 【前半/全2回】

April 26, 2022

from Issue 181

テイスティング:フィービー・カルバー、クリストファー・コーツ


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


世界のウイスキー検索

Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

グレングラッサ 50年  50年  40.1%

  • 蒸溜所名: グレングラッサ蒸溜所
  • 地域: ハイランド
  • 価格帯: £181~
  • 入手可能場所: EU、アジア

フィービー・カルバーSCORE8.9

香り
本当に素晴らしい香り。黒っぽい果皮のフルーツ、生のイチジクとマスカルポーネチーズ、アーモンドタルトなどの香りがたっぷり。かすかな塩気があり、ほとんど塩キャラメルのような印象。やがて穏やかな温かい甘口のスパイス。
フルーツ風味が増してくる。乾燥パパイヤのトロピカルな印象。やがてベイクウェルタルトに乗せたチェリーの風味。オーク材のスパイスも増して、リッチな赤いベリー系フルーツのコンポートを思わせる。
フィニッシュ
フルーツ香がまろやかに変化し、ザクロのような戻り香になる。そのフルーツにアーモンドフレークを散らしたような余韻。
コメント
このウイスキーを味わえた自分が幸運だと感じた。甘味と塩気が完璧な調和をなしており、もっと味わってみたかったと思わせる。

クリストファー・コーツSCORE8.8

香り
ハーブ(セージ、タイム、ヒース)の香りがあって、やや土っぽい印象。発酵しかけたリンゴ、トマトのヘタ、ペパーミントの葉。黒鉛、ペンキ、プラモデル用接着剤。革製品、パプリカ、かすかな葉巻の煙。
口当たりは、ミディアムボディ。リコリス、赤ブドウジュース、シンダートフィー。香りで感じたハーブがそのまま味覚でも再現される。焼いたクルミ、かすかなヒラタケ、黒糖蜜。マスコバド糖、アニス、白味噌。
フィニッシュ
余韻の長さはミディアム。セージとタバコの余韻がいつまでも続く。
コメント
尊さを感じるほど、香味が凝縮された長期熟成のウイスキー。長い年月の積み重ねでしか生み出せないフレーバーを追い求める人々に喜ばれるだろう。



カテゴリ: Archive, features, tasting, TOP, テイスティング, 最新記事