バーボンに革命を起こす、古くて新しい究極のウイスキー

August 25, 2015


ケンタッキー最古の蒸溜所で生まれる、革新的なクラフトバーボン。ウッドフォードリザーブ蒸溜所のマスターディスティラー(最高製造責任者)、クリス・ モリス氏が8月中旬にウッドフォードリザーブとして初の来日を果たした。唯一無二のウイスキーづくりを解剖する、ウイスキーマガジンの独占インタビュー。

監修・構成:ステファン・ヴァン・エイケン
インタビュー:マイク・マーフィー

ウッドフォードリザーブの身上はフレーバーだと断言するクリス・モリス氏。珍しいスイートマッシュや長時間発酵もそのためだ。

ウッドフォードリザーブの風味は、どのような要素で構成されていますか?

ジャックダニエルの国際的な成功を契機に、ウッドフォードリザーブはバーボンを超えるバーボンを目指してきました。ワイン、ビール、コニャック、モルトウイスキーなどを愛飲する世界の人々に向けて明確な特徴を打ち出すため、私たちは独自のグレーンレシピを開発しています。コーン比率を下げる代わりに、ライとモルトの量を増やすことでスパイシーな風味が加えました。もちろんハチミツ、ショートブレッド、ナッツのような素晴らしいモルト香も備わっています。

 

ケンタッキーの土壌は、ウイスキーにどのような影響を与えていますか?

ウッドフォードリザーブは、地下深くから井戸水を汲み上げて取水できるため、仕込み水をろ過する必要がありません。この石灰質が豊富な硬水に含まれる各種ミネラルは、微量栄養素となってフローラルな香りを生み出します。この水の活用法については、同じような硬水を仕込み水にしているグレンモーレンジィの実例を参考にしました。

 

発酵時間の長さは、ウッドフォードリザーブの風味にどのような影響を与えますか?

ほとんどのウイスキーは2日半〜3日の発酵時間でつくられますが、ウッドフォードリザーブでは発酵に6日間を費やします。私たちは発酵に時間をかけることでフルーツのようなエステル風味が得られることを発見したのです。ビール、ワイン、コニャック、ポートワインなどを好む世界中の人々に魅力を訴えるには、このフルーティな特徴が重要になります。

 

銅製ポットスチルによる3回蒸溜を採用したのはなぜですか?

グレーンレシピ、石灰質の仕込み水、長時間発酵などから生まれる特徴を、漏らさずに表現できるのがポットスチルです。アイリッシュウイスキーや、オーヘントッシャンのようなスタイルを目指し、スコットランドのフォーサイス社にスチルを設計してもらいました。現在アメリカでこのような3回蒸溜をおこなっている蒸溜所はウッドフォードリザーブだけ。フルーツ、スパイス、バター、ナッツなどの風味を含んだスピリッツが生み出されます。

 

原料、発酵、蒸溜、熟成のすべてが独創的。ウイスキー史の知見と、旺盛な実験精神が新しい味わいを生み出す。

自社で樽工房を保有するメリットはどのようなところにありますか?

ブラウンフォーマン・クーパレッジではワイン樽の製造もおこなっていたので、樽の焼き加減について多くの知見があります。樽を焼くと、ウイスキーの中にリッチなバニラ香が引き出されます。私たちはワイン樽のように焼き、バーボン樽のように焦がした唯一無二のウッドフォードリザーブバレルを独自に生み出しました。ウイスキー史上もっとも深く火を入れたこの樽には、アルコール度数を低めにしたスピリッツを注入します。そうすることで樽の使用量を14%増やし、バニラ、キャラメル、チョコレート、バタースコッチなどの甘いアロマを増加させました。熟成後、ボトリング時の加水が少量で済むため、風味が薄まることもありません。

 

ウイスキー史の研究成果はどのように活かされていますか?

ウッドフォードリザーブは風味を最大の特徴とするウイスキーであり、その独自の風味を得るためにしばしば過去のウイスキーづくりを参考にしてきました。例えば、ウッドフォードリザーブは、一般的なサワーマッシュではなくスイートマッシュを用います。歴史を遡れば、バーボンにもサワーマッシュ不在の時代がありました。そして1903年におこなわれていた4種類のグレーンレシピを、廃業した蒸溜所の古い戸棚に残されていたファイルから発見して実践したのも歴史の実践です。古い製造方法を知ると、どういうものか試してみようという気になるのです。

 

革新的な「マスターズコレクション」の発想はどこから得られたものですか?

マスターとは私のことではなく、過去のマスターたちのこと。サワーマッシュや新樽熟成など、かつてのウイスキーマスターたちが見出してきた革新へのオマージュです。私はいつも固定観念に挑んでいますが、その挑戦が闇雲なものであってはいけません。グレーンレシピ、イースト、発酵時間、蒸溜方法などを一度に全部変えてしまったら、原因と結果の関係が見失われます。だから私のイノベーションは、要素をひとつだけ変えるのがモットー。グレーンレシピを変えたら、それ以外をこれまで通りにつくることで、何がどう変わったのかを明確に理解できるのです。

 

極めて実験的なウイスキーづくりの過程で、失敗例などはありますか?

 実験の産物をボトリングすることはありません。実験が成功して、商品化できると判断したときだけ正式に生産を開始します。例えば、熟成が完了したウッドフォードリザーブを、さまざまなワイン樽でフィニッシュする実験をしました。シャルドネ、カベルネソーヴィニヨン、メルローなどさまざまなワイン樽で効果を比較するのです。樽を満タンにしたり、半分だけ入れてみたり、アルコール度数を変えてみたり。そして飲めなくなるほど風味が変わるまで、風味の変化を日誌につけ、時間の経過とフレーバーの関係を一望します。実験全体では、まったく使い物にならないものや、望んだとおりの結果が得られないものもあります。ウッドフォードリザーブをテキーラ樽に入れてみましたが、好みの味になりませんでした。

 

新世代のウイスキー開発の成果を、日本で味わえるのはいつ頃になりそうですか?

深い味わいはクラシックなカクテルにもぴったり。来年は日本市場でもユニークな新商品が販売される予定だ。

 来年(詳細な時期は未定)に「ダブルオーク(Double Oaked)」が日本でも発売予定です。これはいわゆるフィニッシュドウイスキーで、熟成が済んだウッドフォードリザーブをさらに2つ目の樽で寝かせたもの。世界一トーストが深いウイスキー樽として知られるウッドフォードリザーブバレルより4倍も長い時間トーストし、燃焼しないぎりぎりの5秒間だけチャー(焦がし)を加えます。この2つ目の樽でさらに約1年間熟成すると、特別にダークなウッドフォードリザーブができるのです。メープルシロップのように甘いアロマが前面に押し出され、同じアルコール度数なのに舌触りがしっかりとしたヘビーボディ。加わったのは自然の木の成分だけであり、人工着色料や香料は一切使用していません。

 

ウイスキーづくりを始めてから、これまでに感じたもっとも大きな変化は何ですか?

 私がブラウンフォーマンに入社した1976年は、バーボンが長期間の衰退期に入った頃で、スコットランドにもケンタッキーにもウイスキーツアーなどは存在しませんでした。それが今ではどこの蒸溜所にもビジターセンターがあり、何万人もの人々が新しい体験を求めて訪れるようになりました。また近年はアメリカンウイスキーのカクテルも復活しています。オールドファッションド、マンハッタン、ミントジュレップなども一度は衰退しましたが、再びクールなトレンドとしてもてはやされているのです。フィニッシュにも革新が起こっており、ウッドフォードリザーブも4種類の樽で熟成した世界初のウイスキー「フォーウッド」を発表しました。古い伝統の枠内でも、さまざまな変化が起こっています。

 

バーボン業界とウッドフォードリザーブが直面している課題は何ですか?

ウッドフォードリザーブやウイスキー業界の成功に触発された人々が、さらなる革新を目指してウイスキー業界に参入しています。このような新しいウイスキーへの高評価を持続していくのが目下の課題。需要増大に対応すべく生産工程を簡略化する必要に迫られる可能性もあり、そこで最高の技術水準と品質をいかに保っていくかが重大な問題になります。ウッドフォードリザーブが、生産力向上のために品質を犠牲にすることはありません。高品質なウイスキーだけを供給できる適正在庫を守っているため、市場参入20周年にしてようやく日本市場にも本格進出する用意ができたのです。

 

ウッドフォードリザーブの商品情報はこちらから。蒸溜所の横顔、おすすめのカクテルなどを紹介した販売サイト「アサヒショップ」もリンクからご利用いただけます。

 

 

 

WMJ PROMOTION

 

カテゴリ: Archive, features, TOP, 最新記事, 蒸溜所