蒸溜所ツーリング【3日目/全7日】

June 16, 2013

バイクでスコットランドの景観を楽しみながら、ブレンデッドウイスキーを完成させる。そんな夢のようなツーリングを決行した。

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6月4日

カークウォールからフォート・ウィリアム
220マイル(ロブとケン、夜に合流したトムの手記)

RA:オークニーでの元気で早い目覚めだ。我々はステネスで一通りのバイクの写真を撮影した。ステネスは有名なリング・オブ・ブロガーのそばにある、石の並んだ場所で、メーハウを少し過ぎたところである。この石の並びがあまりにも魅力的だったので、フェリーの時間を気にしながらも我々はブロガーまで行くことにした。

フォート・ウィリアムまでの道中で、シングルモルトTVロブ・ドレイパーは何か撮影をしておこうと考えた。残念ながら、きっちりとしたカメラ機材で撮影されるのに慣れるまではどうしても緊張がほぐれないものである。私の誤判断によるケンの後輪のちょっとしたトラブルなどを経て、今日最初の立ち寄り場所に到着した。グレンモーレンジィである。

案内役のアナベル・マイクルは、誇らしげに新しいスティルを紹介してくれたが、まだ先が長い我々はサンプルを飲めない。代わりにスープとサンドイッチを戴き、再び道の上に出た。目指すはネス湖フォート・ウィリアムである。

一行はハリエニシダの花畑を通り抜けて行く。目の回るような蜜と花の香りで空気が満ち満ちている。アーカート城にやってきた。スコットランドで最も好きな城のひとつである。場所も、歴史も、雰囲気も気に入っている。

次の目的地はスピアン・ブリッジのコマンド・メモリアルである。ここにはロベット卿による兵士達の銅像がある。戦争での犠牲者たちの痛ましい記憶を留めるための場所なのである。

幸運を願って銅像の兵士の片方の靴をこすり、山々の偉大な眺めを見つめながら素早い祈りの言葉を口にして我々は進む。ついにフォート・ウィリアムでBBCスコットランドの代表、トム・モートンに合流した。

トムの明るい赤色のトライアンフ・トロフィにすぐに気付く。傷ついたパネルを押さえるためにテープが無造作に貼付けてある。

KH:蒸溜所で何枚か写真を撮る為に早起きをして、さらにステネスでバイクと世界遺産の組み合わせを撮影してみた。

グレンモーレンジィからの走りは素晴らしいものだった。途中ミュール・オブ・オードビューリードロムナドロヒトを通り過ぎ、アーカート城で少しだけテレビと写真撮影のために停まった。
最後にここを訪れたときとは少し変わっている。草が生い茂って城をわかりにくくしているし、閉鎖されている。我々はそのあたりを少し彷徨い、門のひとつをあけて写真のためにバイクを入れてみた。その先はグレート・グレン、そしてスピアン・ブリッジコマンドメモリアル。ロブと私はコーナーや、バイク、そして道について他愛もない話を興奮気味に続けていたが、やがて私の防水ズボンの片足のほうが裂けていることに気が付いた。銅像の片足を幸運を願ってこすり、ベン・ネビス山系の勇姿にみとれ、そしてようやくフォート・ウィリアムに到着した。これまでの全行程でエンフィールドに困らされたことはない。時速55マイル以下なら振動も我慢できるし、ギアボックスのコツも掴んでいる。本当に正しいギアに入っているかを確認できるだけの余裕をみてギアチェンジを早めに行うこと。ここまでの道に相応しい偉大なるバイクだ。

フォート・ウィリアムは変わっていない。トムトライアンフ・トロフィが合流した。たぶんロブがボン・ネビルがいかにスムーズで快適かをこれ以上言い募ることはなくなるだろう!

TM:フォート・ウィリアムには午後遅く到着した。この街の記憶は私の中にしっかりと刻まれている。ハイランドならびにアイランドのレポーターとしての4年の間にここで多くの時間を過ごしたのだ。パークロッジ・ゲストハウスの場所も知っている。だが恐るべき一方通行システムを5周しても、辿り着くことができない。バイクを停めストリートマップを広げた。

フォート・ウィリアムはベン・ネヴィス山系の中央にある。しかし残念ながら街中からはこの英国で一番高い山を見ることはできない。

21時に、携帯が鳴った。「階下に来たぞ」とロブ。さあ旅の始まりだ!

ラストオーダーぎりぎりに「ベン・ネヴィス」に滑り込んだ。パブ名物であるウォークマンのような形をした冷凍食品のラザニアはあまり温まりきってはいなかった。前日に選んだハイランド パークのサンプル(力強い。シェリーとピート、微かな海風の素晴らしい組合せのハイランド パーク)を少しばかり嗅いで口に含んでみたりしたあと、フォート・ビル(休暇中の兵士の幽霊たちが兵舎に戻って行くという場所)の奇妙で邪悪な感じがする通りを歩いてパークロッジに戻りベッドに潜り込んだ。明日は早起きだ。13時のアイラ島行きのフェリーに乗るべくケナクレイグに向かわなければならない。ということは街への到着は0時15分。オーバンを経由して100マイル前後の距離である。

さあ、ポート・アスケイグキルホーマン蒸溜所に向けて休息を取るとしよう。

 

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