ウイスキー用語集―AからZまで【Y】

December 12, 2014

1月に始まった「ウイスキー用語集」もついに最後の「Y」を迎えた。この回では「イースト」、酵母について説明する。

現在、世界中でウイスキーの成分や発酵や蒸溜、熟成などの工程を科学的に分析している。20年前に比べれば、格段に効率よくウイスキーを生産することや風味の良いウイスキーを生み出すことも可能になっているだろう。
そして将来的に、文字通り「顕微鏡で明らかになる」注目の分野はイーストである。

かつてウイスキー業界では、イーストは大麦の糖をアルコールに変える以外蒸溜にほとんど影響を与えないと考えられてきた。しかし現在ではイーストが最終的な、熟成を終えたウイスキーのフレーバーに影響を与えるのではないかという考えが主流になっている。

イースト…酵母とは、実は一連の様々な種類の菌が集まっているもので、培養することができ、成長して菌株になることができる。ある種の菌株はウイスキーの製造過程に影響を与え、アルコールの生産量を変える。なぜなら、イーストは糖を食べてアルコールと二酸化炭素に変えるからである。
イーストは空気(酸素)のある環境では糖類を消費し、増殖しながらその糖を二酸化炭素と水に変える。しかし酸素がない状態では、糖からアルコールと二酸化炭素をつくるのである。この工程が「発酵」…アルコールがつくられる瞬間だ。

例えばビール。良く知られているが、上面発酵/下面発酵もイーストの違いで全く違うビールが造られる。ワイン用、日本酒用…世界には様々な種類のイーストが 存在する。ウイスキーの場合は蒸溜酒用に開発されたものを多く用いるが、概ね各蒸溜所にて独自のイーストを使用することが多い。

アルコールをつくるイースト菌の開発への大規模投資により、イーストはウイスキーづくりにおいてより一層重要な部門になり、蒸溜業者は情熱をもって自分たちのイースト菌株を保護するようになった。

用語集―【Y】

イースト(Yeast)
酵母。 発酵によって、麦汁等に含まれる糖をアルコールに変える働きをする。本文参照。

イヤーズ・オールド(Years Old)
年数表記。 熟成した年数を表記する際に使用。y/oとも表記される。シングルカスクウイスキーの場合はその樽の熟成期間、樽どうしのバッティングを行うシングルモルト、ブレンデッドウイスキーでは、使用された最も若い原酒の年数表示をしなければならない。ブレンデッドウイスキーで12年の表記があるものは「最低12年熟成させた原酒を使用している」という意味。
年数表記をしないものは「ノンエイジ」「ノーエイジ」と呼ばれ、現在多くのブランドでリリースされている。
しかし「年数表記がない=若い 」ということではない。年数表示の制限にとらわれることなく多様な原酒を使用できるという利点もあるので、ブレンドの幅が広がる。そのため秀逸な製品が生み出されることも非常に多くなってきた。

————————————————————————————————————————-

1年にわたってお届けした「ウイスキー用語集」、ご参考になっただろうか?
2015年はまた新たな特集でウイスキー情報をまとめていくので、どうぞお楽しみに。これからも「ウイスキーのオンライン百科事典」としてご活用いただければと思う。

過去の用語集はこちら

 

カテゴリ: Archive, テクノロジー