Hot Whisky特集・1【ホットオールドとフードマリアージュ】
冬の寒さを温めてくれるウイスキーをさらに温かく…ホットウイスキーはこの時期限定のお楽しみだ。WMJがホットウイスキーの新たな魅力を発見する特集第1弾…冬の定番、鍋と一緒にホットオールドをご提案。
ホットウイスキーと言われて、皆さんは何を思い浮かべるだろう? 平たく言えば、ウイスキーのお湯割りであるが、普段あまりこういった飲み方はされないのではないだろうか。
しかしそれでは、勿体ない。お湯で割ることで新たなウイスキーの魅力にも出会えるのである。今回の特集では、いろんな角度からホットウイスキーの楽しみ方をご紹介したい。初回は家で手軽に楽しむことから始めてみよう。
まず、ベースとなるウイスキー。こちらはお好みだが、親しみやすいブレンデッドがお勧めだ。ハイボール同様シングルモルトでも美味しいが、シェリー香の強いものやスパイシーなものは特にはお勧めしない…こちらはストレートで楽しんでいただいた方が良いだろう。というのも、ホットではお湯で温められてウイスキーの香りが立ち、湯気とともに漂う。記者の感覚ではあるが、樽の影響の強すぎるウイスキーではえぐみが出やすい。モルティさや穀物由来の甘みの感じられるウイスキーが向いている。
そこでブレンデッドの出番である。今回は、ホットウイスキー専用マグをつけて発売される「サントリー オールド」(1月14日発売)に注目した。こちらのマグは「オールド」のボトルに似た、ころんとした形状が愛らしい。大きさもやや小ぶりで、ホットウイスキーが冷める前に飲みきれる嬉しいサイズだ。マグの内側には赤い丸がついており、この位置までウイスキーを注ぐという目印になっている。そしてウイスキーの量(このマグでは30ml)の3~4倍程度のお湯を注げば完成。お湯は80度くらいがちょうど良い。お湯で割るだけとシンプルなので、家飲みにはぴったりな飲み方だ。
さてホットウイスキーの準備が整った。このまま飲むのも良いが、家庭で飲むのならやはり食事とともに楽しみたい。
冬の食べ物といえば…やはり、鍋。熱い鍋料理だったらビールが一番、と思われるかもしれないが、ぜひ一度試していただきたい。
熱々の鍋をつつきながら冷たいハイボールやビールを飲むと確かに美味しいが、ホットウイスキーの柔らかい香りと、お湯でカドの取れたまるい味わいが実に合うのだ。舌を急に冷やすことがないので、鍋料理の良さ―出汁の旨みや、味のしみた食材の美味しさが損なわれることなく楽しめる。
今回WMJでは鳥の水炊きに合わせてみた。やはりウイスキーの香りを壊さないために、鍋の種類もあっさりしたものが良いだろう。白菜や豆腐の優しい甘味、鶏肉のジューシーさにオールドの調和のとれたまろやかさがとても良く合う。
家族との団らん、あるいは友人とのホームパーティ。楽しい時間に花を添えてくれるのは、派手さはなくとも安定した味わいのオールド…なんだか一回り大人になったような気さえするのである。
また、軽く飲みたいというときには、乾きモノや燻製などの定番おつまみと合わせるのもちろんいい。
記者宅で眠っていたカラスミも軽く炙ってホットオールドに合わせたら、冷たいままでは感じられなかった素材の旨みがじんわりと引き出され、至福の晩酌となった。ホットウイスキーで暖まった舌が、いつものおつまみに新鮮な驚きを感じさせてくれる。
あるいは生チョコレートがあったら。言うまでもなくウイスキーとの相性はばっちりだが、ストレートだけではなく少し濃いめのホットウイスキーに合わせてみよう。ソフトなチョコレートがあたたかいウイスキーとともに口の中でふわりと溶け、絶妙のマリアージュとなる。バレンタインデーまであと1か月…今年はこんな楽しみ方はいかがだろうか。
古きを訪ねて新しきを知る。ホットオールドはそんな新しい楽しみを教えてくれる頼もしい存在だ。あの有名なCMのテーマ曲や、「OLD is New―恋は遠い日の花火ではない」などの名コピーを懐かしく思い出しながら、古くて新しいホットオールドを。寒い、辛いばかりが冬ではないと、実感できること請け合いだ。