アイコンズ・オブ・ウイスキー 2019【後半/全2回】
「アイコンズ・オブ・ウイスキー(以下IOW)」は、長年に渡ってウイスキー業界に貢献して貢献してきた人々への祝福。ノミネートから地域ごとの最高賞を選び、最終的な投票で今年の世界一を決める。ウイスキー業界の「今」を象徴する2019年度の受賞者を前半に引き続き一挙にご紹介。
ビジターアトラクションマネージャー・オブ・ザ・イヤー
スーザン・コルヴィル/ベンロマック蒸溜所(スコットランド)
豊富な経験に恵まれ、カスタマーサービスへの情熱を忘れないスーザン・コルヴィル。スペイサイドで生まれ育ち、2013年にベンロマック蒸溜所で働き始めた。その役割は、ビジター専用のガイドたちからなるチームを率いること。毎年蒸溜所に訪れる何千人もの来客たちを相手に、自分が間近で見聞きしたウイスキーづくりの体験をわかりやすく解説して大好評を博している。
入賞
リテイラー・オブ・ザ・イヤー(複数店舗)
ラ・メゾン・デュ・ウイスキー(フランス、レユニオン、シンガポール)
希少なボトルの圧倒的なセレクションを誇り、見事なまでに美しいテイスティングルームも備えたラ・メゾン・デュ・ウイスキー。1956年に設立して以来、ショッピング体験の概念を超越した店舗として成長し、今では希少なウイスキーの輸入販売を専門とするフランス最大規模の店舗として知られるようになった。まだまだ拡大するウイスキー市場からも追い風を受け、ラ・メゾン・デュ・ウイスキーはこれまでにパリ、レユニオン、シンガポールで数々の店舗を成功させている。
入賞
リテイラー・オブ・ザ・イヤー(単一店舗)
ケルティック・ウイスキー・ショップ(アイルランド)
アイルランドのケルティック・ウイスキー・ショップは、ダブリンの中心地にある高級ウイスキーショップ。2003年6月に開店して以来、アイルランド国内外からやってくるウイスキー愛好家のメッカ的存在になった。過去14年にわたってあらゆるアイリッシュウイスキーの生産者との強固な信頼関係を育て、限定商品の販売、新商品の発表会、テイスティングイベント、蒸溜所ツアーなどの特別なサービスも提供してきた。
入賞
リテイラー・オブ・ザ・イヤー(オンライン)
マスター・オブ・モルト(イングランド) www.masterofmalt.com
高級で希少なモルトウイスキーにかけては、現在の世界でも有数の品揃えを誇るマスター・オブ・モルト。蒸溜所情報、テイスティングノート、商品情報などが満載されたウェブサイトは、シンプルなデザインで商品も探しやすい。ウイスキー業界きっての見識も集約されており、ウイスキーにまつわる情熱や耳寄り情報の宝庫となっている。マスター・オブ・モルト独自のオリジナル商品、豊富なテイスティングセット、ギフトセットなどにも注目だ。
入賞
リテイラー・オブ・ザ・イヤー(空港免税店)
DFSグループ/シンガポール空港(シンガポール)
1960年に創業したDFSは、11都市の主要国際空港に免税店を展開し、世界各国の商業地やリゾート地にも20軒の「ガレリア」を開店することで大きなネットワークを誇っている。グループ全体の従業員は、世界14カ国で9,000人を超える。2017年だけで、約1億6千万人もの旅行者が世界各地のDFS店舗を訪れた。
入賞
スーパーマーケット・オブ・ザイヤー
ダン・マーフィーズ(オーストラリア)
1952年、オーストラリアのメルボルン。若き野心家だったダン・マーフィーが、プラーン地区のチャペル通り290番地にある賃貸物件で食料雑貨店の営業許可を取得した。ダン・マーフィーズの歴史が始まった瞬間である。この店はダン自身の父親であるティモシー・マーフィー(通称TJまたはテッド・マーフィー)がコマーシャル通りで経営するスーパーマーケットからわずか1km以内の距離にあり、あえて競合関係にする意図を持った開業だった。現在ではオーストラリア国内に220店舗以上を展開する大規模グループに成長している。
入賞
バー・オブ・ザイヤー(単一店舗)
デリラズ(シカゴ)
デリラズは1993年に開店した。ウェブサイトにも書かれているが、オーナーであるマイク・ミラーは開店以来1日も休んだことがないと語っている。デリラズの特徴は、15カ国で生産された800種類ものウイスキー。バーにはバーボンのあらゆるスタイルと年代を網羅した幅広いアメリカンウイスキーのコレクションがあり、ライウイスキーやアメリカのクラフトウイスキーも豊富に用意している。スコッチウイスキーのメニューもスコットランドにおける全地域とスタイルを漏れなくカバーしており、70軒以上の蒸溜所で生産されたウイスキーを取り扱っている。シングルカスクや独立系ボトラーによる希少品も選り取り見取りだ。
入賞
バー・オブ・ザイヤー(複数店舗)
ザ・マーケット・バー・グループ(アイルランド)
ザ・マーケット・バー・グループの歴史は、2002年に旗艦店「マーケット・バー」を開店して始まった。その後も3軒の人気系列店「ブラック・マーケット」「チェルシー・ドラッグストア」「アイドルワイルド」を加えて大成功を収める。いずれも個性あふれる店舗で、バー、カクテルバー、レストラン、ナイトクラブを融合させたような営業形態である。音楽、アート、アイリッシュクラフトビール、各種イベントを特に重視し、バー経営の根幹と位置づけている。店舗はダブリンのなかでも特にクリエイティブな層が集まるフェイド通りとサウスジョージズ通りの間にあり、イベント開催、カンファレンスの打ち上げ、大規模な交流会などにもぴったりである。
入賞
バー・オブ・ザイヤー(ホテル)
ケイブ・バー/メルドラムハウスホテル(スコットランド/アバディーン)
スコットランドにあるメルドラムハウスホテルのケイブ・バーは、1236年に建設された荘園領主の邸宅の一部。バーはかつて食料などを保存していた物置を改装したもので、豊かな歴史を受け継ぐ空間だ。現在「ウイスキークラブ」がある場所は、広大な領土で育った家畜の肉や魚を吊るして煙を焚き、燻製にするための部屋だったのだという。2016年の改修中、背後の壁を取り除いてベッドルームにした。このメルドラムハウスの最後の地主であったロビン・ダフ(1990年没)が、友人だった伝説のバレリーナ、マーゴ・フォンテーヌに宿泊してもらうために特別に増設した部屋である。
入賞
地区別の候補者も含めたアイコンズ・オブ・ウイスキーの全容はこちらから。