アイコンズ・オブ・ウイスキー 2023【第2回/全3回】
「アイコンズ・オブ・ウイスキー(以下IOW)」は、ウイスキー業界に貢献してきた人々への祝福。ノミネートから地域ごとの最高賞を選び、最終的な投票で今年の世界一を決める。第2回は、バーとコミュニケーションの分野でウイスキー業を躍進させたアイコンたちをご紹介。
バー・オブ・ザイヤー(複数店舗)
キルケニー・ウイスキー・ギルド(アイルランド)
中世アイルランドの首都キルケニーで、複数の店舗を展開するキルケニー・ウイスキー・ギルド。各店舗に最低60種類のアイリッシュウイスキーを取り揃え、知識豊富なスタッフ、飲み比べセットの「フライト」、フードペアリング、ミクソロジーなどを駆使してゲストを楽しませてくれる。アイリッシュウイスキーの歴史や製造方法を解説し、様々なスタイルについての知識を深めるため、各ギルドハウスで定期的にウイスキーイベントを開催。キルケニーの街をアイルランドにおけるウイスキー観光の目玉とすべく、さまざまな取り組みを進めている。
入賞
バー・オブ・ザイヤー(ホテル)
クライブズ・クラシック・ラウンジ/シャトー・ビクトリア・ホテル&スイート(カナダ)
カナダのブリティッシュコロンビア州ビクトリアで、2009年に古い施設を改装してオープンしたクライブズ・クラシック・ラウンジ。オリジナルのカクテルやスピリッツの提供に力を入れている。コロナ禍を乗り越えてショーン・スール店長も復帰し、ウイスキーとスピリッツの品揃えを飛躍的に拡大した。豊富なドリンクメニューとクラシックなカクテルの技能をベースに、毎月開催されるイベントや多彩なディナープログラムでも成功を収めているホテルバーだ。
入賞
バー・オブ・ザイヤー(単一店舗)
バーボンズ・ビストロ(アメリカ)
ケンタッキー州が誇る郷土酒のバーボン。その啓蒙と知名度向上を目的に、ルイビル初のバーボンバーとして2005年にオープンしたのがバーボンズ・ビストロだ。バーボンバーとレストランを兼ねる店内では、130種類以上のバーボンやウィスキーのほか、地元産の食材を使ったアメリカ南部料理のメニューも提供している。共同経営者のジェイソン・ブラウナーは、ここでユニークなバレルセレクションのプログラムも創始している。
入賞
バー・マネージャー・オブ・ザ・イヤー
ラクラン・ワット/ウイスキー&アレメント(オーストラリア)
豪州メルボルンのバー「ウイスキー&アレメント」で、6年以上にわたって店長を務めているラクラン・ワット。オーストラリア産ウイスキーに関する高い見識に加え、質の高いテイスティングクラス、イベント、バーサービスなどでゲストから高く評価されている。期待に応えるサービスをハイレベルで維持するため、バースタッフ全員のトレーニングを管理し、カクテル作りにも高度な技術を取り入れている。
入賞
バーテンダー・オブ・ザ・イヤー
林柏均(ジェームズ・リン)/カバラン・ウイスキーバー(台湾)
林柏均(ジェームズ・リン)は2016年に「亞洲料理及酒廊(アジア49)」で働き始め、バー部門を率いる曾裕灝(ハンク・ツェン)と共にさまざまなカクテルメニューを開発した。2017年には「レイジーポイント・レストラン&バー」のバーマネージャーに起用され、バーの運営とカクテルメニュー作りを指揮。2019年より「カバラン・ウイスキーバー」のバーリーダーとなり、クリエイティブなバー体験とミクソロジーを通じてカバランブランドの発展と普及に尽力している。
入賞
ジェネラルマネージャー・オブ・ザ・イヤー(ホテル)
エディ・ラングトン/キルケニー・ウイスキー・ギルド(アイルランド)
キルケニー・ウイスキー・ギルドの創設メンバーであり、現会長も務めるエディ・ラングトン。キルケニーの街でも特に歴史のあるジョンストリートで「ラングトンズ」の代表として店を運営している。「ラングトンズ」は1938年に「ラングトンズ・バー」として創業した老舗で、現在はラングトンズ・ホテル、セット・シアター、ブリジーズ・バー、ジョン・ストリート・ティールームズ、ザ・ガーデン・レストランを併設した施設となっている。パブ業界を営む一家に生まれたエディは、パブの歴史を尊重しながら、業界の未来を情熱的に探求している。
入賞
シェフ・オブ・ザ・イヤー
アルン・スンダララージ/ザ・タージマハル(インド)
シェフのアルン・スンダラージは、28年前にムンバイのザ・タージマハルでキャリアをスタートさせ、それ以来ずっとタージ・ホテルズ傘下の各店で腕をふるってきた。素晴らしい料理と飲料に通じたマエストロとして、現在もそのキャリアを継続している。最近では「マチャン・アンド・チェンバーズ」や「ハウス・オブ・ミン」のメニューを一新。愛するウイスキーを使った料理も頻繁に作り、「ランプール・インドリ」や「ジャンチャンド」などのさまざまなインド産ウイスキーをメニューに加えている。
入賞
ブランドイノベーター・オブ・ザ・イヤー
ウォーターフォード蒸溜所(アイルランド)
この1年間で、アイリッシュウイスキーの新たな一面を明らかにしてきたウォーターフォード蒸溜所。島の土壌、伝統の仕事、上質な穀物などを称える一方で、限界に挑戦することを恐れずにウイスキーファンへ新しい提案を続けてきた。アイルランドで収穫されたピートや、アイルランド産大麦を使用したピーテッドウイスキーなどのリリースは大きな話題になった。いずれの商品もアイリッシュウイスキーのカテゴリーを革新し、まったく新しい価値観を提示しようと努める蒸溜所の意欲が伝わる内容だ。
入賞
キャンペーンイノベーター・オブ・ザ・イヤー
グレンモーレンジィ(インド)
過去12ヶ月にグレンモーレンジィが打ち出した革新的なキャンペーンといえば、インド人アーティストで「ビッグ・ファット・ミニマリスト」の異名を取るアニルダ・メータとのコラボ。インド市場限定のフェスティバル・パックを制作した。またインド系アメリカ人のアーティスト、カーシュ・ケイルとも共同で「デリシャス・デザイン・プロジェクト」を遂行。デジタルアートと音楽を通して、グレンモーレンジィのラグジュアリーな体験を表現した。
入賞
PRエージェンシー・オブ・ザ・イヤー
SPEY(スコットランド)
SPEYは、スペイサイドを拠点とするグローバルなPRエージェンシー。傑出したウイスキーブランドのキャンペーンを展開し、この賞を受賞するのは2年連続となる。昨年はクライアントのアードゴーワン蒸溜所が、ヘリオット・ワット大学と提携してカーボンネガティブを目指す先駆的なテクノロジーを開発した。またリンド&ライムのパトリック・フレッチャーとイアン・スターリングが共同で設立するポート・オブ・リース蒸溜所も開業を控えている。この蒸溜所は、生産設備を上下に並べた英国初の「垂直」蒸溜所として注目されている。
入賞
デザインエージェンシー・オブ・ザ・イヤー
ヌード・ブランド・クリエーション(イングランド)
ヌード・ブランド・クリエーションは、ブランディングとパッケージを専門とするデザイン会社。プレミアムなワインやスピリッツを中心に、約20年の実績を持つ。過去12ヶ月の間にも、シーバスリーガル、バランタイン、ロイヤルサルート、レッドブレスト、ジェムソンなどのブランドで、さまざまなウイスキープロジェクトに携わっている。
入賞
コミュニケーター・オブ・ザ・イヤー
エマ・クックソン(オーストラリア)
豪州最大のオンラインウイスキーショップ「ザ・ウイスキー・リスト」のエマ・クックソンは、バーテンダー、ライター、ウイスキーやカクテルの専門家、プレゼンター、国際的なテイスティングイベントの司会者といったさまざまな顔を持つ。2022年には「オーストラリアのトップ25バーテンダー」にも選出された。スコットランドとオーストラリアのウイスキーに詳しく、ウイスキー&アレメントで知識に磨きをかけている。オーストラリア国内を旅行して何十軒もの蒸溜所を訪れ、幅広い技術的な知識を身につけた。
入賞
地区別の候補者も含めたアイコンズ・オブ・ウイスキーの全容はこちらから。