東京では第17回を迎えたプロ向けのイベント「モダンモルトウイスキーマーケット」。大阪と東京の2会場が、昨年を上回る多くの来場者で賑わった。

文・WMJ

 

長かった夏も終わり、ようやく実りの秋が到来。本格的なウイスキーシーズンを祝うように、今年も恒例のイベント「モダンモルトウイスキーマーケット」が開催された。

近年のウイスキー人気の過熱ぶりを考慮し、大阪と東京の2会場は招待による事前登録制で酒類業界の関係者のみが来場。混雑を回避するため、ともに2部制で人数を制限した。それでも開催当日の朝には、例年のように希少なボトルの購入権を求める来場者が長蛇の列を作る光景も見られた。

今年のモダンモルトウイスキーマーケットの出展企業は、アサヒビール、ウィスク・イー、MHDモエヘネシーディアジオ、雄山、ガイアフロー、金龍、堅展実業、小正嘉之助蒸溜所、SAKURAO DISTILLERY、サントリー、三陽物産、CTスピリッツジャパン、新道蒸留所、ジャパンインポートシステム、ディアジオジャパン、都光、ベンチャーウイスキー、ペルノ・リカール・ジャパン(大阪会場のみ)、ミリオン商事、山鹿蒸留所、REMY COINTREAU JAPAN(50音順)の21社。輸入酒やジャパニーズウイスキーを取り扱うおなじみの企業に加え、ここ10年以内にモルトウイスキー製造を始めた国内の有力メーカーも注目を集めた。

最新の取り扱い商品が並んだ各社ブースでは、もちろんすべてのボトルが試飲できる。来場者で賑わう大ホールに加え、別室では三陽物産、ウィスク・イー、サントリー、ベンチャーウイスキーの各社がモルトウイスキーのセミナーを開催した。ブランドや蒸溜所ごとに異なるウイスキーの特徴について、業界関係者が詳細な情報に学べる貴重な機会だ。酒販店や料飲店のプロフェッショナルたちが、消費者に各銘柄の製造方法やフレーバーなどを説明する知識の土台にもなる。
 

第1回からの初心を継承

 
モダンモルトウイスキーマーケットは、酒類食品総合卸売商社の三陽物産が2006年からお酒のプロ向けに開催しているウイスキーイベントである。第1回が開催された当時は、日本のウイスキー市場が最も低迷していた時期。しかしその後、2009年のハイボールブームや2014年の「マッサン」放映、さらには世界的なウイスキーブームとジャパニーズウイスキーへの注目も加速し、日本でも多くの新しい蒸溜所で高品質なウイスキーがつくられるようになってきた。

2006年から開催され、今年で第17回を迎えたモダンモルトウイスキーマーケット。ウイスキー市場の大きな変化を目撃してきた恒例イベントだ。

昨今のウイスキー市場は、主催者の想像をはるかに超えた変化を遂げながら成長し続けている。消費者はウイスキーに対する関心をますます高め、メーカーや商品は多様化する一方だ。このような状況について、市場隆盛の貢献者でもある主催者はどのように考えているのだろうか。モダンモルトウイスキーマーケットの事務局担当者は、次のようにコメントしている。

「環境の変化はありますが、第1回目に立てた目的は変わっていません。モダンモルトウイスキーマーケットとしましては、『1人でも多くの酒販店様および飲食店様にモルトウイスキーの魅力を体感して頂く場』となるように今後もイベント継続していきます」

グランフロント大阪で開催された大阪会場(10月10日)の入場者数は、第1部が401人、第2部が577人の計988人。アキバ・スクエアで開催された東京会場(10月13日)の入場者数は、第1部が605人、第2部が687人の計1292人。2会場あわせて2280人の来客(メディア関係者および出展企業関係者様は除く)がウイスキーの祭典を楽しんだ。

昨年を上回る入場者数について、事務局は次のように答えた。

「主催者としましては、決して来場者数を増やすことに重きをおいているわけではございません。それでも今年の雰囲気を確認しながら、改めてウイスキーに対する市場の“熱”を感じることができました」

三陽物産によると、モダンモルトウイスキーマーケットは来年も酒類業界関係者限定で開催される予定だ(日程は未定)。