アイコンズ・オブ・ウイスキー 2024【第2回/全3回】
「アイコンズ・オブ・ウイスキー(以下IOW)」は、ウイスキー業界に貢献してきた人々への祝福。ノミネートから地域ごとの最高賞を選び、最終的な投票で今年の世界一を決める。第2回は、さまざまな形でウイスキーの魅力を世界に広めた功労者たちをご紹介。
キャンペーンイノベーター・オブ・ザ・イヤー
アイリッシュ・ディスティラーズ
アイリッシュ・ディスティラーズは2022年後半から若年層の市場拡大を目指し、傘下ブランド「パワーズ」で「オールド・バット・ゴールド」キャンペーンを開始した。�先行した消費者調査により、パワーズのマーケティング戦略を見直す必要性が明らかになるとブランディングを若年層向けに再構築。競合他社との差別化を図るため、ターゲットを絞ったキャンペーンの内容も洗練させた。この「オールド・バット・ゴールド」キャンペーンを通じて、ブランドのリーチと認知度は著しく向上している。
入賞
ブランドイノベーター・オブ・ザ・イヤー
サリヴァンズコーヴ蒸溜所(オーストラリア)
サリヴァンズコーヴは、この1年でセカンドフィルのシングルカスクシリーズに注力を強めてきた。クラフトウイスキーやオーストラリアのウイスキー業界で、リフィルカスクを使用するのは比較的珍しい。だが長期熟成も重視するサリヴァンズコーヴは、セカンドフィルのシリーズを「ウイスキーマニアの至福」と位置付けている。オーストラリアのウイスキー市場にリフィルカスクのカテゴリーを紹介しながら、サリヴァンズコーヴはウイスキー製造におけるセカンドフィル樽の価値を主張。風味の良さとサステナビリティの両面から対話を始めるようとしている。
入賞
インディペンデントボトラー・オブ・ザ・イヤー
ザ・ハート・カット(イングランド)
独立系ボトラーのザ・ハート・カットは、ウイスキー市場で革新的な道を歩んでいる。愛好家以外にはとっつきにくい専門用語を排除し、消費者にわかりやすいプレゼンテーションを徹底。インクルーシブな教育の側面を前面に打ち出している。原酒を提供した蒸溜所とともに厳選された各商品は、リーズナブルな価格を実現するために500mlでボトリング。ウイスキーの詳細な情報とテイスティングノートが明記されている。
入賞
クーパレッジ・オブ・ザ・イヤー
カスクノリア(スペイン)
伝説の樽職人として知られたラファエル・カベージョが、トネレリア・エルマノス・カベージョを設立したのは1974年のこと。そして後を継いだ息子のラファ・カベージョが、カスクノリアのCEO兼マスタークーパーを率いている。カスクノリアは新樽、古樽、特注樽などのさまざまな種類の樽を取り揃えて世界中に輸出している。完璧な熟成とフィニッシュを求める顧客のために、厳密な仕様も注文可能。現在建設中の新しい貯蔵庫では、樽製造の工程と歴史が見学できる予定だ。
入賞
クーパー・オブ・ザ・イヤー
ラファ・カベージョ(スペイン)
樽職人だった父のもとで働き始めたのは16歳の頃。ラファ・カベージョは、少年時代から生粋の樽職人として育ってきた。マスタークーパー兼最高経営責任者(CEO)として、ラファは2014年からカスクノリアの代表を務めている。取引先の蒸溜所各社と緊密に協力しながら、それぞれのウイスキーが完璧な樽熟成を実行できるように尽力。ラファによれば、カスクノリアが販売するのは樽ではなくフレーバーだ。透明性へのこだわりと熟練したクラフトマンシップが理念を実現させている。
入賞
アメリカンウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー
ポール・ホレッコ/FEWスピリッツ(アメリカ)
FEWスピリッツの創設者兼蒸溜技師のポール・ホレッコは、10年以上にわたって「穀物からグラスまで」のウイスキーづくりを支持してきた。イリノイ州エバンストンの都市型ウイスキーブランドは、豊富なコラボレーションを通じて運営されている。最近手がけたプロジェクトには「アリス・イン・チェインズ」の再発売、オーク&オスカーの特注腕時計、独立系ボトラーのザ・ハート・カットとの協働などがある。ホレッコはクラフトスピリッツ業界を代表する非営利団体の創設メンバーでもある。
入賞
アイリッシュウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー
ブレンダン・カーティ/キロウェン蒸溜所(アイルランド)
建築家出身のブレンダン・カーティは、2017年にアイルランドのモーン山地でキロウェン蒸溜所を設立した。キロウェン蒸溜所は、野生酵母、蛇管式コンデンサー、直火式の長時間蒸溜の火入れなど、アイルランドの伝統的なウイスキーづくりを次々に復活。カーティは世界中を飛び回りながら蒸留所の会員「キロウェン・カルト」のメンバーたちに会い、キロウェンのウイスキーを普及している。
入賞
ワールドウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー
アリー・バーナ/サリヴァンズコーヴ蒸溜所(オーストラリア)
ニュージーランド出身のアリー・バーナは、ヨーロッパのバーで働きながらウイスキーに魅せられる。そしてタスマニアに移住し、サリヴァンズコーヴ蒸溜所に入社。勤務期間が5年を過ぎ、アリーは自分自身とサリヴァンズコーヴの名を世界のウイスキー界に知らしめる存在になった。ウイスキーの多様性がもたらす味わいの幅広さを紹介し、すでにサリヴァンズコーヴを愛飲している人たちだけでなく、将来のファンに向けても魅力的で親しみやすいストーリーを語りかけている。
入賞
スコッチウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー
シェイマス・キャロル/ザ・ウイスキー・クラブ(オーストラリア)
バーテンダー、ウイスキー教育者、ブランドアンバサダーとしての豊富な経験が、シェイマス・キャロルの人気の源泉だ。自身のバーチャル教育サイト「Whisky Loot」のホストとして、あるいはブラウン・フォーマンのアンバサダーやザ・ウイスキー・クラブのアンバサダー兼ウイスキー部長などの立場から、シェイマスはオーストラリアにおけるスコッチウイスキーのご意見番として地位を確立している。親しみやすく魅力的なアプローチでウイスキーを伝えることが、成功のバックボーンとなっている。
入賞
地区別の候補者も含めたアイコンズ・オブ・ウイスキーの全容はこちらから。