ウイスキー新勢力【3. 北欧 前半/全2回】

October 28, 2014

新たなウイスキーづくりの地を訪れるシリーズ第3弾では、北欧を取り上げる。前半では北欧の各地で開かれているウイスキーイベントをご紹介する。

「北欧」について語る場合、最初に浮かぶのは何だろうか。
高い税金、安定した経済、石油、ボルボ、オーロラ、組立て式の家具、夏のコテージ、夏の長い夜、暗く寒い冬などが浮かびそうだ。だがこれはウイスキーの話だ。
北欧でのウイスキーづくり…それは北欧で過ごす間に発見したのだが、ここの人々は何であれ趣味や好きなものについては、国民性なのか性格的なものなのか、極端なまでにやる気を発揮して追求するのだ!

北欧のウイスキー愛好家は、単に好きなウイスキーをコレクションするとか、イベントに参加するということでは飽き足らないようで、次の段階に入っている… 「我々独自のウイスキーをつくる!」と。
しかしちょっと待って。これはオリジナルの組立て式モデルカーや自家製ビールを造るという話ではない。高品質のスピリッツを生産する「蒸溜所」のことだ。しかし、今やそれもひとつやふたつではなく、目下25ヵ所以上の蒸溜所がすでにウイスキー(スピリッツ)をつくっていて、実に様々な生産状況にある。

そのようなウイスキーを試す一番手っ取り早い方法は、北欧中で開かれている大きなフェスティバルに行ってみることだろう。その土地のウイスキーづくりの環境と、製品を同時に味わうことができる。
最大のフェスティバルは、9月の終わりから10月の初めにかけて、週末2回にわたりスウェーデンストックホルムで開催される「ストックホルム・ビアー&ウイスキー・フェスティバル」だろう。来場者は3万6,000人を超え、世界各国から造り手やブランドアンバサダー達が、マスタークラスを主催しにはるばるやって来る。
4月にヨーテボリで開かれるフェスティバルもこれにひけをとらず、週末の数日間で1万6,000人が訪れるし、エレブルー(7,500人)、リンシェーピング(4,000人)、マルメ(5,500人)のほかスウェーデンの数カ所でフェスティバルがあるので、選ぶのに困るほどだ!

ノルウェーではオスロベルゲンで大きなフェスティバルが開かれている。
国のアルコール当局の非常に厳格な指針に沿って運営され、主催者は消費者にウイスキーの知識を広める上で素晴らしい貢献をしている。
ヘルシンキ「ウシュク・フェスティバル」は3年目を迎え、今年の終わり頃にはまた新たなフェスティバルが開催される予定だ。

デンマークでは、来場者が各社のブースでボトルを購入できる唯一のフェスティバルとして人気の高いフレゼリシア「ウイスキーメッセン」がある。他のフェスティバルでは試飲のみだ。
ヴァイキングライン社のフェリー「シンデレラ号」で開かれるウイスキー・フェアも有名で、最大2,000人が乗船する20時間のクルーズだ。免税店限定品を含む免税ショッピング、大勢のウイスキーアンバサダー、専用のウイスキーバー、ウイスキーを中心とした3コースのディナー、様々なマスタークラス、一泊用寝室にスウェーデン沿岸の群島の素晴らしい眺め付きとあっては、満足しないわけがない。ここではスコットランドから講演者を迎えて年に6回のミニ・フェアも開催している。

フェスティバルで味わったら、実際に蒸溜所を訪れたくなるのがウイスキー好きの常。
前述のように、北欧全体にわたり25ヵ所を超える蒸溜所が稼働していて、かなり遠いところもあれば訪れやすいところもある。北欧の蒸溜所ツアーを計画する際は、スコットランドの場合と同様に、どの地域に行くか決めることが一番だ。楽しいウイスキー旅行には付き物の相当な移動距離も考慮して、地方の景色を満喫するためにも親しい友人たちと車で行くのがベスト!

後半ではエリアごとに蒸溜所をご紹介しよう。

【後半に続く】

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