意志を形に ― グレンスコシア蒸溜所【その2・全2回】

January 7, 2013

キャンベルタウンで静かに大革命を進めている、グレンスコシア蒸溜所。シングルモルト分野での可能性、その具体的な計画にガヴィン・D・スミスが迫る。(第2回/全2回)

セールスディレクターのアンドリュー・グレイはその戦略をこう説明する。「当社は英国のアルコール飲料ビジネスで非常に成功している企業グループを所有しています。特にグレンズ・ウォッカハイコミッショナー・ブレンデッド・スコッチです。しかし次のステップは、国際的にも国内でも私たちのシングルモルトを展開することなのです」

グレイの指摘は妥当だ。「キャンベルタウンのウイスキーは稀少です。私たちはグレンスコシアを優れた可能性を秘めた最高品質のモルトと見なしています。会社としては長期的な戦略に基づいてこのブランドと真剣に取り組んでいるのです」

「グレンスコシアはシングルモルトを中心にする予定です。以前は主にブレンドに使われてきましたが、現在ブレンディングに使用する量は大幅に少なくなりつつあります。私たちはグレンスコシアを10年の間に成長させること、そしてまずは年内におよそ500%の成長を目指しています。そして20ヵ国の国際市場に出すつもりです」

この広大な野心が最も端的に表れた結果が、10、12、16、18、21年モノを含む全く新たなグレンスコシアラインナップの発売である。グレイは言う。「今年は手づくりの、銅製ポットスチルデカンターに入れた1973年ビンテージウイスキーも発表しました。さらに、ピーテッドのストックもありますから、様々なエイジングのピーテッドを出す予定です」
ラインナップは新たなパッケージで改編、拡張されたものの、ウイスキー自体はノンチルフィルタ、ナチュラルカラーで、46%でボトリングされる。

蒸溜所に戻ると、マネージャーのイアン・マカリスターが実際の生産体制を話してくれた。
「マッシュタンは1970年代の鋳鉄製ロータータンで、ステンレス製ウォッシュバック6基はそれぞれ2万リットルの生産能力があります。それから11万リットルのウォッシュスチル1基と7,000リットルのスピリッツスチル1基を備えています。今のところ週3回のマッシングで生産量は純アルコール量12~13万リットルです。生産要員はふたり。もうふたり従業員がいれば、週10回のマッシングでおよそ純アルコール量48万リットルの生産量にできます。
将来、生産量を増やすことは確実ですし、ヘビーピートのスピリッツを蒸溜する計画です。昨年はライトピーテッドの生産を2期間行い、12,000リットル生産しました。グレンスコシアは昔ながらのキャンベルタウンのシングルモルトですから、高品質のニューメイクスピリッツは非常に品質の良いバーボンカスクで熟成していますが、将来はシェリーカスク、さらにはラムカスクでも熟成するつもりです」

キャンベルタウンで生まれ育ったマカリスターはこう断言する。「私には愛着のある場所です。離れる機会があってもいつも抵抗してきました。グレンスコシア蒸溜所を成功させることは、この街にとって大切なことなのです」

www.glenscotia-distillery.co.uk

意志を形に ― グレンスコシア蒸溜所【その1・全2回】

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