138号 テイスティングコメント【後半/全2回】

December 10, 2016


from Issue 138

テイスティング:クリス・グッドラム、ジョエル・ハリスン


世界のウイスキー業界を代表する2人の評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってRecommendedもしくは Editors Choice が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

ポール・ジョン インディアンシングルモルト セレクトカスク ピーテッド    55.5%

  • 蒸溜所名: ジョン蒸溜所
  • 地域: インド
  • 価格帯: 26-70
  • 入手可能場所: 全世界

クリス・グッドラムSCORE9.4

香り
最初はシャープで渋味も感じる。たくさんのピートとコーヒーの香り。その後で、ハチミツの香りがやってきてバランスをとる。モルトビスケットや土と、軽く薬っぽい感触がさらに続き、焦がしたブナ材の匂いもある。
重要感のあるフルボディ。大麦、オーク、ハチミツの風味。ピート風味が現れるまでに少し時間がかかるものの、ピートが心地よく軽い薬品のような特徴を立ち上げてくれる。加水するとかなり柑橘風味が強まり、オーク風味がわずかにグレーンのような印象を帯びる。そしてかすかなケロシンの感触も伴っている。
フィニッシュ
余韻は長く濃厚。口内を覆うわずかに煤けたピート香と、薬品のような風味が持続する。加水するとピート香がハーブの風味を強め、ここでもケロシンの感触を引き出してくる。
コメント
どこの国で生まれたものであれ、素晴らしいウイスキーはあくまで素晴らしい。

ジョエル・ハリスンSCORE9.3

香り
心地よいスモークの感触が鼻腔に留まって手招きをしつつ、黒糖や底流する温かい紅茶などの柔らかな香りを明らかにしてゆく。見事なウイスキーづくりの成果。
口に含んでも輝かしい。ちょうどよい度合いのスモーク、オーク、バニラの風味が揃っている。赤い核果のようなフルーツ風味がピートのスモークの中に隠れていて、スパイス風味に甘味を加えてくれる。
フィニッシュ
繊細で、余韻は長く持続する。ストレートでも、加水しても、どちらでも美味しく飲めるスモーキーなウイスキー。
コメント
このウイスキーで、ぜひブラッド&サンドを作ってみたい。あるいは水をほんの少しだけ入れて飲むのもいいだろう



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