180号 テイスティングコメント 【前半/全2回】

January 5, 2022

from Issue 180

テイスティング:フィービー・カルバー、クリストファー・コーツ


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


世界のウイスキー検索

Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

ベンリアック カスクエディション 2005 カスク#18672005    56.0%

  • 蒸溜所名: ベンリアック蒸溜所
  • 地域: スペイサイド
  • 価格帯: £121-180
  • 入手可能場所: 英国

フィービー・カルバーSCORE8.5

香り
マンゴーのようなトロピカルフルーツ、赤いベリーのコンポート、リッチなゴールデンシロップ。やがてアーモンドペーストや砂糖漬けのショウガを思わせる香りに変化していく。
口当たりは、ベルベットのようにリッチな感触。アーモンドペーストの風味が増して、ナツメグやフルーツケーキの風味も伴っている。ヒースの花のハチミツを思い起こさせるバーブ風味が台頭し、その後でドライなショウガのスパイスに包まれる。
フィニッシュ
とてもドライな後味で、余韻の長さはミディアム。青っぽい草の匂いがあり、やがてフレッシュなペパーミントクリームの余韻も感じる。
コメント
高めのアルコール度数を考えると、ドライなフィニッシュの前に感じる香りと味覚にまだまだ探索の余地があるだろう。

クリストファー・コーツSCORE8.6

香り
缶詰のパイナップルや、白濁したアップルジュースを思わせる濃厚な香り。ラム酒に漬けたサルタナと砂糖煮した洋ナシ。特徴のあるエステル香は、ラム酒を彷彿とさせる。甘いキャラメルビスケットと砂糖漬けのショウガ。各種フルーツを詰め込んでカスタードを乗せたシュトゥルーデル。
口当たりはミディアムボディで、濃厚なフルーツ風味がある。モモ味のキャンディー。最初は香水を飲んでいるような印象も少しあるが、味わいは心地よい。フレッシュなトロピカルフルーツ風味が強く、甘いシリアルの風味が背後に潜んでいる。パイナップルとマンゴーの印象に、ジュニパーベリーと明瞭な八角の香り。新鮮なピーマンの風味もある。鼻の奥の方で、ポプリのような要素も感じさせる。
フィニッシュ
余韻の長さはミディアム。フローラルでジュニパーのような後味を残して消え、やがてクッキー生地のような印象も現れる。
コメント
万能の品質を備えたウイスキーのお手本。



カテゴリ: Archive, features, tasting, TOP, テイスティング, 最新記事