名乗りを上げろ ― ウルフバーン蒸溜所【後半/全2回】

October 31, 2013

スコットランド最新かつ本土最北の蒸溜所、ウルフバーン。そのウイスキーづくりと販売までのプランにガヴィン・D・スミスが迫る。

名乗りを上げろ ― ウルフバーン蒸溜所【前半/全2回】

ビジターの存在といった気が散る要素がないため、「最初の数年間は、良いウイスキーをつくって良い樽に詰める以外、何もすることがありません。その後は一歩下がって、先行きを考えます」とスミスは言う。
その「良いウイスキー」のスタイルについて、シェーン・フレイザーは「ヘビーな、硫黄っぽいスピリッツは望みませんでした。3年か4年のうちに万全の状態で市場に出せるようなものが欲しかった。マッシュタンからはとても澄んだ麦汁が得られ、発酵時間は65時間から93時間にも及びます。これが甘く、フルーティな個性につながります」と説明する。

「ウォッシュスチル(初溜釜)には5,000リットル入れ、還流と銅が‘会話する’スペースをたっぷり取ることで軽めのスピリッツになり、20〜25度でローワインを加熱すればヘビーな要素がさらに取り除かれます。ゆっくり蒸溜しますし、スピリットスチル(再溜釜)の中の‘ボイルボール’でも一層軽くなります」

樽については、現在のところ、セカンドフィルのシェリーバット、ファーストフィルのバーボンバレル、そしてクォーターカスクを使用している。デイヴィッド・スミスが言う。「多分10年かそれ以上寝かせてどうなるか見てみようと考え、一部にシェリーバットを使いました。最初に詰めた15樽はスパニッシュオークのシェリーバットでした。それから、市場に出せる品質のものが4、5年以内に得られるように、熟成を早めるために沢山のクォーターカスクを使いました」
樽はスペイサイドのキースにあるアイラ・クーパレッジから調達し、特にクォーターカスクは以前にアイラ島のシングルモルトを入れていたホグスヘッドを同社が作り直したものというところが興味深い。「元アイラ島モルトのクォーターカスクが290樽ありますから、およそ8万本になるでしょう」とスミスは言う。

現在、1週間におよそ30樽のクォーターカスクか22樽のバーボンカスクが詰められており、本年度の予想総生産量は1週間に6回のマッシュでスピリッツ11万5,000リットル。地所内には伝統的な貯蔵庫が2ヵ所あって総収容力5,000樽だが、スペースが必要なため、いずれは貯蔵庫をさらに2ヵ所追加する可能性がある。
デイヴィッド・スミスによると、「2016年に最初のボトリングを販売する予定です。1回のバッティングで500本ボトリングし、ギフトボックスに入れた限定品としてリリースすることになるでしょう。それから、2016年のうちに通常のウイスキーもリリースしますが、とんでもない価格にはなりません。所内でボトリングしますから、5年モノに120ポンドもつけるようなことはしませんよ!」
さらにスミスはこう続けた。
「時々はスペシャルリリースを行う予定もあり、そのためのクォーターカスク、バーボンカスク、シェリーカスクがあります。しかし、膨大な数のウルフバーンエクスプレッションがずらりと並ぶようなことはないでしょう」

様々な特注品と並んで、フォーサイス社が組み立てた光り輝く新しい蒸溜装置にはウルフバーンを古い蒸溜の伝統に結びつけるものが幾つか使われている。最も目に付くのは必要以上に大きいモルトの取り入れ装置で、フォーサイス社がロセスに所有していて今は姿を消したキャパドニック蒸溜所から救出されたものだ。やはりキャパドニック蒸溜所で使われていたステンレス製ウォッシュバックも2基あり、ここでは水タンクと棄却前の廃水タンクに使われている。
新しい蒸溜所ができると、既存のウイスキーメーカーが駆け出しの事業の幸運を祈って装置の一部を贈る古い伝統がある。しかしウルフバーン蒸溜所の場合は、十二分に自分で幸運を掴むことができそうだ。

蒸溜所インフォメーション
モルト:サフォーク州マントン社製 アンピーテッドのオプティック種
マッシング:セミ・ラウター式1トンマッシュタン
発酵:5,000Lステンレスウォッシュバック3槽、アンカー社ドライイースト
蒸溜:容量5,500L(実際の使用は5,000L)ウォッシュスチル1基、容量3,800L(同3,600L)スピリットスチル1基

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