ワイルドターキー 「伝説のダイヤモンド」【後半/全2回】
ワイルドターキーのマスターディスティラー ジミー&エディ・ラッセル親子へのインタビュー後半。アイテム紹介、そしてこれからのワイルドターキー像とは? レジェンドが語る。
【←前半】
ウイスキーマガジン・ジャパン(以下WMJ) では、実際のワイルドターキーのアイテム、それぞれの特徴を説明していただけますか?
ジミー・ラッセル氏(以下ジミー氏) それでは、エディがご紹介しましょう。
エディ・ラッセル氏(以下エディ氏) はい。まずは「ワイルドターキー スタンダード」。これは年数表示のない、全世界で親しまれているワイルドターキーです。度数は81プルーフ(40%)、軽やかで、すっきりとした味わいが特徴です。
WMJ 確かに、ライ麦のスパイシーさを感じながらも、バニラの香りと調和して後味が軽くフルーティですね。
エディ氏 エントリー層、若い方や女性向けの飲みやすさを重視しています。でももちろんワイルドターキーらしさも残っていますよね。
次は「ワイルドターキー 8年」です。こちらは以前全世界で発売されていましたが、今は日本限定です。アルコール度数101プルーフ(50%)で、飲み応えもあります。
WMJ ワイルドターキーの馴染み深い、スパイスやナッツを思わせるアロマですね。口に含むとキャラメルの甘さが弾け、パワフルでまさにバーボンという味わいです。今は日本でしか購入できないのですか?
エディ氏 ええ、世界的には「スタンダード」がメインアイテムなのですが、日本ではこの「8年」が中心です。この商品を長く楽しんでいただいている方がとても多いのです。
さらに長期熟成原酒を使用した「ワイルドターキー 13年」では、「8年」の風味が深く、一段とまろやかになっています。こちらも日本限定ですよ。
WMJ 力強さはそのままに、心地よいしなやかさが備わっています。もともとワイルドターキーは8年熟成ものが主流で、その上に13年があり…バーボンの中ではかなりの長期熟成だと思いますが。
ジミー氏 バーボンの法律では最低2年熟成、通常は4~6年熟成のものが多いですが、私たちはそれでは短いと考えています。先ほど申し上げた、樽の影響をしっかり受けて良い熟成を遂げたバーボンこそが私たちの求める姿なのです。
WMJ この「8年」「13年」ともに日本限定ということは、ワイルドターキーにとってそれほど日本市場は重要だということでしょうか?日本人の私は大変光栄ですが、反面、欧米に比べて小さな市場だと思ってしまうのですが。
エディ氏 日本人のお客様は味の分かる方が多いのです。長期熟成品の良さ、違いを感じ取ってくださいます。私たちはずいぶん前から何度も日本に来ていますが、日本のウイスキードリンカーは皆さん深い知識をお持ちです。ワイルドターキーにとって非常に大切な国なのですよ。
WMJ 嬉しいお言葉ありがとうございます。ちなみに以前WMJで行ったインタビューでは、ジミーさんは「8年」、エディさんは「14年」がお好きだと伺いました。それは今もお変わりはないですか?
エディ氏 ええ、私はどちらかといえば長い熟成のものが好きですが、もちろんジミーの味は守っていきますよ。ただ、私がマスターディスティラーになったことで、今後長期熟成の限定品も出していきたいですね。
WMJ それは楽しみです。そして、その究極の形ともいえるのがこちらの「ダイヤモンド・アニバーサリー」ですね。
エディ氏 はい、これは私がジミーの勤続60周年という記念すべき年を祝して、特別な原酒を探し出して、ジミーに内緒でブレンドしたものです。私自身が最高と思ったのは間違いないですが、ジミーが「よし」と言ってくれなければ製品化はできませんから(笑)、正直なところとてもドキドキしました。
ジミー氏 美味しいよ、エディ!(笑)
エディ氏 ありがとう(笑)。
WMJ 素晴らしいご関係ですね! このウイスキーは本当に複雑で奥行きがあり、たくさんのフレーバーが感じられます。アーモンドやスパイス…切れ上がるようなドライさとそれを包み込むような甘やかさ、コク。確かに究極だと思います。
エディ氏 これは限定品ではありますが、特別な想いがこもっていますから、ぜひ皆さんに味わっていただきたいですね。そしてエディの勤続60年という偉大なキャリアも記憶にとどめておいていただければ嬉しいです。
WMJ 新たにマスターディスティラーに任命されたエディさん、今後の目標や抱負をお聞かせいただけますか?
エディ氏 ジミーが守ってきた製法を受け継いでいくということのほかには、先ほど申し上げた長期熟成の限定品、シングルバレルのライなども挑戦したいです。そして、昨年より日本ではサントリーをパートナーに迎えました。できれば、サントリーウイスキーの樽で熟成したバーボンもつくってみたいですね!
WMJ それは面白いですね! でも、新樽でなくても「バーボン」の表記は問題ないのですか?
ジミー氏 新樽を使わなければ「ケンタッキー・ストレート・バーボン」とは名乗れませんが、「バーボン」であれば大丈夫です。アメリカでつくったウイスキーは全てバーボンと言うことはできますが、ケンタッキー州でつくられ、新樽で2年以上熟成したものだけが「ケンタッキー・ストレート・バーボン」です。
WMJ なるほど、ではこれからも変わらない「ケンタッキー・ストレート・バーボン」と、変化球の素晴らしいコラボレーションも楽しみにしています。本日はどうもありがとうございました。
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ジミー氏とエディ氏の親子の絆…それは師弟の絆でもあり、古き良きバーボンの伝統を守る仲間の絆でもある。これからはエディ氏を中心に、変わらないつくりの中にも我々の興味をくすぐる新作を生み出してくれることだろう。
ワイルドターキーは世界に向かって羽を広げる…新たに、ダイヤモンドの輝きも伴って。