ウイスキー用語集―AからZまで【C】

January 23, 2014

ウイスキーの用語を定義する最新シリーズにおいて、アルファベットのCで始まる言葉を取り上げる

ウイスキーの原材料と言えば穀物、イースト菌、水。もちろんつくり手の技術も優れたウイスキーの土台を造るには必要不可欠だろう。
しかしニューメイク・スピリッツを完成形の「ウイスキー」に導くのは、Cで始まる2つの言葉、つまりカスク(cask)チャー(charring)だ。

ほとんどのタイプのウイスキーはオークの樽を使用するもので、主にアメリカン・オークヨーロピアン・オークの2種類が用いられる。圧倒的に多いのはアメリカン・オークでつくった樽で、まずバーボンの熟成に使用されてからスコットランドやアイルランド、日本、その他の国々の蒸溜所で使用される。

アメリカの法律においては、バーボンバレルは1度しかウイスキーの製造に使用してはならない。このため使用済みのバーボンバレルが安く出回ることになる—ヨーロピアン・シェリー・カスクの10分の1ほどの値段だ。

バーボンバレルは製造工程において内側を焦がされる(チャーリング)。チャーの加減にはレベルがあり、軽く表面だけを焼くことも、強くしっかりと焼くこともある。チャーすることで木材に含まれるバニリンが溶け出し、またスピリッツがタンニン、ヘミセルロース、リグニン等に触れられるようになる。一連の複雑な化学反応はこれらの成分に由来する。

大まかに言って次の3つのことが起きる。まず樽はスピリッツに色をつけ、フレーバーの70~80%に影響する。またウイスキーから好ましくない一部のフレーバーと不純物を取り除く(分解する)。そしてスピリッツと作用し合って新しいフレーバーを形作る。

アメリカン・ウイスキーに使った樽が空になって、ニューメイクのシングルモルトを詰めるためスコットランドなどの国外に送られる頃には、樽には以前入っていたウイスキーが染みこんでおり、新しく詰める中身に影響するだろう。しかし最初に使った時見られたさまざまな化学反応も引き続き起こるはずだ。

新たに中身が詰められるたび(それも数回繰り返されることが多い)、樽のウイスキーに及ぼす影響は弱まり、やがてはすっかりなくなってしまう。同じ作用をする樽はふたつといってなく、またその品質は優れたウイスキーをつくる鍵だ。つまり慎重な樽の管理を欠かすことは決してできない。

ヨーロピアン・オークのカスクは大半が既にシェリー熟成に使われたもので、エドリントンのような一部のスコットランドのウイスキー会社は、理想的なカスクを調達するためスペインに自社のボデガを持っている。シェリー・カスクはチャーよりトーストされることのほうが多い。

ウイスキーをカスクから出した後、別のカスクでフィニッシュすることについては、次回以降で触れる。

用語集―【C】

カラメル(Caramel)
ウイスキーには色を均一に保つため、カラメルが加えられることがある。フレーバーを与える意図はないとされるが、専門家には異論があるだろう。

カスク・ストレングス・ウイスキー(Cask strength whisky)
カスクから出した時のアルコール度数でボトリングされたウイスキー。その反対は大半の40度から46度でボトリングされたウイスキーで、水で薄められている。

冷却ろ過(Chill filtration)
ウイスキーをつくる過程において油分が生じ、それが冷えた時に濁って見える現象がある。これはウイスキーを冷却し、フィルターでろ過することで除去できる。最近は冷却ろ過しないほうが流行になってきているが、それはこれまで不純物とされてきた油分等もウイスキーの全体的な味に影響すると考えられているからだ。

クラリック(Cleric)
ウイスキー会社がニューメイク・スピリッツに与えた別名。

冷却装置(Condensers)
蒸溜過程で気化したアルコールを冷やして液体に戻す装置。一般的なのは冷水タンクの中に入っている銅のパイプ。蛇管式と多管式があり、ほとんどの蒸溜所が多管式を採用しているが、蛇管式の方がより風味への良い影響をもたらすという意見の元、蛇管式に戻す蒸溜所も徐々に増えている。

コンジナー(Congeners)
蒸溜の過程でウイスキーに発生する有機的な化学物質。何百種類とあるうちの多くは毒性を持つかひどい味がするため、完成したウイスキーからは除去する。

連続蒸溜(Continuous distillation)
シングルモルトウイスキーはポットスチルでつくるため、回数を分けて(バッチ)生産する。しかしグレーン・スピリッツなどは連続式蒸溜器でつくることができ、よってさらに大量の生産が可能となるのだ。このスピリッツはシングルモルト・スピリッツより強く、フレーバーは軽めのものが多い。
連続蒸溜の製法によってウォッカ、ジン等のベース・スピリッツ、ブレンドで使用されるグレーン・ウイスキーのためのスピリッツが得られる。開発したのはスコットランド人のロバート・スタインだが、完成させたのはアイルランド人のイーニアス・コフィーである。

銅(Copper)
スチルなどに銅が使われる理由は、蒸溜されたスピリッツと反応して硫黄臭や青臭さ、その他の不純物を取り除くため。
蒸溜の過程でアルコールが銅とより多く触れるほど、「相互作用」の時間が長くなる。

【ショート・メモ】テネシーウイスキーとバーボン

ジャックダニエルはバーボンと呼ばれることが多いが、それは誤りだ。
このウイスキーは、よりまろやかな味にするため特別に「ホワイト・ドッグ」、つまりニューメイク・スピリッツの状態でテネシー産のサトウカエデの木炭でろ過(チャコールメロウイング)する。木炭とできたてのスピリッツが反応して、樽が作用を起こすより前にスピリッツの性質が変わる。この過程を行い、テネシー州でつくられたものだけがテネシーウイスキーと呼ばれる。代表的銘柄はジャックダニエル、ジョージ・ディッケル

ウイスキー用語集―AからZまで【A】
ウイスキー用語集―AからZまで【B】

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