ピート最強「オクトモア」の深化を証明する新エディションが登場

December 28, 2017


世界最強のピート香を誇るアイラ島のシングルモルトウイスキー「オクトモア」から、待望の新エディションが発売される。これまで以上に深みを増した8年の熟成が、驚くべきフェノールの繊細さを引き出した。

文:WMJ

 

スモーキーなモルトウイスキーで知られるアイラ島のなかでも、突出したピート香でファンを驚かせるシングルモルトウイスキーが「オクトモア」。徹底した手づくりにこだわるブルックラディ蒸溜所が「スーパー・ヘビリー・ピーテッド」のカテゴリーで生産しているウイスキーだ。

軽やかで、エレガントで、フルーティで、フローラルな個性を持つブルックラディ蒸溜所が、極限までフェノール値を高めたモルトを使用したらどんなウイスキーができるのか。そんな奇想天外とも思える好奇心から、2002年にフェノール値80.5ppmのモルトを使用した最初の「オクトモア」を蒸溜。次年度のバッチではついにフェノール値100ppmを超え、2014年には258ppmに達するなど未知の領域を次々に開拓してきた。

15年間にわたって「スーパー・ヘビリー・ピーテッド」の最先端を歩んできたオクトモアは、実験的な精神や力強い品質で注目を集めてきた。特徴はもちろん破格のピートレベルにあるが、いわゆるピートモンスターのような奇を衒ったウイスキーではない。スモーク香だけに偏ることなく、海、果実、花、バニラなどの風味が織りなすバランスが身上である。

そしてこのたび満を持して発売されるのが、「オクトモア 08.1 スコティッシュ・バーレイ」だ。地名からとった「オクトモア」というブランド名は、ゲール語で「偉大なる8番手(Big Eighth)」を意味する言葉。つまり今回のエディションから始まる「8」シリーズは、オクトモアにとって特別な節目となる。何か予想外の試みがなされるのではないかという期待に、ブルックラディ蒸溜所はしっかりと応えてくれた。

 

新次元の深みを実現した8年熟成

 

さっそく新しいウイスキーの中身を解剖してみよう。「オクトモア 08.1 スコティッシュ・バーレイ」の原料は、2007年にインヴァネスの半径約48kmで収穫されたスコットランド産大麦のみ。注目のフェノール値は167ppmだ。史上最高ではないが、スモーキーな風味で有名なアイラ島産モルトウイスキーの4倍以上ある。

しかし、本誌読者の方ならお気づきかと思うがオクトモアのピート香は「受け入れがたい」ものではない。その秘密はブルックラディの首の長いポットスチルでのゆっくりと時間をかけた蒸溜、最も華やかでアロマの豊かな部分のみを選ぶこと。ニューポットとなるハートの部分は、これもまた異例ともいえる短時間で、好ましくないトップとテールの部分は徹底的にそぎおとしているのだ。

熟成はファーストフィルのアメリカンオーク樽が100%。バッファロートレース、ジムビーム、フォアローゼズ、ヘブンヒル、ジャックダニエルの樽を全期間使用した原酒がヴァッティングされたものだ。熟成年は8年で、これまでオクトモアが標準としていた5年より60%も長い。これまで通りカスクストレングス(59.3%)で、チルフィルターと着色料を使用しないのはブルックラディの基本方針である。

グラスに入れると、色は冬の太陽のように澄みわたった明るいゴールド。すぐに煙、タール、ピートの灰とかすかな泥や湿ったピートモスの香りが立ち上がる。背後には砂糖漬けのオレンジ、胡椒、チョコレート、マカロン、バニラファッジとレモンメレンゲパイの匂いも感じらせる。

口に含むと、まるで純金を液体にしたような舌触り。ゆっくりと蒸溜することで生まれたデリケートなテクスチャーがあり、素晴らしいフルーツとスモークのコンビが迫ってくる。唇には波しぶきと爽やかな潮風。アメリカンオークらしいヴァニラ、ファッジ、マジパン、クルミの風味も強い。メロンと柑橘の風味が、そよ風に乗ってやってくる。

そしてオクトモアの真骨頂といえばフィニッシュだ。乾燥したピートの煙、ヨード、オークの甘さによる共演。かすかなミントとセイヨウヤチヤナギの感触が、一貫したピートの煙の余韻に寄り添っていつまでも続く。ボディの力強さを保ちながら、クラシックな安定感を深めているのは8年熟成の賜物だろう。

オクトモアのナンバリングシステムは、バーボン樽100%のウイスキーをすべて「.1」とし、「.3」はアイラ島産大麦100%だが、特に蒸溜所に程近いオクトモア農園の麦のみという名実ともに「オクトモアの中のオクトモア」だ。昨シリーズより発売された「.4」はヴァージンオーク樽使用の原酒をヴァッティングしている。新樽の持つ力強いウッディなアロマとスーパー・ヘビリー・ピーテッドの原酒を組み合わせた、これもまたブルックラディの挑戦と実験の賜物だ。樽からの影響を持たせすぎず、桁外れのピート香とブルックラディらしいエレガントさを生かすため、複雑な樽管理を行っているという。2018年は日本でも「08.3」と「08.4」の発売が見込まれているので、引き続きオクトモアの「8」シリーズに注目だ。

 


オクトモア 08.1 スコティッシュ・バーレイ

アルコール度数:59.3 度

容量:700ml

希望小売価格(本体):16,000 円

発売日:2018年1月15日(月)

 

世界最高のピート香を放つ「オクトモア」など、手づくりのシングルモルトウイスキーにこだわるブルックラディの製品情報はこちらから。

 

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