秩父ウイスキー祭レポート

March 1, 2014

2月23日、埼玉県秩父市で行われた初めてのイベント「秩父ウイスキー祭」をレポート。

埼玉県秩父市といえば、今では言わずと知れたジャパニーズ・マイクロディスティラリーである「秩父蒸溜所」のお膝元。その地でウイスキーのイベントが行われるとあって、興味をひかれた愛好家は多いだろう。さらに前日は「秩父蒸溜所オープンデー」となり、通常は行われない蒸溜所見学ツアーが駅からのシャトルバスつきで開催されるということで、遠方のファンにとっては聖地訪問のまたとないチャンス。こちらのツアーの予約は瞬く間に満員御礼となり、翌日のウイスキー祭にも弾みがついたようだ。
イベントの主催は埼玉県のバーテンダーによって組織される「Saitama Whisk(e)y session」。これまでもウイスキーイベントを埼玉県内で行っていたが、今回は秩父に場所を移した。地元産ウイスキーとバー文化を盛り上げようという気概が伺える。

しかし関東地方を襲った記録的な大雪によって、イベント開催自体の雲行きも怪しくなった。秩父の山間部では1m近い積雪があり、交通網はすっかり麻痺してしまった。都心と秩父を結ぶ西武鉄道も「特急レッドアロー」の運転を見合わせていた。
開催が危ぶまれるなか、市内の除雪作業も急ピッチで進められ、イベント前日にはレッドアローも運転を再開。まさに天の助け…秩父神社に祭られる八意思兼命の力添えか、ウイスキーファンの情熱が雪を溶かしたか? 無事第一回秩父ウイスキー祭は執り行われることとなった。

当日は予想をはるかに超える800人近い入場者を記録。神社の参集殿を会場にした珍しいロケーションではあったが、ジャパニーズウイスキーの趣をたっぷりと感じられる良い雰囲気である。会場内の各社ブースでは様々なウイスキーがふるまわれている。
日本初登場のニュージーランドウイスキー「トムソン・ウイスキー」からは2種類のボトルが登場。株式会社信濃屋食品オリジナルボトリングのアイリッシュティーリング ヴィンテージリザーブ21年」ケイデンヘッド「ダルモア21年」も先行テイスティングが行われていた。
昨年リリースが発表されていたザ・スコッチモルトウイスキーソサエティの秩父、羽生、軽井沢も好評。また地元の和菓子店からの出展もあり、秩父のウイスキーと和菓子というコラボレーションも楽しめた。しかし何と言っても秩父蒸溜所のブースは常に行列の大人気。地元で飲むウイスキーの味に愛好家も満足そうである。

  

また、別室で行われたセミナーも盛況。ご当地である「秩父蒸溜所」、昨年「日本ウイスキーの誕生」を上梓した三鍋昌春氏による「ウィスキーセミナー」、昨年のWWAでワールドベスト・ブレンデッドモルトを勝ち取り一躍世界にその名を馳せた本坊酒造「信州マルス蒸溜所」、新進のスウェーデンウイスキー「マクミラ」を扱うガイアフローの「世界のクラフト・ディスティラリー」と、非常に興味深いセミナーが行われていた。畳敷きの室内でジャパニーズウイスキーのつくりについて学ぶ、というのはなかなかできない経験だ。今後このようなスタイルが増えても面白いだろう。

 

そして秩父蒸溜所のセミナーで発表された後にブースでも試飲が提供されたのがこちら…ファンが「いつ出るのか」と待ち焦がれた「カードシリーズ ジョーカー」である。
2種類の色違いのラベルで出され、カラーの方は閉鎖した羽生蒸溜所とのヴァッテッド、モノクロのものは1985年蒸溜、ホグスヘッドとミズナラのダブルマチュアードである。このボトルの登場によって、ブースは一気に黒山の人だかりとなった。秩父ウイスキー祭に足を運んでくれた来場者への、秩父蒸溜所からのサプライズプレゼント… 嬉しい心遣いだ。

素晴らしいウイスキーの数々に巡り会い、来場者は笑顔で雪道を帰って行った。来年の開催が今から楽しみである。

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