夏はテラスでウイスキー【1】「COHIBA ATMOSPHERE TOKYO」

August 7, 2013

暑い1日を過ごしたあと、風に吹かれて飲む1杯は格別だ。しかしビアガーデンはあっても、本格的にウイスキーが楽しめるテラス席のあるバーはなかなかないのではないだろうか? WMJお勧めオープンエアのバー特集、初回は西麻布 COHIBA ATMOSPHERE TOKYOへ、酔っぱライター・江口まゆみがお邪魔する。

西麻布の交差点から少し入った一角に、ゴージャスなインテリアのシガーバーがある。生け垣で道と隔てられた小さなテラスが人気で、夏には開け放たれた店内とテラスが一体化し、ゆったりとした空間になるのである。

ここ、COHIBA ATMOSPHERE TOKYOは、キューバの高級葉巻コイーバの名を冠した日本唯一のバー。日本のJTにあたるキューバの葉巻専売公社HABANOSとライセンス契約をしていて、コイーバはもちろん、様々なキューバ産葉巻が楽しめる。
「日本で葉巻というと閉鎖空間で吸うものと思われていますが、本場キューバでは屋外で吸うことも多いんですよ」
と店主の三木正人さんは言う。気軽に葉巻が吸えるためか、お客さんの外国人率はとても高く、とくに中南米大使館員からは絶大な支持を得ているそうだ。

キューバといえば、やはりモヒート。さっそく作っていただこう。
こちらでは、沖縄で契約栽培しているブラックペパーミントを使う。朝採れたてのミントがその日のうちに空輸され、夕方には届くのだから新鮮だ。
(WMJ註:ちなみに、同店は沖縄・那覇市にも系列店FINCA LA VIGIA OKINAWAを展開している)
ブラックペパーミントは、スペアミントよりハッカ臭が強くないので、大量に投入することができる。もう一つのポイントは、ガムシロップではなく砂糖を使うこと。グラスの底にたまった砂糖をかき混ぜながら飲むのが、キューバスタイルだという。ラムは60ccも入っているから強いカクテルなのだが、ミントの爽やかさと砂糖の甘さでスイスイ飲めてしまう。テラスから吹き抜ける風が南国のリゾートを思わせ、風味を増す。美味いが危険な香りのするカクテルである。

次に飲んだのは、ラフロイグ10年のソーダ割り。アイラ島のスモーキー&ソルティーなモルトを飲めば、葉巻好きは一服したくなるのだという。
三木さんのおすすめは、オヨデモントレーのペティロブスト
30分程度で吸えるライトな葉巻で、麻生元首相のお気に入りらしい。三木さんがくゆらす葉巻の香りは甘くおだやか。この甘みが、きっとラフロイグの塩気と好相性なんだろうと想像をめぐらせる。

 

最後は、ハイランドパーク12年のロックである。
「ここまできたら江口さんも一本」とすすめられ、シガリロというタバコに近い細巻きをセレクトしていただく。パナマ産のホセジョピスという超入門編の葉巻で、1本180円程度という安さも手伝って、肩肘張らず気軽に吸うことができる一本である。
シガリロは普通機械巻きなのだが、これは珍しいハンドメイド。なのでスパイシーな味わいながら、辛味が少なく、スモーキーなハイランドパークとバッチリ合うのである。タバコをやめて10年以上たつのだが、どうしてもクセで肺に煙を吸い込みそうになるのは困った。葉巻は口の中で煙の香りを味わうものなのだ。

海外では、5Cとか6Cといって、Cのつく嗜好品がセレブのたしなみとされている。シガー、コニャック、チーズ、コーヒー、シャンパン、チョコレートなどだ。三木さんはまだ30代そこそこだが、海外できちんとマナーに則って葉巻をたしなんでいると、必ず一目置かれるという。他のスタッフも20〜30代と若いのだが、葉巻に関する知識は深く広い。そのあたりも外国人客が集まってくる要因になっているようだ。
かといって、敷居の高い店ではない。10%のサービス料はあるが、基本的にチャージはないので、座っただけでお金がかかることはない。葉巻と飲み物で2200円というリーズナブルなセットもある。飲み物はカクテルやウイスキーのほか、ワインやギネスも選択できる。
「非日常の中で心からリラックスできるお店を目指していますから、気軽に飲みに来て、葉巻にもチャレンジしていただきたいですね」と三木さん。
ここはまさにカリブ海のリゾートのような、東京の異空間なのである。

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