ウイスキークッキング・9 【マッシュルーム 前半/全2回】

March 3, 2015

ウイスキーと愉しむフードを探るシリーズ第9回の今回は、キノコについて。まずは西洋料理によく使われるキノコの種類を紹介しよう。

秋から春にかけての時期が楽しい食べ物をひとつだけ選ぶとしたら、間違いなくキノコが真っ先に来るだろう。
私が特にキノコ狩りの名手だということではない。間違ったキノコを採ってしまい、そのオムレツを食べた人が毒にあたったらと思うと怖くなる。
パリに住んでいた頃、近くの通りに並ぶ野菜の露店を見てまわり、様々な彩りのキノコの匂いを嗅ぐのが大好きだった。今では基本的にチェストナットマッシュルームかバトンマッシュルームかの選択に限られているが、この2種類だけでも多くのことができる。ぴったりのウイスキーと素晴らしいペアリングを生み出すことも。

キノコとのペアリングに最適なウイスキーについてよく質問されるが、それはドレスに一番マッチするネックレスは何かと聞かれるようなものだ。ドレスと言ってもいろいろあるのだから(どんな場合にも使える定番のちょっとした黒いドレス以外!)、合わせるネックレスもたくさんあるわけだ。

キノコ料理とペアリングするウイスキーを選ぶ場合、もちろん一番大切なのはキノコの種類だが、調理する方法レシピに使う材料も重要だ。
では、よく知られている種類のキノコを検討して、美味しい料理を考えてみよう。黒トリュフは、それだけで別項が必要になりそうなのでパスする。19世紀フランスの著述家、ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランが「美食のダイヤモンド」と呼ぶこのキノコは、最高の時間をもたらしてくれる。そして皆さんが考えるほど、手の届かないものではない。

バトンマッシュルーム
小さな白い栽培キノコで、どの店にもある。茶色の場合は、チェストナットマッシュルームまたはクレミニマッシュルームと呼ばれる。土っぽくてマイルドな味がする。
個人的には、固めで味の濃いブラウンマッシュルームの方が好き。クレミニは未成熟のポートベロマッシュルームの名称で、魚や海産物ととてもよく合う。

ポートベロマッシュルーム
大きく、味がより豊かで、肉っぽい質感。肉、パスタ、リゾットに理想的。

ポルチーニ
(またはボレタス、フランス語でセップ)は野生キノコの王者。乾燥させたものが1年中手に入るが、生の方が美味しい。
採れる期間は短いので、市場を探してみよう。風味豊かで、土っぽく、肉っぽくてウッディ。それに粘液質なのでソースやスープ、オムレツに適している。

モレル
これは美食家には欠かせない。しかし、様々なモレルがある。私は大きくて味のないアメリカ産の栽培モレルには手を出さないようにしている。乾燥モレルも好きではなく、新鮮な野生のモレルがいい。
とても高価で、数週間しか入手できない(3月から5月まで)が、探す価値はある。
生だと毒があるので、調理して食べること。穴の多い、蜂の巣のようなキノコ…とにかく穴だらけだ(だから、きれいにするのが大変!)。
素晴らしく土っぽく、ナッティでスモーキーな風味は、クリーミーなソースに入れるとより強くなる。白身肉(チキン、子牛肉)と共に、それからオムレツやパスタに入れてもとても美味しい。

シャントレル
フランス語でジロール。トランペット形をしている。
しかし、「死のトランペット」と呼ばれる別のキノコ(毒はないが)と間違えないように。大抵は野生だが、栽培物もある。ナッティでフルーティな、絶妙な風味があり、いくらか噛みごたえのある食感。硬くなり過ぎないように、調理を終える前の10分以内に加えること。

このような素晴らしい森や野原の創造物をバスケットに集めたら、何をつくろう? そして、どのウイスキーを選ぼうか?

【後半に続く】

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