アイコンズ・オブ・ウイスキー 2022【第1回/全3回】

April 1, 2022

今年で第20回目を迎えた「アイコンズ・オブ・ウイスキー(以下IOW)」は、ウイスキーマガジンの発行元でもある英国パラグラフ・パブリッシング社主催の世界的なコンテスト。「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」が製品としてのウイスキーを対象とするのに対し、IOWは世界のウイスキー業界に著しい貢献を果たした企業、蒸溜所、人物、小売店、バーなどを表彰する。2022年の受賞者を3回に分けてご紹介。

 


 

ディスティラー・オブ・ザ・イヤー

提供:グレンケアン・クリスタル・スタジオ

バッファロートレース蒸溜所(アメリカ)

「伝統を重んじ、変化を受け入れる」というモットーを掲げるバッファロー・トレース蒸溜所は、この12ヶ月で大きな飛躍を遂げた。コロナ禍で多くの蒸溜所が観光客の受け入れや増産に向けた設備投資を断念するなか、バッファロートレースは攻めの姿勢を貫いた。まずは2021年も休むことなく、安全面に留意しながら蒸溜所ツアーに参加するビジターを順調に受け入れ。それと同時に、生産量拡大を目的として12億米ドルもの巨費を投じた。この設備投資には、貯蔵庫の増設や、スピリッツ生産を倍増させる第2蒸溜棟の新設も含まれる。さらには新しい発酵槽を8槽追加し、ドライハウス工程の拡張なども進めた。社会全体が停滞する時期にも、ウイスキーファンの需要に応えた功績は大きい。

 
入賞

  • ラディコ・カイタン(インド)
  • ウォーターフォード蒸溜所(アイルランド)
  • グレンタレット蒸溜所(スコットランド)
  • カバラン蒸溜所(台湾)

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    マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー

    提供:ウイスキー・オークショニア

    ケビン・オゴーマン/ミドルトン蒸溜所(アイルランド)

    ケビン・オゴーマンは、1998年にミドルトンに入社し、2007年に熟成担当マスターに就任。現在はマスターディスティラーとして、アイリッシュウイスキーの豊かな伝統を守っている。ミドルトン蒸溜所は、世界で最も有名なアイリッシュウイスキーの一部を生産する重要な拠点だ。ミドルトンは革新的な樽熟成によってその名を知られるようになった蒸溜所だが、ケビンは前職に引き続き熟成工程の改革を指揮している。また「メソッド」や「マッドネス」などの新しいブランドで斬新なスピリッツ商品を生み出し、「ジェムソン」「レッドブレスト」「パワーズ」「ミドルトン・ベリーレア」「スポット」などの定番ブランドにおいても世界市場への拡張を監督している。

     
    入賞

  • ビクトリア・イーディ・バトラー/アンクルニアレスト(アメリカ)
  • アショク・チョカリンガム/アムルット蒸溜所(インド)
  • ジュリアン・フェルナンデス/ディステル・インターナショナル(スコットランド)
  • デイブ・ウィザース/アーチーローズ・ディスティリング(オーストラリア)
     

    ディスティラリーマネージャー・オブ・ザ・イヤー

    提供:ラークファイヤー

    エド・トム/グレンモーレンジィ蒸溜所(スコットランド)

    エド・トムは、2019年にグレンモーレンジィ蒸溜所長となって蒸溜所全体の運営を引き継いだ。それ以前には、ダフタウン蒸溜所とグレンエルギン蒸溜所で14年にわたって蒸溜所長を務めた経験もある。ウイスキー業界に深く関わりながら、エドは業界が絶え間なく進化を続け、サステナビリティがビジネスの中核となっていく過程を目の当たりにしてきた。現在は、二酸化炭素排出ネットゼロを目指すグレンモーレンジィの方針に従い、責任ある土地と水の管理に尽力している。少なくともあと175年はこの場所でウイスキー生産を継続できるよう、サステナブルな蒸溜所運営を推進するのがエドの役割だ。

     
    入賞

  • マーシャ・リカリッシュ/アイアンルート・リパブリック蒸溜所蒸溜所(アメリカ)
  • ポール・ウィッカム/ミドルトン蒸溜所(アイルランド)
  • ヘザー・ティロット/サリヴァンズコーヴ蒸溜所(オーストラリア)

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    クラフトプロデューサー・オブ・ザ・イヤー

    提供:ウェイド・セラミックス

    サリヴァンズコーヴ蒸溜所(オーストラリア)

    タスマニアンウイスキー発祥の地であるサリヴァンズコーヴは、港町ホバートにある個人経営の小さなクラフトディスティラリーだ。だが現在、サリヴァンズコーヴがつくるウイスキーの需要は、蒸溜所の年間生産量をはるかに凌駕するほど拡大している。人気の源泉は、何よりも品質を優先し、みずから「意図的に非効率な生産スタイル」と呼ぶウイスキーづくり。熟成期間をあらかじめ設定せず、熟成のピークを見極めるために定期的な原酒テイスティングを繰り返す。ヴァッティング後にも長い期間をかけて原酒をなじませ、冷却ろ過をせず、希釈も段階的に加水して驚くほどの時間をかける。2014年には「サリヴァンズコーヴ フレンチオーク シングルカスク」がワールド・ウイスキー・アワードでワールドベスト・シングルモルトウイスキーを受賞。2019年には同じ商品がワールドベスト・シングルカスク・シングルモルトウイスキーに輝いた。その他の数々のアワードとともに、サリヴァンズコーヴは世界有数のクラフトウイスキーメーカーとして名声を確立している。

     
    入賞

  • ディスティラリー291(アメリカ)
  • ディングル蒸溜所(アイルランド)
  • バリンダロッホ蒸溜所(スコットランド)

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    サステナブル・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー

    ウエストランド蒸溜所(アメリカ)

    サステナビリティがビジネスと不可分な要素であると考えるウエストランド蒸溜所は、近年さらにいくつかの大きな進化を遂げている。そのひとつが、生産工程で使用する水をクローズドループ内で巡回させることによって、水の使用量を全体で大幅に削減したことだ。ウエストランドは、農家、自然環境、地域全体のコミュニティなどに好ましい影響を与えるべく、持続可能な農業システムの構築にも創業時から力を入れてきた。さらに近年は、米国西岸北西部のオークサバンナを再開発するためのリソース強化に力を注いでいる。そのような活動が認められ、ワシントン州がグリーンビジネスを対象に表彰する「EnviroStars」を受賞したばかりだ。

     
    入賞

  • ティーリング・ウイスキー蒸溜所(アイルランド)
  • グレンゴイン蒸溜所(スコットランド)
  • ラーク蒸溜所(オーストラリア)

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    ビジターアトラクション・オブ・ザ・イヤー

    「ヘブンヒル・バーボンエクスペリエンス」ヘブンヒル蒸溜所(アメリカ)

    コロナ禍の間に起こったバーボンブームの波に乗りながら、バーボン業界最大の家族経営蒸溜所であるヘブンヒルはひとつ先の未来を見据えていた。ケンタッキー州の人々が「バーボニズム」と呼ぶバーボンツーリズムの復活に備えていたのである。1900万米ドルの巨費を投じた「ヘブンヒル・バーボンエクスペリエンス」は、2021年にオープン。1日に約1000人の来訪者を迎えられる大型施設だ。クラスルーム形式のテイスティング体験、バーボンのボトル詰め体験、ヘブンヒルの広大なキャンパスを見下ろす屋上バーなど、さまざまな体験型アクティビティ、展示、レクリエーションを楽しめるスペースが用意されている。
     
    入賞

  • ポールジョン・ビジターセンター・ゴア(インド)
  • ジェムソン蒸溜所(アイルランド)
  • グレンアラヒー蒸溜所(スコットランド)
  • カバラン蒸溜所(台湾)

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    ビジターアトラクションマネージャー・オブ・ザ・イヤー

    ユアン・パターソン/クロナキルティ蒸溜所(アイルランド)

    2019年に開業したクロナキルティ蒸溜所に、オープン当初からツアーガイドとして入社したユアン・パターソン。入社以前は、フリーランスのセールスマンとしてコーク空港でアイリッシュウイスキーの各ブランドを取り扱っていた。2019年5月に蒸溜所のビジターエクスペリエンス・スーパーバイザーに昇格し、さらにはビジターエクスペリエンス・マネージャーとなって現在に至る。ユアンは、ビジターエクスペリエンスの業務全般とチームの運営を統括し、観光業界、ウイスキー業界、ツアー運営会社、ホスピタリティ企業などとも連携しながら日々の業務を進めている。ここ数年は観光業界全体が困難な状況に直面していたが、来場したビジターからの熱烈な賞賛がユアンの素晴らしい仕事ぶりを証明している。

     
    入賞

  • ジェフ・クロウ/ヘブンヒル・ブランズ(アメリカ)
  • デブス・ニューマン/ホーリールード蒸溜所(スコットランド)
  • アリー・バーナ/サリヴァンズコーヴ蒸溜所(オーストラリア)

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    アメリカンウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー

    フィリップ・ローリー/291コロラドウイスキー(アメリカ)

    フィリップ・ローリーは、291コロラドウイスキーの事業開発担当バイスプレジデントだ。アメリカ国内外の新規市場開拓を中心に、291コロラドウイスキー商品の販売および流通活動を統括している。ブランドの伝道師を心から自認するフィリップは、ディストリビューター、セールスチーム、バイヤーのためにトレーニングやコミュニケーションを促進するプログラムを開発。さらにはブランドを支持して普及を助けてくれるチームもサポートしている。ウイスキー業界や地域社会への利益還元を重視し、乳がんの啓発活動を恒常的に支援。さらにはアダプティブ・スポーツのためのマウンテン・ハイ・ミュージック・フェスティバルなどのイベントにも協賛している。

     
    入賞

  • プリトビ・ハンダ/ビームサントリー・インディア(インド)

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    アイリッシュウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー

    ロバート・コールドウェル/ティーリング・ウイスキー(アイルランド)

    アイルランド屈指の有名カクテルバー各店をオープンし、経営してきたプロのバーテンダーでもあるロバート・コールドウェル。現在はティーリング・ウイスキーのグローバル・ブランド・アンバサダーを務めている。コロナ禍にもかかわらず、ロバートはアイリッシュウイスキーへの情熱を世界中のファン、バーテンダー、法人顧客、営業チームと引き続き共有。過去12ヶ月間に30カ国でバーチャルイベントを毎月開催し、対面イベントの開催も150回以上を数えた。オーストラリアで生まれたロバートは、現在アイルランドを第二の故郷として活躍中。若い世代からは業界のベテランとして尊敬を集めている。

     
    入賞

  • 該当なし

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    ワールドウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー

    蔡佳恩/カバラン蒸溜所(台湾)

    台湾のカバラン蒸溜所で、ブランドアンバサダーとグローバルPRオフィサーを兼任する蔡佳恩(サンドラ・ツァイ)。多文化コミュニケーションと異文化への理解力を武器に、ウイスキーの普及者として消費者の教育に力を入れている。サンドラの使命は、カバランのユニークなストーリーや、卓越したウイスキーづくりを世界各地の消費者や輸入業者に共有すること。対面式テイスティング、メディアイベント、マスタークラス、SNSのライブストリームなどを開催して、高品質なウイスキーの魅力を伝えている。

     
    入賞

  • ティルヴィクラム・ニカム/アムルット・ディスティラリーズ(インド)

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    スコッチウイスキー・ブランドアンバサダー・オブ・ザ・イヤー

    マーティン・マークヴァードセン/ハイランドパーク(スコットランド)

    マーティン・マークヴァードセンが、母国デンマークのワインクラブで初めてウィスキーのテイスティングを担当したのは1989年のこと。それ以来、キャリアを世界中に広げて活躍してきた。2015年にはハイランドパークのグローバルブランドアンバサダーに就任。ブランドアンバサダーたちのチームを統括し、トレーニングをサポートしたり、世界各地で開催されるウイスキーテイスティングやイベントに参加しながらチームも引率している。過去1年間に参加したSNSのライブテイスティング、フードペアリングセッション、インタビューは150件以上。2021年にはマスター・オブ・ザ・クエイヒにも任命されている。

     
    入賞

  • カルティク・モヒンドラ/ペルノ・リカール・インディア(インド)

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    地区別の候補者も含めたアイコンズ・オブ・ウイスキーの全容はこちらから。

     
     

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