ブラックニッカで味わう60年の歳月

March 13, 2017

昨年11月に発売され、2ヶ月足らずで売り切れた「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」が数量限定で再発売される。ブレンドを構成する原酒のひとつが、1956年に余市蒸溜所で蒸溜された希少なモルト原酒だ。チーフブレンダーとともに味わう60年の軌跡。

文:WMJ

 

ニッカウヰスキーの主力ブランド「ブラックニッカ」は、2016年だけで321万5000箱(前年比114.5%)を販売し、4年連続の過去最高売上を記録している。昨年11月にブランド誕生60周年を記念して発売した「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」も、2ヶ月を待たずに予定の1万2千箱を完売。アサヒビールの笹原俊一マーケティング第三部長は売上データを分析したところ、若年層の購入比率の高さに驚いたという。

「年齢層別では、20代が全体の約15%という予想以上の数字。若い消費者層に支持され、ウイスキーユーザーの裾野を広げてくれる商品だとわかったのです。限定品であることを惜しむ声も多かったことから、数量限定での再発売に踏み切りました」

このたび3月28日より再発売となる「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」にも、前回同様に初代「ブラックニッカ」が発売された1956年に余市蒸溜所で蒸溜されたモルト原酒や、西宮工場で1999年以前につくられたカフェグレーンなどの希少な原酒も使用されている。

60年以上にわたって各時代のブレンダー達が築き上げてきたニッカの集大成であり、「ブラックニッカ」ブランドの60年の歴史が味わえる特別なブレンド。それが「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」の最大の魅力だ。

 

60年以上前の余市モルトと比較テイスティング

 

待望の再発売を前に、ニッカウヰスキーチーフブレンダーの佐久間正氏が特別なテイスティングを用意してくれた。さっそく今回発売される「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」が入ったグラスを手に取り、グラスに鼻を近づけてみる。ダークチョコレートを思わせる甘い香りに穀物の香りも加わって、どっしりとしたチョコレートケーキのような印象だ。樽由来のウッディーな香りや、ピート香も鼻を抜けてくる。佐久間氏が香りの捉え方をアドバイスする。

「鼻の場所によって、感じる香りが違うんです。チョコレートや樽の香りを感じるには、鼻腔の下の方に意識を集中してみてください。一方で、ピートは鼻の上の方を抜けていく感触があるはずです」

口に含むと甘い樽のコクがあり、ピートが鼻の上方に抜けていく。甘い香りの余韻は長く、舌の上にかすかな樽の渋みを残す。鼻の上部に残ったピートの余韻が、やがて口内全体に広がっていく。

「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」の魅力のひとつは、初代ブラックニッカが発売された1956年に余市蒸溜所で蒸溜された貴重なモルト原酒。そのユニークな特徴は、洗練されたブレンドのなかではっきりと輝いていた。

「古い木造の家のような香りを感じませんか? その香りと長い余韻が、長期貯蔵の原酒を使った特徴なんです」

次に味わうのは、「ブレンダーズスピリット」の原酒のひとつであるという1956年の貴重な余市モルトだ。60年前に蒸溜された、カスクストレングス53%の液体である。小さなサンプルボトルからグラスに注ぐと、ニス塗りの古い家具や磨き込まれた木の床のような匂いが立ち上がってきた。木の成分がアルコールに反応して、さまざまな成分を生み出すのだと佐久間氏は言う。

「長期熟成ならではの風格を感じますね。沈丁花を思わせるオリエンタルな香りや、白檀のような印象もあります」

何度か樽替えを経ているため、詳細な経歴はわからない。だがこの原酒は、もともとミズナラ樽で貯蔵されたものであろうと佐久間さんは推測している。

「ニッカがホワイトオークを使いはじめたのは昭和40年代から。それ以前は、ほとんどの樽がミズナラで造られていました。歴史的な経緯を考えれば、この昭和31年の原酒もミズナラ樽に入っていた可能性は高いでしょう。その証拠が、沈丁花のような東洋風のニュアンスです」

口に含むと、長期熟成らしく樽の味が濃厚だ。だが直接的な苦味や渋味ではなく、やわらかな枯淡が舌の上で溶け出す。古色をまといながらも、骨格のしっかりとした余市らしさが感じられる。

「ピート香は、おそらく余市で自家製麦したピートのものです。創立から約20年頃の、ニッカの原点を感じさせるモルトウイスキーですね」

あらためて「ブレンダーズスピリット」に戻って比較してみると、古い余市モルトの風味がしっかりと活かされていることがわかる。しかも長期熟成のグレーン原酒などと一緒にブレンドされることで、極めてまろやかなブレンデッドウイスキーに統合されている。60年という歳月を経て到達した複雑な味わいを、見事にまとめあげるブレンド技術に驚いた。

 

今年は3種類の限定ボトルと消費者キャンペーンを予定

 

ブラックニッカは、今回の「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」以外にも、年内に2つの数量限定商品を予定している。また4月24日から8月7日まで実施される「ブラックニッカ」3ブランド横断の消費者キャンペーン「集めて当てよう!ENJOY!ブラックニッカ」も楽しみだ。「ブラックニッカ」ブランドのボトルに貼付されているポイントを集めて応募すると、人気作家の角田光代さんと朝井リョウさんが執筆したオリジナル小説が読める。さらに抽選で「ブラックニッカ」を3種類の飲み方で楽しめる特典も当たる。3種類とは「ハイボール」、ツイスパソーダでウイスキーに炭酸を直接溶け込ませた「スパークリングウイスキー」、-18℃に冷やして味わう「ストレートウイスキー」である。

ウイスキーブームが続くなか、笹原氏は懸念されるモルト原酒不足についても見通しを語った。

「2017年は、2015年比で原酒の仕込み量を8割も増やして需要を追いかけています。しかし皆様もご存じのとおり、ウイスキーづくりは長い時間がかかる事業。ブラックニッカでウイスキーファンの裾野を広げながら、着実に消費者のニーズに応えていきたいと考えています」
 

 

ブラックニッカ ブレンダーズスピリット

アルコール分:43%

品目:ウイスキー

容量:瓶700ml

発売日:2017年3月28日(火)

価格:オープン価格 
*参考小売価格:2,500円(消費税別)

限定数量:1万箱(1箱=700ml×12本)

 

商品ラインナップやキャンペーン情報を網羅した「ブラックニッカ」の公式ブランドサイトはこちらから。
 

WMJ PROMOTION

 

 

カテゴリ: Archive, features, TOP, 最新記事, 蒸溜所, 風味