ウイスキーの殿堂「ホール・オブ・フェイム」2015
ウイスキー業界の功労者を称える「ホール・オブ・フェイム」、今年は初めて日本人の受賞者が誕生した。
「ホール・オブ・フェイム」はウイスキーマガジンが2004年から毎年発表しているアワードである。長年にわたりウイスキー業界に特筆すべき貢献を果たした人物に贈る、ウイスキー界の「殿堂」だ。
2014年までに22組(23名)のウイスキー界の功労者が表彰されている。昨年までの受賞者は以下の通り(所属、肩書は受賞当時)。
2004 | マイケル・ジャクソン | ウイスキー評論家 |
2005 | バリー・ウォルシュ | アイリッシュ・ディスティラーズ社 チーフブレンダー |
2006 | ロバート・ヒックス | バランタイン マスターブレンダー |
2007 | ジミー・ベッドフォード | ジャックダニエル 製造責任者 |
2008 | ジョン・ラムゼイ | エドリントン・グループカティサーク マスターブレンダー |
2009 | デビッド・スチュワート | ウィリアムグラント&サンズ ザ・バルヴェニー モルトマスター |
2010 | ジャック&ウォレンス・ミルロイ | ウイスキー専門小売店前オーナー(ジャック) ウイスキーライター(ウォレス) |
2011 | エヴァン・カタナック | ディアジオ社 名誉マスターディスティラー |
2012 | ダグラス・キャンベル | トマーティン蒸溜所 マスターディスティラー、ブランドアンバサダー |
リチャード・フォーサイス | フォーサイス社(ポットスチルメーカー) 代表 |
|
エルマー・T・リー | バッファロートレース蒸溜所 マスターディスティラー、ブランドアンバサダー |
|
2013 | デビッド・グラント | ウィリアムグラント&サンズ社 代表 |
ジム・ラトリッジ | フォアローゼズ蒸溜所 マスターディスティラー |
|
ジミー・ラッセル | ワイルドターキー蒸溜所 マスターディスティラー |
|
リチャード・パターソン | ホワイト&マッカイ社 マスターブレンダー |
|
デビッド・アーカート | ゴードン&マクファイル社 マネージング・ディレクター |
|
2014 | バリー・クロケット | アイリッシュ・ディスティラーズ マスターディスティラー |
ジェームズ・マッキュワン | ブルイックラディ蒸溜所 マスターディスティラー |
|
フランク・マクハーディ | J.A.ミッチェル社 製造責任者 |
|
デニス・マルコム | グレングラント蒸溜所 マスターディスティラー |
|
パーカー・ビーム | ヘヴンヒル蒸溜所 マスターディスティラー |
|
エドウィン・フート | オールド・フィッツジェラルド蒸溜所 マスターディスティラー |
そして2015年には、新たに8人の「殿堂入り」が決定。
コリン・ロス | スコットランド ベン・ネヴィス蒸溜所社長 |
マイケル・アーカート | スコットランド ゴードン&マクファイル社マネージング・ディレクター |
ジム・ベバリッジ | スコットランド ジョニーウォーカーマスターブレンダー |
スティーブ・ベアール | アメリカ ディアジオ社ウイスキーアンバサダー |
アル・ヤング | アメリカ フォアローゼズ蒸溜所ブランドアンバサダー |
ビル・サミュエルズ・Jr | アメリカ メーカーズマーク蒸溜所代表 |
輿水 精一 | 日本 サントリースピリッツ株式会社名誉チーフブレンダー |
ビル・ラーク | オーストラリア ラーク蒸溜所ディスティラリーマネージャー |
輿水氏は1949年(昭和24年)生まれ。1973年サントリー株式会社(現サントリーホールディングス株式会社)入社。研究センターや貯蔵部門などを経て、1999年にチーフブレンダーに就任、2014年から名誉チーフブレンダーとなり、現在に至る。「響」「山崎」など、手がけたウイスキーがWWAをはじめ世界的な酒類コンペティションで多数の最高賞を受賞している。
受賞の理由には「ジャパニーズウイスキーの水準を高め、人々に普遍的に愛される世界を代表するウイスキーに育てた。竹炭フィルタリングやミズナラ樽熟成など、輿水氏がサントリーで構築した新しいウイスキーの製法は世界に驚きを与え、ウイスキーのブレンディングにおいても革命をもたらした」点などが挙げられている。
輿水氏は3月19日 ロンドンでの授賞式にてスピーチを行い、スタンディングオベーションの喝采を浴びた。その受賞の喜びを「サントリーのブレンド技術が世界に認められて非常に光栄に思う。これからも世界中のウイスキーファンにご満足いただけるような高品質なウイスキーを提供できるよう一同努力していきたい」と語った。
ウイスキー界の「伝説の男たち」のたゆまぬ努力と探求心により、素晴らしいウイスキーが生まれ、世界中で楽しまれている。長い年月をかけてひとつの道を究めた匠たちを称え、その偉功の賜物であるウイスキーで乾杯しよう…その味わい以上に、深く心に沁みる1杯になるはずだ。