“Northern Trickster” 「ハイランドパーク ロキ」登場【後半/全2回】

December 23, 2013

通常と異なるピートを使用している「ロキ」。ではオークニー本来の特徴とは何か? グローバル・ブランド・アドヴォケイトのダリル・ハルディン氏へのインタビュー後半をお送りする。

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――日本人からするとスコットランドと北欧は距離的、文化的などの近さがつかみにくいのですが…スコットランド人にとって、ヴァルハラコレクションのテーマとなっている北欧神話は身近なものですか?

ダリル氏 ええ、小学校で習いますから誰もが知っているでしょうね。しかし、本島のスコットランド人にはそれがすぐオークニーと結びつくとは限りません。ヴァイキングの話や、オークニーが昔ノルウェー領であったとか、自分たちの国の島がそこまで北欧に近いとは思っていないんじゃないでしょうか。

――ヴァイキングに対してはどんなイメージなのでしょう? 侵略してきた敵という感覚や、逆に自分たちの祖先はヴァイキングだからと誇らしく思う、という話も聞きますが。

ダリル氏 うーん、概ねオークニー人はヴァイキングには好意的ですね。そもそも「ヴァイキング」は「ファーマー」という意味で、人殺しであるとか乱暴者のような意味ではありません。むしろ農業をしながらも戦にも長けているという意味でオークニー人は好ましく思っています。オークニーでは道の名前やサッカーチームの名前など、至る所に北欧の言葉が使われているんですよ。常に身近に感じています。
本島のスコットランド人にとっては、自分たちの祖先は「ブレイブ・ハート」のようなスコティッシュ戦士であり、それが誇りであると思いますよ。

――なるほど。北欧神話やヴァイキングは少し遠い国のお話でしたが、イメージがつかめました。北欧神話をテーマにしたヴァルハラコレクションへの興味も高まりますね。

ダリル氏 ええ、第三弾にご期待いただきながら「ロキ」を楽しんでほしいですね。

――ヴァルハラコレクション以外にも何かお考えのことはありますか?現在の蒸溜所のニュースなども含めて…。

ダリル氏 そうですね…ハイランドパークはフロアモルティングを行う数少ない蒸溜所のひとつですが、今いろいろと実験をしています。今年は6軒の契約農家からオークニーの地元産大麦を60トン購入して、フロアモルティングと自社のピートの焚きこみをしました。実際これがどんなウイスキーになるかは、5年くらい経たなければ分かりませんが、もしかしたらスペシャルエディションなども出せるかもしれません。乞うご期待です!

――それは楽しみですね!

ダリル氏 他には、ウイスキーと音楽という組み合わせに興味がありますので、“Linn” という音響メーカーとコラボして、樽材を使ったターンテーブルなども作りました。ウイスキーだけでなく、最近では「音」もつくっています(笑)。

――そういえば、Facebookのページで見た覚えがあります。「ソー」のこの木のフレームを使ったギターですとか。ユニークな投稿が多く、楽しく拝見しています。
さきほどのピートの話に戻りますが、ハイランドパークではピートの保全や修復に非常に力を入れていると伺いました。

ダリル氏 そうなんです。オークニーは木がほとんどないので、ヒースの茂みは鳥など野生動物にとっては大切な住処となります。ですから、私たちもオークニーの自然体系は維持したい。そのためピートの切り出しは1年のうち2か月のみ行います。一番上のヒースがまだ茂っている層や炭化の始まった若い層をまずよけて、下のピートのみを掘り出します。そしてその後、もう一度ヒースの層を戻します。蒸溜所が保有している土地ですが、この切り出しの2か月を除いてはRSPB(英国王立鳥類保護協会)に貸し出しています。貸すと言っても1年1ポンドですけどね(笑)。自然体系を守るために、様々な活動をRSPBと共に行っています。「ウイスキーをつくれたらそれでいい」という考えではなく、環境は保護していかなければなりませんから。

――それは素晴らしいですね。スコットランドの蒸溜業界は環境意識が高いとも伺っています。応援しています。
では、今年も残りわずかですが、今後の目標や来年の新展開などをお聞かせ下さい。

ダリル氏 今世界のウイスキー市場には本当に様々な商品があると思います。いろんなフィニッシュをしたものやノンエイジ、ちょっと変わったコンセプトのものなど、実に多様です。その中で我々はやはり自社のピートと厳選した樽にこだわった、高品質のハイランドパークを常に提供していきたいというのが一番の目標です。特に変わったことをせず、昔ながらのつくりにこだわることが自然とヴァルハラコレクションなどの新しいことに結びついている…それが我々の自信にもなっていますので。

――では、最後にウイスキーマガジン・ジャパンの読者に向けてメッセージをお願いします。

ダリル氏 はい、ぜひこれからもハイランドパークをチェックし続けてほしいですね。私たちはウイスキーを通じて、いろんな「ストーリー」を皆さんにお話しできることをとても嬉しく思っています。私たちがつくっているのは皆さんが笑顔になるためのウイスキーです。これからも楽しくハイランドパークを飲んでいただけたらと思います。

――ありがとうございました。

今回は少しウイスキーと離れたお話もご紹介したが、よりハイランドパーク蒸溜所の背景がお分かりいただけたのではないだろうか。スコットランドと北欧の文化と自然が融合したオークニー諸島。この地から届いた気になるトリックスター「ロキ」を目にしたら、ぜひその変幻自在ぶりをお楽しみいただきたい。

商品詳細

商品名:ハイランドパーク ロキ<LOKI>
アルコール分:48.7%
容量:700ml
参考販売価格(本体):17,000円
発売日:10月30日発売開始・販売中

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