高品質なチョコレートとユニークな製品開発に定評のある北海道のロイズ(ROYCE’)。「ウイスキーの肴(あて)」と銘打った4種類のチョコレートは、いったいどんなウイスキーとの相性が良いのだろう?

文:WMJ

 

洗練されたチョコレートで知られるロイズは、ウイスキーファンの間でも人気のブランドだ。2017年にシングルモルトウイスキー「ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ」を使った生チョコレートを発売し、ティータイムに濃密なアイラの風を届けてくれたのも記憶に新しい。

ロイズがウイスキーファンに注目されるきっかけとなった「ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ」を使った生チョコレート。スモーキーでエレガントな余韻が病みつきになる。

この生チョコレートは、今でも知る人ぞ知るロイズの人気商品である。開発段階ではチョコレートに合うウイスキーを探してテイスティングを重ね、アイラでも独自路線を貫く「ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ」にたどり着いたというから、香味へのこだわりようは本物だ。

そんなロイズが、このたび「ウイスキーの肴(あて)」という商品を発売した。ウイスキー専用のおつまみとして、大人のくつろぎの時間を愉しむためにつくられた4種類のチョコレートの詰め合わせである。ウイスキーの最高のパートナーになるべく、カカオ感、素材の食感、粒の大きさまでこだわった新商品。ウイスキーファンなら、素通りする訳にはいかない。

そもそもチョコレートとウイスキーは相性がいい。なぜなら樽熟成に由来する香りやテクスチャーに、チョコレートの主原料であるカカオとの共通要素がいくつもあるからだ。ウイスキーだけでなく、ブランデー、樽熟成したダークラム、テキーラなど、樽熟成したブラウンスピリッツも同様だ。

ロイズはこの相性をさらに追求して「ウイスキーの肴(あて)」の完成にこぎ着けた。パッケージには、工夫を凝らして開発された4種類のチョコレートが入っている。それぞれどんなウイスキーと相性がいいのか、タイプ別のマリアージュを検証してみよう。

 

モルトウイスキーとのマリアージュ

 

カカオ62%

カカオ62%は、まさにダークチョコレートの保守本流といった濃厚な味わいで、小さなひとくちサイズがつまみやすい。さまざまな産地のカカオで試作を重ねた結果、力強いカカオ感がありながらフルーティな風味にも富むブラジル・トメアス産カカオに白羽の矢を立てたのだという。この濃厚なカカオ感には、シェリー樽熟成のシングルモルトウイスキーがよくマッチする。スコッチウイスキーでいえばマッカラン、グレンドロナック、アベラワー、エドラダワー、グレンロセス、グレンファークラス、バルヴェニー、ベンロマック、スプリングバンク、ハイランドパーク、ボウモア、タリスカーなど。ジャパニーズウイスキーで選ぶなら、定番の山崎や宮城峡などもベストマッチだろう。
 
 

カカオニブ

カカオニブは、ローストしたカカオ豆を粗く砕いた「カカオニブ」をビターチョコレートで包んだカリカリの食感が楽しい。カカオのストレートな主張に加え、ナッツのような香ばしさと食べやすさが後を引く。チョコレートを凹凸につけることで空気を含ませ、ニブの苦味を和らげながらまろやかな口溶けを実現した。一緒に愉しむなら、シェリー樽原酒の比率が高いブレンデッドウイスキーはどうだろう。バランタインやシーバスリーガルなどの有名ブランドは、シェリー香を強調したバリエーションを定期的に発売している。ジャパニーズウイスキーなら、サントリー響やブラックニッカリッチブレンドなどもよく合うだろう。もちろん「カカオ62%」と同様に、シェリー樽熟成のモルトウイスキーと合わせても間違いない。
 
 

ラズベリーピスタチオ

ラズベリーピスタチオは、濃厚なコクと香りのピスタチオを甘酸っぱいラズベリーパウダー入りのチョコレートで包んだ爽やかな後味が特徴だ。お酒のつまみの定番ともいえるピスタチオは、ベリー系のフルーツと相性がいい。そこでまずはラズベリーパウダーの風味に着目して、フルーティな酒質を備えたモルトウイスキーとあわせてみたい。グレンモーレンジィ、グレンフィディック、グレンリベット、グレンマレイ、ブルックラディなどのモルトウイスキーは、スピリッツが蒸溜された時点でフローラルな香りと果実感が引き出されている。もちろんベリー系のフルーツ香はシェリー樽熟成の香りにも共通するもの。さらにピスタチオの青っぽいナッツ風味は、バーボン樽などのアメリカンオーク材とうまく共鳴する。まさにモルトウイスキーの肴として、万能のチョコレートといってもいいだろう。
 
 

黒糖マカダミア

黒糖マカダミアは、マカダミアナッツを黒糖チョコレートと黒糖パウダーで包んだもの。黒糖にはミネラル分も含まれているため、独特の甘さだけでなくほんのりとした塩味(えんみ)も感じられる。ロイズは塩味のあるチョコレートもラインナップに加えたいと考え、ミネラル豊富な沖縄県産100%の黒糖に着眼した。黒糖は、マカダミアナッツとの相性も抜群である。このナッツの旨味とコクのある黒糖の組み合わせが生む印象的な香ばしさは、特にすっきりとした3回蒸溜のモルトウイスキーやグレーンウイスキーの切れ味と相性がいい。つまりジェムソンやブッシュミルズなどのアイリッシュウイスキー、オーヘントッシャンなど3回蒸溜でつくられるローランドのスコッチモルトウイスキー、さらにはジョニーウォーカー、バランタインなどのブレンデッドスコッチウイスキー、ひいてはサントリー角瓶やブラックニッカクリアのハイボールなどにもカジュアルに合わせられる。そして黒糖のまろやかな風味は、ロンサカパやハバナクラブ7年などの樽香豊かなプレミアムラムにもぴったりだ。ラムカスクフィニッシュのモルトウイスキーと合わせても面白いだろう。

 

4種類ともアメリカンウイスキーとの相性は万能

 

繊細なマリアージュの妙を楽しめるモルトウイスキーだけでなく、4種類のチョコレートはバーボンを始めとするアメリカンウイスキーとの相性も秀逸である。その理由は、熟成樽に使用するアメリカンオーク材に、バニラのような香りが含まれているから。そもそもバニラとカカオは、歴史的にも深く結びついている。バニラは中南米でカカオに混ぜる定番の香味料として重用されたことから世界に広がった植物である。

マリアージュの楽しみが尽きない4種類のチョコレート。ウイスキーファンなら一度は試してみたい。

アメリカンオークにはヨーロピアンオークよりもバニラ香がたっぷりと含まれ、バーボンはそのアメリカンオーク材にチャー(焼き付け)を施した新樽で3年以上熟成される。直火の焼き付けによる香ばしい焙煎香は、チョコレートの風味やタンニンのテクスチャーとも共鳴する。つまりバーボンだけでなく、アメリカンオーク新樽で熟成したウイスキーなら、テネシーウイスキーはもちろん、ライウイスキーやモルトウイスキーでもチョコレートとの相性は鉄板だ。ウッドフォードリザーブやウエストランドのアメリカンモルトウイスキーともぜひ合わせてみよう。

前述の通り、そもそもチョコレートは樽熟成のスピリッツ全般によく合うおつまみだ。フルーツ香やナッツ香などの香味要素を引き立てあい、互いの魅力をさらに引き出してくれる。ロイズの「ウイスキーの肴(あて)」は、食感や風味も個性的な4種類のチョコレートが競演する商品。一口サイズの形状がつまみやすく、いつも楽しいくつろぎの時間に寄り添ってくれる。大好きなウイスキーとの組み合わせによって、無限の楽しみが広がるだろう。

ロイズの魅力は、品質だけではなくリーズナブルな価格にもある。ウイスキー愛が高じて開発された4種類のチョコレートが、たっぷり詰まって1,080円(税込)。自分へのご褒美にも、ウイスキー党へのちょっとした贈答品にもぴったりの逸品だ。