TIBS2013 Bartenderインタビュー・3 ピーター・ドレリ氏
Tokyoインターナショナル・バーショー +ウイスキーライヴ2013(TIBS2013)のゲストバーテンダーインタビュー、第3弾をお送りする。今回は「ブリティッシュ・レジェンド」ピーター・ドレリ氏へお伺いした。
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――ピーターさん、この4月にTIBS2013にお迎えすることを本当に楽しみにしています。
――日本は初めてでしょうか?
ドレリ氏 日本を訪れるのは2回目ですが、初めて訪れたときのような素晴らしい体験を期待しています。
――あなたはアメリカン・バーのバーマネージャーを努めていた20年近い年月を含めて、輝かしいキャリアのほぼすべてをサヴォイ・グループと共に歩んでこられましたが、それについて少しお話しいただきたいと思います。世界でもトップクラスのホテルでそのように注目を集めるお仕事を続けるというのはどのようなことでしたか?
ドレリ氏 あのように注目を浴びる役目を担うことは実に有益な経験でしたが、お客様の期待も非常に大きいので骨の折れる仕事でもありました。お客様の期待に応えるだけでは不十分なのです。期待以上の仕事をしなければなりません…それが本当に難しいこともあります。
――ジャパニーズバーテンディングについて初めて認識されたのはいつのことですか? また、その印象は初めて出会われたときから変化したでしょうか?
ドレリ氏 初めて日本を訪れたのは1996年に東京で開催されたIBAワールド・カクテル・コンペティションに出席するためでしたが、とても啓発的な体験でした。日本のバーテンダーの方々が示したエネルギーと熱意は実に素晴らしかったし、これまでの年月もその高いレベルを維持して、ヨーロッパの若いバーテンダーたちが、例えば彼らのシェイキングスタイルなどを真似るほどになっています。
――どのような経緯でバーテンダーの世界に入られたのでしょう? また、ご自身のスタイルとアプローチが年月とともにどのように発展したとお考えですか?
ドレリ氏 私は18歳のときに英国にやって来ました。そしてロンドンに住んでいた伯父の世話で英国中のホテルで働くようになりましたが、バーの世界に初めて足を踏み入れたのは1961年、スコットランドでした。最終的には1983年に、ロンドンにあるレストラン、ストーンズ・チョップ・ハウスのペブル・バーで、ヘッドバーマンとしてサヴォイ・グループの元で働くようになりました。
私は長年にわたり自分の技術を磨き、知識を増やしてきました。その技術と知識を若いバーテンダーに伝え、彼らが成功のチャンスを得る手助けをして楽しんでいます。それに今のほうがお客様のニーズと期待がよく分かるようになりました。バーテンダーとしての長い経験はそれに応え、そしてそれを上回るために計り知れないほどの価値があります。
――英国バーテンダーギルドで多くのお仕事をされていますが、現在バーテンディングは職業として英国でどのように受け取られていますか? また、あなたが始められた頃と比べて、何か違いがあるとお考えですか?
ドレリ氏 今のバーテンダーはメディアやインターネット、フェイスブックなどのお陰ではるかに活気があって、現代的です。情報がすぐに手に入り、コミュニケーションも楽になりました。このような事すべても手伝って、技術が認められて活気に満ちたキャリアにつながるチャンスを伴うコミュニティ、ファミリーといった感覚が生まれています。バーテンディングはキャリアとして広まりましたし、立派な職業と認識され始めています。
――イタリア人というルーツはあなたのバーテンディングスタイルにどのように影響しているとお考えですか?
ドレリ氏 私は元々社交的ですし、ほとんどの同胞と同じように気軽に人と接し、楽に気持ちを通わせることができます。そのすべてがバーテンディングに大きく役立っています。
――では、もう一度キャリアを始められるとしたら、そこで働きたいと思われる特定のバーかホテルはありますか?
ドレリ氏 ランガム・ホテルのアーテジアン・バーかコノート・ホテルですね、どちらもロンドンにあります。素晴らしい雰囲気でスタイルも申し分なく、とても進歩的です。もちろんサヴォイももう一度選ぶでしょうね、あそこで過ごせたことに本当に感謝していますし、楽しみましたから。
――お好きなカクテルのひとつにネグローニを挙げられていますが、あなたの「パーフェクト・ネグローニ」はどのようなものですか?
ドレリ氏 私は本当にクラシックなカクテル人間ですし、味覚もそのように教育されています。ですから、スイートマティーニを1/3、カンパリを1/3、ロンドン・ドライ・ジンを1/3、他には何もいれませんね。
――キャリアを始めようとしている若いバーテンダーにひとことアドバイスするとしたら、何と仰いますか?
ドレリ氏 「バーテンダーとしての自分を楽しむように、クリエイティブであれ、そして自分に正直に!」
―― 最後に、英国と日本を別にして、目下カクテル界の最前線にいるとお考えの国はどこでしょう? また、その理由は?
ドレリ氏 オーストラリア、ドイツ、ロシアですね。途方もないクリエイティブなエネルギーと情熱を持っています。もちろん、英国もそうですが。
――ピーターさん、お時間を割いていただき本当にありがとうございました。TIBSでお会いしましょう!