ウイスキークッキング・13【フィンガーフード 前半/全2回】

June 12, 2015

ウイスキーとフードを楽しむ連載、今回はパーティーでも活躍しそうなフィンガーフードを特集。ウイスキーとフードペアリングの専門家、ショーニーン・サリバンが2つのレシピを提案する。

ウイスキーの喜びは、味覚や嗅覚への刺激もさることながら、その時々のシチュエーションも重要な要素になる。
私にとっては、コルクがひねられる音がして、ポンと栓が開き、ボトルから本式の重厚なグラスに液体がトクトクと穏やかに注がれる − そして、この喜びを一番感じるのが友だちを家に招いたときだ。
皆がいることでキッチンが違って見え、おしゃべりや飲み物が注がれる音が空間を満たしてゆくところが好きなのだ。飲んだり料理したりする間のさざめきとテーブルを囲んで食事を共にする期待で部屋が生き生きとする。

経験上、食べ物とウイスキーのペアリングは風味が凝縮している小皿の料理が一番うまくゆく。
私はウイスキーのお供によく「アミューズ・ブーシュ(おつまみ)」をメニューに加えている。スターターの前に出すもので、文字通り訳せば「口を楽しませるもの」という楽しい意味になる。
アルコール含有量の高いウイスキーはワインやビールより強いお酒なので、いろいろなフレーバーを含む大皿料理よりも、少量の強い味とペアリングする方が理に適っている。グラスの中には素晴らしいフレーバーがたくさん入っているから、ペアリングの相手はシンプルな方が成功する。

ゴートチーズ&ビーツゼリーを乗せたアーモンドクラッカー レッドブレスト 12年とともに

私が以前お手伝いしたウイスキーライヴ・ダブリンでは、フィノシェリーのスプリッツァーを添えてこのペアリングを出した。シェリーの塩辛さがウイスキーの豊かなスパイシーさを引き立ててくれた。このレシピでは、よくチーズと組み合わせるように市販されている、ドライフルーツ入りの高級クラッカーを使うと、違った雰囲気のペアリングになる。例えば、ゴールデンレーズン入りのクラッカーは「パワーズ シグネチャー・リリース」と素晴らしく合う。

このペアリングはどのようにでも微調整できる。
ゴートチーズの代わりにクロスバウンドチェダーを使えば、「グレンギリー ファウンダーズ・リザーブ」「ジェムソン クレステッド・テン」のようなモルティなウイスキーと相性がいいし、グリュイエールのようなナッツっぽいチーズであれば、「グレンキンチー 12年」「アンノック 12年」向きだ。
ビーツをチェリーかオレンジに変えると、「リッテンハウス ライ」「フォアローゼズ イエローラベル」などのアメリカンウイスキーと合うようになる。
ハードチーズに蜂蜜を一滴加えるとまた新たな方向性が生まれ、ソフトになって「タラモアデュー」「コンパスボックス オーク・クロス」と良く合うだろう。

レシピ:
ゴートチーズ 50g
ビーツジュース50ml
板ゼラチン5枚
アーモンドパウダー 300g
卵(L) 1個
粗めのシーソルト 大さじ1

手順:
1.ゼラチンを水に漬けてふやかす(5分)。
2.ビーツジュースを小鍋に入れ、中火でゆっくりと温め、沸騰する前に火を止める。
3.1の水気を切って2に入れ、完全に溶けるまで混ぜる。
4.バットに流し入れ、粗熱が取れてからラップをして冷蔵庫で冷やし固める。
5.オーブンを180℃に熱しておく
7.アーモンドパウダー、卵、シーソルトをフードプロセッサーに入れ、十分に混ぜる。
8.7の生地を5mmの厚さに伸ばし、丸く型抜きする(または四角の形に切る)。
9.ベーキングペーパーを敷いたトレイに並べ、12~14分ほど焼く。焼きあがったらケーキクーラーの上で冷ます。
10.ゴートチーズをやさしく潰し、ティースプーンを2本使って球状にし、クラッカーの上に乗せる。
11.固まった4をまな板の上でサイコロ状に切り、10の上に乗せる。

【ウイスキークッキング・14に続く】

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