190号 テイスティングコメント 【前半/全2回】

May 1, 2023

from Issue 190

テイスティング:ベサニー・ワイマーク、クリストファー・コーツ


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

コンパスボックス デロス    49.0%

  • 蒸溜所名:
  • 地域: スコットランド
  • 価格帯: £181〜
  • 入手可能場所: 全世界

ベサニー・ワイマークSCORE8.0

香り
バターたっぷりのキャラメルとバニラスポンジケーキ。洋ナシの缶詰とかすかなナツメグ。アーモンドバターを塗ったリンゴのスライス。タンポポやマリーゴールドを思わせるくっきりとした花の香り。オレンジマーマレード。
口当たりは、ライトボディからミディアムボディ。トフィーアップルの塊をまぶしたバニラスポンジケーキの風味が増してくる。かすかに苦いコーヒー。焼いた洋ナシと花の香のハチミツ。ナッツ風味の強いライ麦パン、プラリーヌのビスケット、柑橘の皮の砂糖漬け、かすかに肉荳蒄花を思わせる風味。
フィニッシュ
余韻は短い。塩キャラメルとフローラルな香味があり、暖かな感触がじんわりと続く。
コメント
心地よいやわらかさを感じさせるウイスキー。後味に少しアルコールの辛味がある。

クリストファー・コーツSCORE9.1

香り
イチゴ味のグミ、カシス味のワイングミ、製材されたばかりのオーク材や、はっきりとわかるダンネージ式貯蔵庫のアロマ。ミルキーで甘い麦芽香、麦芽入りミルクビスケットのようなバニラのアロマ、ホエイパウダー、ホワイトチョコレート。原酒の樽出しを終えたばかりのバーボン樽を思わせる心地よい香り。時間が経つにつれて、ピーチ味の飴玉。繊細なハーブ香。
口当たりは、ミディアムボデイ。香りの印象を受け継いで、極めてうまく統合された風味が展開する。ハーブ風味の要素は主張を強め、くっきりとしたタイムの風味がある。やがてチェリー味のキャンディ、紅茶、ルイボスティー、ふんだんなハチミツ、ベルガモットオレンジ、かすかなライムのピクルスなどを思わせる味わいを感じる。ホイップクリームを乗せた糖蜜のタルトのような風味に支えられている。時間が経つにつれて、繊細なスミレ、ロクム(トルコ菓子)、ヌガーなどの印象も現れる。
フィニッシュ
余韻は長い。香りと味覚で感じた繊細なハーブ香、フローラルな香味、ナッツ風味などの後味がある。ほんのかすかにキュウリのような印象。
コメント
圧倒的に複雑で洗練された風味が変化し続ける。長期熟成の魅力を表現した素晴らしいブレンデッドウイスキーだ。ブレンデッドウイスキーというカテゴリーの潜在力と可能性を見せつけている。



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