洗練を極めた特別なウイスキーを携え、名匠リチャード・パターソンが来日。伝説のマスターブレンダーと奇跡のような香味を体験した。

文:WMJ

 

いつも粋にスーツを着こなし、コピータグラスを片手に熱弁を振るう。おなじみのテイスティング動画は、ウイスキーを知らない若者たちにも大人気。リチャード・パターソンは、2年ぶりに訪れた東京でも陽気に出迎えてくれた。

「父の時代から、日本には知識豊富なウイスキーファンたちが大勢います。飛行機で降り立った瞬間から、あらゆる物事の上質さが感じられる。だから私にとって第二の故郷のような場所なんです」

わずか26歳の若さでホワイト&マッカイのマスターブレンダーになり、鋭敏な嗅覚で本国でも「The Nose」の異名をとるリチャード・パターソン。その経験と英知をウルフクレイグのウイスキーづくりに注いでいる。

今回の来日には、特別な任務があった。それはウルフクレイグの第一弾リリースを自らの手で届けること。極めて希少なボトリングゆえ、アジアでは日本だけで発売される特別なウイスキーを持参したのだ。

ハイランドの古都スターリングで、ウルフクレイグ・ディスティラーズの蒸溜所が創設されたのは2020年のこと。リチャードはマスターブレンダーとして樽の調達や熟成の戦略に取り組んでいるが、高級なシングルモルトウイスキーが出来上がるのは早くても約10年後だ。

そこで稀代のブレンダーは、ラグジュアリーなウルフクレイグに相応しいウイスキーを創造した。潤沢なストックから長期熟成の原酒を選りすぐり、卓越したブレンディングで未知の香味を組み上げる。貴重な3種類のウイスキーがボトリングされ、いよいよ日本でも販売されることになったのだ。

名匠と一緒に来日したのは、ウルフクレイグ社長のジェイミー・ラン。ホワイト&マッカイのビジネスを支えてきたが、父マイケル・ランの夢を追ってウルフクレイグの創設に漕ぎ着けた。だがその道のりは、決して平坦なものではなかったとリチャードが明かす。

左からグレイグ・レイドロー(グローバルアンバサダー)、リチャード・パターソン(マスターディスティラー)、ジェイミー・ラン(ディレクター)。ウルフクレイグは、ウイスキーへの愛と信頼で結ばれた小さなチームだ。

「蒸溜所の建設地を決め、建設許可を取るまでに約6年もかかりました。マイケルはホワイト&マッカイのCEOとして40年以上も一緒に働いてきた同志。だから困難な事業をやり遂げる決意を信じていました。同じ資質は、息子のジェイミーにも受け継がれています」

ウルフクレイグ・ディスティラーズは、かつてスコットランド王国の首都が置かれた古都スターリングにある。この町が9世紀にバイキングの夜襲を受けた時、狼の遠吠えが守備隊に危機を知らせて事なきを得た。町を守ってくれた狼の伝説が、ウルフクレイグというブランド名の由来である。

創業者の一人であるマイケルは、惜しくも2023年1年に他界。リチャードが手がけた最初のウイスキーを見届けることはできた。未来を担うジェイミー・ラン社長は、スコッチウイスキーの伝統を大切にしながらも21世紀らしい革新性を重視している。

「ウルフクレイグが大切にしているのは透明性です。厳選した高品質な樽で熟成し、半年ごとに経過をカスクオーナーに報告します。ただ商品を販売するのではなく、ウイスキーづくりに参加してアンバサダーになっていただくのが目的。サステナブルな環境保護や雇用創出などにも責任を持っています」
 

ウルフクレイグの限定商品をテイスティング

 
リチャード・パターソンが、記念すべき第1弾リリース「ウルフクレイグ 30年 プレミアムブレンド」をコピータグラスに注いでくれた。

「ブレンドに使用したのは、最長で熟成37年のモルトとグレーンの原酒。モルト比率が高く、とりわけスペイサイドの原酒に重点を置いています。アメリカンオーク樽で最初のマリッジをおこない、さらに旧知のボデガから入手した希少なペドロヒメネスのシェリーバットでフィニッシュしました。このダブルマリッジによって、柔らかくまろやかな香味が備わっています」

今回発表されたウイスキー3種類の他に、ウルフクレイグはジンも製造している。数量限定のウイスキーは、今後も年間4本程度のペースでリリースしたいとリチャードは語っている。

オレンジマーマレード、クリーミーなキャラメル、マヌカハニー、レモンドリズルケーキなどの香り。舌をなめらかに包み込む感触から、しっかりとしたボディと豊かな風味が広がってくる。柑橘、パイナップル、スパイス、砕いたアーモンド。フィニッシュでもリコリスやバルサミコのような深い熟成感を感じさせる。

「ブレンデッドウイスキーの概念を超えるような繊細さと特別感。優美な飲み心地に、コニャックを思い出す人もいるでしょう。数量はわずか1472本。本当のウイスキーファンを自認する皆様にも、特別な体験になるはずです」

そして2つ目のウイスキーは、「ウルフクレイグ 35年 プレミアムブレンデッドグレーンスコッチウイスキー」だ。原酒を製造した3軒のグレーン蒸溜所(カースブリッジ、カレドニアン、ポートダンダス)は、いずれも閉鎖されている。今となっては非常に貴重な原酒を組み合わせ、極めてユニークなグレーンウイスキーの香味を表現した逸品だ。

ピーチシロップ、焼きリンゴ、しっとりしたレモンケーキ、変えたばかりのベッドシーツなどの香り。洋梨、バナナブレッド、グレープフルーツなどのアロマ。口に含むとマジパン、トフィーアップル、柑橘類、フランジパーヌなどの複雑な風味が折り重なる。飲み込んだ後も、ブドウの果肉やライムのマーマレードを思わせる余韻が残っている。

「アメリカンオーク樽の長期熟成によって、グレーンウイスキーらしいソフトな口当たりを極めました。焼きたてのパンを思わせる香味があり、度数46%にしては飲みやすく感じるはず。ソーダを入れると華やかに香味が広がり、熟成感たっぷりのラグジュアリーなハイボールになるでしょう」

最後のウイスキーは「ウルフクレイグ 14年 デラックスブレンド トリプルシェリーカスク」だ。これもファーストフィルのバーボン樽で熟成された原酒に、3種類のシェリー樽(アモンティヤード、オロロソ、モスカテル)で後熟を加えている。フィニッシュ樽は、いずれもリチャード・パターソン自身がヘレスのボデガ「サンアンドレス」で買い付けたものだ。

有名なパフォーマンスはますます健在だ。どんな高級ウイスキーでも、リチャード・パターソン流のテイスティングを実践すれば個性をしっかりと味わえる。

レーズン、モモ、タンジェリンオレンジ、レモングラスなどのあたたかな香り。背後ではクリーミーなキャラメルやバニラが踊っている。口に含むと驚くほどまろやかで、イチジクやサルタナなどの甘味にデメララ糖や糖蜜のような印象も加わる。リッチで濃厚だが、どこまでも繊細だ。タンジェリンオレンジ、チョコレートムース、ショウガやナツメグのスパイスが鼻から抜けていく。

「特にアモンティヤード樽での後熟が、クリーミーな柔らかさを加えています。ボディがしっかりしているので、熟成感は14年をはるかに上回っていると感じる方も多いことでしょう。完璧に熟成された原酒だけをブレンドし、4401本のボトルに収めました」

ウルフクレイグのウイスキーを味わうなら、大英帝国勲章を受章したマスターブレンダーの流儀でテイスティングしてみたい。ウイスキーグラスの中に鼻を突っ込んで、香りは鼻腔いっぱいに吸い込む。グラスから鼻を離すたびに「こんにちは」「お元気ですか」と問いかけるうちに、ウイスキーの細やかな個性が開いてくる。

口に少量のウイスキーを含んだら、舌の上と下でまんべんなく転がして、少なくとも30秒間は風味を感じ取る。口腔内にウイスキーの香味が充満して、鼻に抜けていく壮大なフィニッシュを体験できるだろう。

「飲み干しても、ずっと舌の上に留まっているのが長期熟成のウイスキー。長い歳月とクラフツマンシップを実感できるラグジュアリーな体験です。私たちが大切にするのは、思慮深くパーソナルなこだわり。日本のウイスキーファンに感動を届けるため、今後もリリースを続けていきます」

この3本のウイスキーは、開設されたばかりの日本版公式ウェブサイトから購入できる。ウルフクレイグの最新リリース情報はInstagramの公式アカウントでチェックしよう。

 


ウルフクレイグ 30年 プレミアムブレンド

熟成年:30年
アルコール度数:46.3%
容量:700ml
 


ウルフクレイグ 35年 プレミアムブレンデッドグレーンスコッチウイスキー

熟成年:35年
アルコール度数:46.8%
容量:700ml


ウルフクレイグ 14年 デラックスブレンド トリプルシェリーカスク

熟成年:14年
アルコール度数:46.1%
容量:700ml

 

ウルフクレイグのウイスキーが、ついに日本で販売開始。公式ウェブサイトはこちらから。

 

 

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