「ブラックニッカ」を知る

February 19, 2015

1月27日(火)に発売となった「初号ブラックニッカ復刻版」。この発売にちなんで、ブラックニッカの歴史を振り返ってみよう。

ニッカを代表するブレンデッドウイスキー、「ブラックニッカ」。このウイスキーは、創業者竹鶴 政孝氏「日本の洋酒界を代表するブランドにしたい」という信念のもとにつくりあげたものだ。
1934年に余市工場を完成し、1940年に初めてのウイスキー「ニッカウヰスキー」第一号を発売。それから16年後の1956年…原酒の貯蔵量も増え、ついにそのブレンドは完成した。

当時はウイスキーに「級別制度」があった。原酒混和率(製品中に原酒が占める割合)によって特級(原酒混和率30%以上)、一級(同5~30%未満)、二級(同0~5%未満)と分けて販売されていた。
竹鶴氏は特にウイスキー本来の味わいを重視していたため、この「ブラックニッカ」も最高クラスの「特級」、原酒本来の味わいを重視してつくり出したブレンドだった。その当時、ニッカウヰスキーが所有する蒸溜所は余市のみ。当然、余市のモルトのフレーバーが軸となっていた。
この当時のブラックニッカを再現したものが、1月27日に数量限定で発売された「初号ブラックニッカ復刻版」である。

それから徐々にウイスキーの生産が軌道に乗ったニッカ社は1959年、兵庫県に西宮工場を設立する。その3年後には同工場内にカフェ式蒸溜機が設置された。
そして1965年にカフェグレーンをブレンドした初の商品「新ブラックニッカ(一級)」誕生。このとき、ウイスキーの級別制度は1962年の制度改定によって特級(原酒混和率20%以上)、一級(同10%以上)、二級(同10%未満)と変更されていた。
「美味しいものを良心的な価格で、より多くの人に飲んでもらいたい」という竹鶴氏の想いから、一級の上限ギリギリまでモルト原酒を加え、カフェグレーンとのブレンドによって、新しい「ブラックニッカ」がつくり上げられたのである。

ラベルに描かれているのは「ブレンドの王様(キング・オブ・ブレンダーズ)」と呼ばれた英国人 W・P・ローリー氏。竹鶴氏はウイスキーづくりの理想像としてこのローリー氏をラベルに配したが、同じようにヒゲをたくわえていたため、よく「このラベルはあなたがモデルですか?」と尋ねられたそうだ。
その都度竹鶴氏は「わしは自分の顔をラベルに使うほど厚かましくないぞ。それにヒゲの男は目が青いじゃないか。わしの目のどこが青いんじゃ?」と冗談めかして答えていたという。しかし竹鶴氏もローリー氏と同じく、ブレンドの名匠であったことは、誰もが認めることだろう。

1969年には宮城峡蒸溜所を設立(カフェ式蒸溜機は1999年に西宮から移設)。
そして1985年、余市、宮城峡、カフェグレーンの原酒をバランスよくブレンドしたブラックニッカの完成形として、「ブラックニッカ スペシャル」が登場。ローリー氏はややデザイン変更をされながらもそのままラベルに用いられた。
親しみやすい「ひげのブラック」の愛称とともに、ニッカの品質第一主義を身近に楽しめるブレンデッドウイスキーとして、現在も愛され続けている。
現在のラインナップには「ブラックニッカ 8年」も揃う。エイジングによる樽本来の華やかな熟成香とコクが、ブラックニッカのボディにふくよかな厚みをもたらした、味わい深いボトルだ。

1997年には、ノンピートモルトを使用することでやわらかな香りとまろやかな味わいを実現した「ブラックニッカ クリアブレンド」が発売された。現在は「ブラックニッカ クリア」と名称を変更、その名の通りクリアな飲み心地のウイスキーとして浸透した。
昨月から、飲食店向けの「フリージングハイボール」サーバー(氷点下のハイボールを提供する専用サーバー)も登場し、全国で展開されている。「最初の一杯」にもぴったりの爽快感があり、季節を問わず食事に合わせて楽しめるハイボールの新しい楽しみ方を提案している。

さらに、ウイスキー人気の上昇に伴ってプレミアムブレンデッドを求める声に応え、2013年には「ブラックニッカ リッチブレンド」が発売された。シェリー樽原酒をキーモルトとしてカフェグレーンを調和させた、スムースな口当たりとコクが感じられる芳醇なウイスキーだ。
ハイボールに最適な「クリア」に対し、ロックやストレートでじっくりと愉しむ時間にふさわしい「リッチブレンド」。俳優 伊勢谷 友介さんが出演するゆったりした上質な雰囲気のCMの効果も相まって、よりプレミアム感のあるアイテムとして定着した。

竹鶴氏が目指した姿、日本の洋酒界を代表するブレンデッドウイスキーとしてブランドを確立したブラックニッカ。シチュエーションに合わせて4つのラインナップをお楽しみいただき、そして限定の復刻版でニッカ創成期の竹鶴氏の想いを感じていただければと思う。

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