バーフードと楽しむウイスキー【3】「N・park」

July 1, 2013

酔っぱライター 江口まゆみがバーフードとウイスキーを楽しめるバーをご紹介するシリーズ、第3回は恵比寿、知る人ぞ知る名店「N・park」へお邪魔した。

恵比寿ガーデンプレイスにほど近い住宅街。「え?こんなところに?」と驚くような場所に、隠れるようにして1軒のバーがある。看板には小さくN・park。店主の北野和重さんによると、ナイトパークの略で、昼間公園に集まるように、夜もこの店でワイワイ楽しんでほしいという気持ちを表しているそうだ。
店内は、はっとするほどおしゃれ。カウンターには北欧モダンの椅子が並ぶ。スタイリッシュだし、座り心地もなかなかのものだが、かなり大きいのでカウンターに4席しかつくれない。
「でもどうしてもこれを置きたくて。この椅子からお店の内装やインテリアをデザインしたのです」と北野さん。
なるほど、だからこんなにおしゃれなお店になったのか。

ここのこだわりは、レモンと鶏。とくにレモンは国産にこだわり、愛媛県の岩城島の農家と契約していて、シャープな酸味のスタンダードなレモンや時期により山椒等のスパイシーなフレーバーの姫レモン、オレンジと自然交配したメイヤーレモンなど、数種類が楽しめる。このレモンで作るのが「純レモンサワー」というN・parkオリジナルの飲み物で定番だ。
素材を邪魔しないアメリカのウオツカ「ウォルフシュミット」をベースに、国産レモン半分を絞り入れ、炭酸を加える。飲むととにかくフルーティー。レモンって、フルーツだったんだ!とあらためて感動する。ワックスがかかっていないので、輸入レモンのようなえぐみもない。いやはやこれは旨い!

レモンサワーに合わせるのは、「純から揚げ」という名前の鶏の唐揚げだ。
鳥取の地鶏、大山鶏をフリッター風にカラリと揚げ、ぎゅっと国産レモンを搾り、ハイビスカスの粉末が入った紅塩をつけていただく。衣はサクサク、鶏肉はジューシーでフワフワ!
やや酸味のある紅塩が味をひきしめ、サッパリとしたレモンサワーのお供にぴったりだ。

 

次に飲むのはブラックハイボール。
ニッカのブラックニッカスペシャルを凍らせておき、グラスも冷やしておくのがポイントだ。氷は使わない。
ウイスキーにソーダを加えたら、レモンピールで香りをつける。
レモンはもちろん国産なので、香りがいちだんとフルーティーだ。飲んでみると、スッキリとしていてシャープなハイボールである。

こちらにあわせるお料理はチリコンカルネ
キドニービーンズと挽肉をチリソースで煮込んだ逸品だ。上にチーズがかかり、インドのおせんべいパパドが添えられている。
チリソースにしっかりとコクがあり、とろけるチーズと相まって激ウマ!思わずハイボールがすすんでしまう。

 

 

最後のお料理は、自家製スモーク三種盛。卵とササミとチーズの燻製だ。
合わせるお酒はオーバン14年。ロックやソーダ割にしても味が崩れないウイスキーだが、今日はあえてストレートで。
味わいは、しっかりとしていながら飲みやすい。口当たり良く柔らかい、女性的なウイスキーである。

 

チビチビ飲みながら、燻製をいただく。鶏肉は大山鶏なので、味わいが深く濃く。卵は「グルメ卵」という久留米のブランド卵だ。これがめちゃくちゃ旨みがあってまろやか。スモーキーなウイスキーと燻製は、鉄板の相性である。

 

 

この「公園」はお酒と料理の双方に、素材からこだわり、確実においしいものを提供してくれる食事のできる隠れ家バー。「ここに店を出したのは、前を通ってふらっと入るのではなく、目的をもって来てほしいからです」と北野さんは言う。たしかに恵比寿になんの用事もないけれど、また絶対来てしまいそうなお店なのであった。

 

過去の江口まゆみさんの記事
バーフードと楽しむウイスキー【1】「古時計」 
バーフードと楽しむウイスキー【2】「After Taste」

カテゴリ: Archive, features, TOP, バー, 最新記事